10
「まずは、練兵場を10周走ってくるところから始めろ」
「10周ですか?」
帰宅部だった俺には荷が重い。
思わず、反応してしまう。
「口ごたえしたな。追加で20周だ。30周して来い」
「ハイ」
ハーケンは人を殺しそうな厳しい目つきだった。
すぐさま、走り出した。
走っているうちに気が付いた。
あれ、案外、いける。
それもそのはず。
これ、前世の体じゃなくて、レイの体なんだ。
体が軽く感じる。
運動神経抜群じゃねえか、こいつ。
前世では、もやしみたいな体で、運動は苦手だったんだが、全然、苦しくない。
だんだんと楽しくなってきた俺は、どこまでいけるか試したくなって、ペースを上げた。
「終わりました!」
「温室育ちだと思っていたが、なかなか、見どころがありそうだな」
「ありがとうございます」
汗が出て、肩で息をしていたが、気分は爽快だった。
「次は、剣の素振りだ。
基礎からやっていくからな」
「ハイ」
騎士団長の掛け声に合わせて、俺は、木剣をふるった。
この調子で、みっちり指導を受けると、日が暮れた。
「思っていたより、筋がいい。
毎日、ここで訓練をしているから、来なさい。
一度、指導すると決めたからには、徹底的にやりたい」
「望むところです。
今後もよろしくお願いします」
俺は、騎士団長に一礼して、練兵場を後にした。
訓練のせいで、汗だくになったが、水浴びをして身を清めると、心地よかった。




