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(何だ、このゲーム。クソおもれえぞ)
俺は自室で一人、画面に向かっていた。
時刻はとっくに、午前2時を回っている。
土日を通して、ぶっ続けでゲームをやり続けていた。
今日は月曜日で、学校があるというのに、まったくやめられない。
俺がやっているゲームは、『レミア大陸物語』。
大作ゲームで、平民の主人公が、仲間を得ながら、最後には、魔王を倒すというもの。
シンプルな王道ストーリーなのだが、ゲームのグラフィックがすさまじくいい。
めちゃめちゃ作り込まれていて、ルート分岐が豊富だ。
すべてのルートを攻略したくなったゲーマーの俺は、徹夜で、このゲームをプレイし続けた。
朝日が部屋に差し込んでくる。
画面には、エンドロールが流れていた。
すべてのルートを攻略しきったところだった。
俺は、こぶしを突き上げた。
「礼、朝ごはんよ」
母親の声が聞こえる。
俺は、意気揚々と、階段を下ろうとしたそのとき。
(あれ?足元が)
徹夜でゲームしたせいで、意識がもうろうとしだした。
悪いな、かあちゃん、出来の悪い息子で。
懺悔しながら、俺は、階段を踏み外して、転げ落ちた。