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学院から帰ると、すぐに練兵場に向かった。
「レイ、よく来たな。体はどうだ?」
「ご心配痛み入ります。ハーケン騎士団長。
しかし、大丈夫です」
思えば、筋肉痛もない。この体のポテンシャルはえぐいな。
「そのようだな。
今日も、基礎体力を鍛えるところから始める。
ランニングと素振りをそれぞれ10セットやったら、声をかけてくれ」
俺は、黙々と言われたことをこなした。
一週間もすると、基礎体力がつき、いよいよ騎士団長から、戦技を教えてもらえることになった。
「レイ、これから剣術における戦技を教えていくが、戦技とは何か知っているか」
「言われてみれば、よく分かりません」
ゲーム時代は、剣術の戦技は使わずに、魔術ばかりやってたからな。
「戦技はな、剣術における型だ。
過去の剣術の達人たちが形成し、伝承してきた攻撃防御の型なんだよ」
型、ね。
「そう言われても、あまり、ピンとこないのですが」
「まあ、習うより慣れよ、ってやつだ」
「今日は縮地からやる。
最も基礎的にして、重要と言っても過言ではない。
というのも、剣術は相手との距離感が重要だ。
近距離でなければ、基本的にどの技も通じない。
それに加えて、特に魔術師相手では、遠距離は分が悪いからな」
なるほど、だから、最も、基礎的で、重要なのか。
「ま、見ておけ」
軽く、トンっと音がすると、ハーケンは、数十メートル先まで、一瞬にして移動した。
「次は、ゆっくりやってみるぞ」
何がゆっくりだ。
一瞬の出来事で、何が起きているのかわからん。
見よう見まねで、俺もやってみるが、全然うまくいかない。
しまいには、こけてしまう。
何だか、気恥ずかしい。
「俺並みに、すぐになれるわけがないからな。心配するな。
縮地は重心の移動が何より要だ。
そこを意識しろ」
目の前には、最高峰の剣士がいるのだから、思い切ってどんどん失敗して助言を仰ごう。
恥ずかしがっている場合じゃない。
こちとら命がかかっとるんじゃ。
とにかく、練習あるのみ、そう思って、ハーケンの前で、練習を続けた。




