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ロトをつけていく。
手際よく、ウサギ型の魔獣、イビルラビットを処理していくのが見える。
流石、主人公様というべきか。
第一階梯魔術は全属性マスターしていたはずだ。
説明が遅れたが、魔術の基本属性は、炎、水、土、風、闇、光である。
そして、魔術はその難度と威力に応じて、ランク分けされている。
一番下が、第一階梯で、数字が大きくなればなるほど、より強力で、難しい魔術になる。
器用に使い分けている。
光魔術ライトで、魔獣の目くらましをする。
そして、土魔術エンバンクメントで足止めする。
最後に、風魔術ウィンドカッターでとどめを刺す。
天才だな。
流れるような魔術の使用だ。
素直に感心する。
というより、魔術が使えない俺にしてみれば、妬ましいレベルだ。
でも、ペアの相手であるホルスは苦笑いをしている。
自分の出る幕がなくて、困っているのだろう。
だが、あれはどうだろうか。
はぐれ魔獣がやってきた。
土気色をした巨体が姿を現す。
はぐれオーク。
豚の頭部と巨人の体躯を持つ魔獣だ。
単体でも、ひよっこ魔術師なら簡単にひねりつぶせるほどの力を持つ。
オークはホルスとロトを視界にとらえた。
ホルスとロトは逃げ切れないと判断して、戦う決意を決めたようだ。
俺は仰天した。
ロトは、いきなり第三階梯のファイアストームを使おうとしているようだ。
馬鹿か、あいつは。
何でいきなり、大技を撃つんだ。
小技で弱らして、隙を作ってからだろうが。
このままでは、ロトがやられてしまう。
それはそれで困る。
誰が、魔王を倒すというんだ。
幸いなことに、魔術学院の制服はフード付きのローブだ。
俺は、フードで顔を隠した。
全速力で走り、オークの足元に駆け寄る。
一閃。
剣のきらめきが、オークに重なる。
次の瞬間、オークは右足をついた。
右足の腱を傷つけたのだ。
英雄アキレスだって、ひとたまりもないのだから、オークもまた、そうである。
その隙に乗じて、ロトの詠唱が終わったらしい。
ファイアストームが放たれ、オークは丸焦げになる。
「なあ、君、魔術学院の生徒だろ。
今のどうやってやったんだ。全然見えなかったよ」
ホルスに話しかけられる。
俺は、この場にそのままいると、ややこしいことになるので、逃げだすことに決めた。
見事な体の重心移動で、瞬時に逃げ出した。
縮地が成功したのだ。
ホルスは何が起きたのかわからず、ぽかんとしていた。
オークを倒すときにロトが放った魔術、ファイアストームは木々よりも高く燃え上がった。
そのため、周囲からも見えていたようで、わらわらと人が集まってきていた。
「これは大変。
今すぐ、実習は中止です。
皆さん、点呼を取りますよ」
駆けつけてきたニール先生が事態の収拾に努めて、その日の実習は終わった。




