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仲間たち

 海に落ちたライカは、ピクリとも動かず、荒波に揉まれ木の葉のように漂っていた。魔王龍は、ライカの死を確認しようと、巨体をくねらせながら、海面近く迄ゆっくりと下りて来た。

 “魔王大破”という強烈な破壊光線を真面に受けたライカだったが、身体に深い傷は無く、気絶しているだけだった。咄嗟に放った雷撃の壁が、功を奏したのだ。


『しぶとい奴め、何かの技を使って身を護ったようだが、これまでだ。この牙で噛み砕いてくれる!』


 魔王龍が、ライカを一飲みにしようと、大きな口を開けたその時だった。


 ドドドーーーン!!!!


 魔王龍のこめかみ辺りに、黒い稲妻“魔雷破”が炸裂したのだ。


『ウグッ、だ、誰だ!』


 不意を食らった魔王龍は、仰け反りながらも辺りを見回す。 


「信長様。魔王の力を使えるのは、貴方と一体になっていた私しかいないでしょ。今こそ、お父様の仇を打たせてもらうわ!」


 それは、龍牙洞に残して来たはずの真麟だった。彼女の身体は、まだ戦える状態では無かったが、心配になって後を追って来たのだ。 


『真麟か、人間などに戻りおって……。お前の体力はまだ回復していないはずだ。少しばかり我が力を使えるからと言って、今のお前ごとき、この魔王龍の敵では無い。炎龍斎の元に送ってやる!』


 魔王龍は、上空の真麟目掛けて上昇すると、その大きな口で彼女を飲み込もうとした。だが、真麟は軽い身のこなしで避けながら、魔雷破を魔王龍の口の中に撃ち込んだ。


『グフッ!!』


 魔王龍は、口の中で魔雷破が炸裂した事で、一瞬白目をむいたが、直ぐに体勢を立て直すと、長い尻尾を鞭のようにしならせて、真麟を叩き落としにかかった。不意を突かれた真麟はそれを躱す事が出来ず、観念して目を瞑った。


 ガシッ!!! 


 何が起きたのかと真麟が目を開けると、魔王龍の尻尾に大刃の土龍が噛みついていたのである。次の瞬間、真麟は誰かの逞しい腕に抱きしめられ、魔王龍から離されていった。


「氷馬!」


「そんな身体で無茶をするな。死んでしまうぞ!」


「皆の役に立ちたかったの。ごめんなさい……」


 真麟は氷馬の厚い胸の温もりを感じながら、甘えるような眼を彼に向けた。


「神一郎が皆を呼んでいる。俺達が時間稼ぎをするから、ライカ様を連れ帰ってくれ」


「分かったわ」


 真麟は、氷馬の腕からすり抜けると、海上に漂うライカを助け上げ、海岸の方へ戻っていった。


 真麟を見送った氷馬は、魔王龍との戦いで苦戦している大刃の加勢に駆けつけた。


 ガガッ!!!!


 魔王龍の牙が、土龍の首に突き刺さり一気に噛み千切る。だが、大刃は魔王龍の口の中の土龍の身体の一部を、槍のように変化させ巨大化させた。


『ウガッ!!』


 魔王龍の下顎から鼻筋にかけて土の槍が貫く。


『小賢しい。こんなもので儂を倒せるとでも思っているのか!』


 魔王龍は、破壊光線を吐いて、口の中に突き刺さった土の槍を吹き飛ばし、大刃に向かっていく。


「大刃、逃げろ!」


 氷馬は、彼の最強奥義、大紅蓮の態勢に入っていた。大刃が離れたのを確認した氷馬は、紫色の光弾を魔王龍に放った。


 紫の玉が炸裂して、超冷気の紫の煙が辺りに拡散すると、流石の魔王龍も凍り付いてしまった。

 真っ白に凍りついた荒波、その上に魔王龍が地響きを立てて落下する。凍り付いて身動きできない状態の魔王龍だったが、不気味な赤い目は、氷馬達に向けられていた。


「氷馬の大紅蓮を浴びても死なぬとは、当に化け物だな……」


「ああ、魔王龍が動き出すのも時間の問題だろう。今の内に皆の所に戻ろう」


「うむ!」


 氷馬と大刃は、海岸に下り立っていた風一族の元へと戻った。そこでは、意識を取り戻したライカが神一郎を気遣っていた。

 大刃、氷馬、真麟は、寝ている神一郎を取り囲むようにして座った。


「神一郎、話とは何だ?」


 氷馬が、傷の痛みに顔を顰めている神一郎に聞いた。


「私から話そう」


 神一郎の手を取りながら、ライカが話し出した。


「今、神一郎とも話したのだが、私の力だけでは魔王龍は倒せない。あの鱗の装甲を破壊する為には、雷王破では無理なのだ。そこで、皆の力を貸してほしいのだ」


「しかしライカ様、今、まともに動けるのは、私と氷馬だけですよ」


「大刃、そうじゃない。私の心の中に入って戦ってほしいんだ。五人の心を合わせれば、魔王龍を倒す力が出せるはずだ!」


「なるほど。それなら、真麟や怪我をしている神一郎も戦えるな」


「ですが、ライカ様。それでは貴女の身体に負担が掛かり過ぎはしませんか?」


 真麟が、神妙な面持ちで言った。


「大丈夫だ。皆の支えがあれば疲れはしない」


 ライカは、一人一人に包み込むような眼差しを向けた。その時、


『オオオオオ――――ン!!』


 沖の方で不気味な咆哮が轟いた。魔王龍が氷を割って復活したのだ。


「魔王龍が呼んでいる。神一郎入れ!」


 ライカと手を繋ぎ合っていた神一郎の意識が、フッと無くなった。続いてライカは、大刃の額に手を当てて、真麟と氷馬がライカの腕を取った瞬間、彼らは、その場に崩れるように倒れた。


「お父様、彼らを頼みます!」


「うむ。死んではならんぞ!」


 四人の抜け殻を白龍斎達に託し、ライカは大地を蹴って空へ舞い上がった。既に日は中天に煌々と昇っていた。


「みんな、私の意識まで上がって来てくれ」


(承知!)


 真麟と氷馬の思念に続いて、神一郎と大刃が、ライカの意識の中に上がって来た。


「私が戦うから、皆は私に力を送ってほしい。この世界を救う為に、断じて魔王龍を倒すんだ!!」


(オオッ!!)


 四人と一体になったライカは、魔王龍の待つ、沖へと向かって行った。

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