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朝日が差し込んできた。
起きると、イスカはベッドにいなかった。
メイドの仕事をするために、早起きなのだろう。
俺は、ペンを取り、一度、状況を整理することにした。
『物語』の世界の敵役に転生。
主人公は仲間を集めて、成長しながら、最終的には、魔王を打倒する。
そして、レイ王子は、中ボスとして、途中で主人公に立ちふさがる。
その際、レイ王子が虐げていた婚約者を解放し、仲間とする。
ちなみに、婚約者は、そのルートによって異なる。
要するに、ヨーロッパ中世風のゲーム世界である。
そういえば、ゲームなんだから、ステータスとか見れないのかな。
「ステータス、オープン」
と口にしてみるが、何等の反応もない。
ステータスが見えるのは、お約束なのにな。
自分が主人公でないから、ステータスが見れないのだろうか。
いや、現実化しているから見れないのではなかろうか。
現に、ペンを取って、自由に文字を書いたりしているが、そんなことはゲームではできなかった。
単なるゲーム世界と考えるほうがおかしいのではないか。
ゲーム世界が現実化するにあたって、かなりの部分が修正されているはずだ。
ゲーム世界と同じ設定だから、同じようなストーリーを遂げるだろうとは思うのだが。
カレンダーで確認する。
王国歴1234年5月8日。
ゲームが始まる直前だ。
主人公は魔術学院にそろそろ編入してくる頃だと思う。
あ、やべえ、マズい。
俺が、魔術学院を自主的に退学するなんてストーリーには、無かった。
それでは、今後の展開を予測することが難しくなる。
ストーリーになるべく合わせなければ、俺の前世知識が無駄になっちまう。
それは、どうしても避けたい。
見切り発車で動いてしまった自分を後悔した。
何も行動しないよりかはマシだった、と、自分を慰めた。
俺は、部屋を飛び出して、父に話をつけに行った。




