年の離れた姉妹(親子)の会話
学校で一悶着があった綾達。帰宅してからもう一悶着!?
「ただいまー」
「おう、綾おかえり~」
綾が舞羽の送り届け帰宅すると兄の郁巳が出迎えてくれた。が
「…肉兄さんや、その手に持っているのは…」
「ん?カップチーズケーキだけど」
手にカップケーキとスプーンを持って。
「あー!ずるい!私には~!?」
「買ってきてない」
「がーん!そんな~…」
玄関で綾が崩れ落ちた。
「って言うと思ったか。安心しろ、ちゃんと買ってきてるって」
「…!?ホント!わーい」
郁巳の一言に綾がシャンと立ち直り阿波おどりを始めた。
「なんで阿波おどりなんだ…」
「え?嬉しい時に踊らない?阿波おどり」
「踊るか!」
「えー、いいじゃん。そんなんじゃモテないぞ~」
「あー…うん。そう、だな~…」
綾の言葉に返答に詰まる郁巳。
「………兎に角、リビングで肉兄の買ってきてくれたカップケーキを食べてからにしようじゃないですか」
「あ~、おう…」
「さーて、カップケーキカップケーキ~っと」
歯切れの悪い返事を返す郁巳をよそに綾はリビングに先へ行った。
「あ、綾。おかえりなさい」
「あ、お母様。ただいまでーす」
リビングに行くと母親がカップケーキを食べていた。
「あ、お母様も肉兄のカップケーキ食べているんだ。じゃあ私のもやっぱりあるんだね」
綾は嬉々として冷蔵庫を開けてカップケーキを探した。
「…ない……え?嘘………」
綾は一気に奈落の底に落とされた。
「あ、郁巳。このカップケーキ綾だったの?」
「おがあざま~~~っっ!!!」
「あらあら、ごめんね綾。代わりに郁巳がもう一度買いに行ってくれるから」
「ええ~~……」
「うう、にくにー……」
「ああっ!もう、分かった。俺が買ってくるって」
「うう、にくにい~~!ありがどう~~!!」
「ああっ!分かった!分かったから鼻水拭けって!」
「うう、ずびーーーっ」
「うふふ、それじゃあ郁巳、ちょっとお駄賃もつけるからお願いね~」
実の息子に意味深にウインクをする母親。
「う、…はい。行ってきます…」
「にぐにーー、ありだど~~っ!!」
「ああっ!もういいからっ!じゃ、行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
「いっでらっじゃ~~いっ!」
バタン
郁巳が玄関の扉を閉める音がしてから改めて顔を洗いスッキリしてリビングに戻った綾に母親がトントンと真向かいのテーブルに座る様に促す。そこには既にジュースが置かれていた。
「………」
何も言わずにそこに座る綾。
「………ふふっ」
「?」
突然微笑む母親に不思議そうに首を傾げる綾。
「ねえ綾、何かあったの?」
「え、別に…」
「うん、まあそう言うんじゃないかと思った。まあ一通りは郁巳から聞いているんだけどね~」
「お母様!?」
「まあ、郁巳に聞かれたくない事もあるだろうからケーキ買ってきてもらったんだけどね~」
「!?策士!!」
「ふふ、伊達にあなた達より年を食ってないわよ」
そう言って母親は自分の手元に置いてあったお茶を一口飲んだ。綾も釣られてジュースを一口飲んだ。
「んで、何があったの?」
「改めて言われると少しやり難いんだけど~」
綾は苦笑いをしながら頬をかいた。
「ん~と、お母様は肉兄からどこまで聞いてますか?」
「ん~と、舞羽ちゃんが暴れていじけたってとこだけ。後は~まりもちゃんと二人で仲良く帰ったって事だけ」
「そこの所を詳しくっ!」
「んもう、今は舞羽ちゃんの事を。ね」
「うう…はい。えっと舞羽先輩が和々先生…ああ、和先輩のお姉さんで私達の部活の顧問で」
「綾、話逸れてる逸れてる」
