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父は、優雅に朝食をとっていた。
「失礼します。
父上、ハーケン騎士団長に弟子入りすることがかないました」
「ああ、彼から、聞いておるよ」
「それで、魔術学院のことなのですが」
「それの話だが、魔術学院を退学しなくてもよいのではないか。
おぬしに剣術の才があるならまだしも、そんなことは分からんではないか。
一時の気の迷いで、軽率な判断を下してはならんぞ」
俺は、その言葉を聞いて、ほっとした。
まだ、退学は決まっていなかったようだ。
「分かりました。
では、魔術学院に通いながら、ハーケン騎士団長に師事するということでよろしいでしょうか」
「それなら、構わんよ」
「それでは、失礼します」
部屋を出ると、俺は胸をなでおろした。
これで、基本的にはストーリー通りに行くはずだ。
せっかくの自分の利点をつぶしてしまうところだった。
自室に戻ると、イスカが朝食を持ってきてくれていた。
二人分の朝食を並べている。
俺が不思議そうな顔をしていると、イスカは悲しそうな顔をする。
「朝食、ご一緒しちゃダメですか?」
「そ、そんなことないよ。ちょっと、意外だっただけ」
イスカの方から、積極的に動いてくるのが初めてで、おどおどしてしまう。
朝食をふたりで黙々と食べる。
別に、気にする必要はないのだが、何だか、気恥ずかしくなる。
「あ、そうだ。
魔術学院には通い続けることにしたよ」
「そうなんですね。それは良かったです」
俺は、彼女に手伝ってもらいながら、身支度を終える。
「じゃあ、行ってくるよ」
と、イスカに声をかける。
すると、彼女は、顔を赤くし、目をつむったまま、両手を広げている。
えーっと、これは、そういうことですよね。
女性経験がほぼ皆無な俺でも分かる。
俺も顔を赤らめながら、彼女を抱きしめた。
ほおが少し触れあって、やわらかな熱を感じた。
「いってらっしゃいませ、レイ様」
俺は、今日も頑張れる。
かわいい子の応援で、何でもできる。
男なんて単純な生き物なのだ。




