9
練兵場では、騎士たちが研鑽を積んでいた。
何で、魔術至上主義なのに、騎士なんて存在するのか、と疑問に思うかもしれないが、儀礼の際に、騎士が必要なんだそうだ。
各国の君主を出迎えたりするときに、隊列を組んだりするのがもっぱらの仕事だ。
それだけなら、騎士たちはだらけそうなものだが、騎士団長がそれを許さない。
「おい、そこ!たるんどるぞ。追加でもう二周走って来い」
厳しい指導を行っているのは、ハーケン騎士団長だ。
黒髪の偉丈夫。
俺は、彼に用がある。
「ハーケン騎士団長、少しいいですか?」
「これは、これは、レイ様、いかがなさいましたか」
「俺に剣術を教えてくれ」
彼は、キョトンとした。
何を言っているのか、頭が理解を拒んだようだ。
「レイ様、お戯れはおやめください。
そのようなこと、御父上が許され」
彼の話を遮って、俺は言った。
「ハーケン騎士団長、
俺なら、あなたに魔剣を見せてあげれるよ」
彼は目の色を変えた。
「やはり、伝説ではなかったのか。
俺にも、魔剣は使えるのか?」
「さあね、そこまでは保証しかねる。
人が魔剣を手にするのではなく、魔剣が人を選ぶから」
「まあ、どちらにせよ、確かなんでしょうね。魔剣の情報は」
「もちろんですよ。俺を一人前の騎士にしてくれたら、案内しますよ。
魔剣ニュルンベルクのもとに」
「嘘じゃないようだな」
ハーケン騎士団長がなぜ王国に滞在しているかといえば、魔剣の伝説を信じて、その捜索をするためなのだ。
魔剣の伝説は庶民にも語り継がれている。
かつて、大地を砕き、風を操り、火を燃え上がらせた一振りの剣があったという伝説が。
彼自身、その伝説に魅了され、様々な資料を通じて、現在の王国のどこかにあることまで突き止めた。
そして、王国に士官し、騎士団長に昇りつめた。
そうすれば、魔剣の手掛かりが得られると考えて。
「なら、話は早い。今日から訓練を始める」