「ああ、ごめんなさい。とにかく和々先生が舞羽先輩の逆鱗に触れてしまい舞羽先輩が暴れまして。そして和々先生を皆で逃がした後に肉兄と私が疲れたマーちゃんを保健室へ連れて行ったのです」
「あら、郁巳からは綾が保健室でまりもちゃんを襲ったとは聞いてないけど」
「襲ってません!というかタイミング的には肉兄の方がチャンスあったんじゃん!」
「そこ詳しく!」
「……えっととりあえず話戻しますね。んで私達がマーちゃんを保健室で寝かせた後に和先輩からLOneに『舞羽先輩が逃走した』とメッセージが入って」
「何があったのかしら」
「いや、舞羽先輩とマーちゃんを比べて舞羽先輩の方がタフだねって言うことを言ってしまう形になってしまって……」
「あー、それはそれは………」
母親が苦笑いを浮かべてお茶を一口飲んだ。それにまた釣られて綾も一口ジュースを飲んだ。
「で?」
「あ、それで肉兄をマーちゃんの所に置いていって私が舞羽先輩を探しに行って」
「ほほ~う。郁巳に探しに行ってもらうのではなくって自分が探しに行ったって…何をその時考えたの~我が娘よ?」
「あはは、さっきお母様に策士って言った事がブーメランで返ってきたよ…」
綾は笑いながら言った。
「えっと、多分舞羽先輩泣きたいだろうからその時に肉兄だと舞羽先輩悲しく笑うだろうから…かな」
「うん、そっか………」
綾の言葉に母親が微笑んだ。
「んで、トントン拍子に舞羽先輩を屋上で見つけて抱き締めたと言う事です」
「ああ、泣き顔を見えない様にする為にね」
「お母様………そこは「詳しく!」なんじゃないですか…?」
「あはは、ごめんごめん。それで」
「あ、それで皆に舞羽先輩見つけたから後で二人で帰る。先に帰っていてってLOneにメッセージを送ったんです」
「あら、ナイスね」
「でもマーちゃんが肉兄と一緒に帰ったなんて、しかも仲良くって。私マーちゃんからも聞いてないよ~!うー、ずるいずるい!」
「まあまあ、そこは夜にでもメッセージ来るんじゃないの?」
「うう、女の勘がメッセージ来ないと言っている……」
「あはは、まあそれもあるわね………」
「まあそれはそれとして…。舞羽先輩から自分自身の愚痴を帰宅するまで永遠に聞かされて…正直フォローに疲れました……」
綾が遠い目をしてため息をついて一口ジュースを飲んだ。
「あはは、お疲れ様」
母親はそう言って微笑んだ。
「で、肉兄の方は何と!」
「え?ああ、八方美人と言われただとか腕組みましょうかとか小悪魔ちゃんだったとしか」
「え?…ええっ!?あのマーちゃんが!?ええっ!?」
「あらあら親友の意外な一面を他の人から知らされてショックを受けてるのね~」
「って言うかあのマーちゃんがそんな乙女チックな事をするなんて………親友が一歩先に行ったのにショックを受けているのが現在の実情です………うう、あの時一緒に人生を謳歌しようって言ったの何だったの~っ!」
「いや、貴女の人生の謳歌って何なの?」
「へ?ゲーム三昧?」
「あはは…」
娘の人生の謳歌に苦笑いしか出ない母親だった。
「まあ好きな男がいると女は変わるわよ~」
「へ!?好きな男?え?肉兄のモテ期到来!?」
「綾、ちょっと貴女もフラグ立ててるのを忘れてない?」
「へ?」
「…まあ良いわよ。まあ舞羽ちゃんまりもちゃん、どちらが郁巳の奥さんになってもお母さん嬉しいわ~」
「ちょっと!マーちゃんがお義姉さんだなんて…ちょっと複雑…」
綾が尻窄みになりながらも心情を言った。
「うふふ、まあ人生なんて何があるか分からないわよ。もしかしたら綾自身も思いもよらない人生が待ってるかもよ」
「え~、お母様そんな年寄り臭い事言わないでよ~!」
「うふふ、だって私の方が貴女達より年食ってないわよ」
「お母様…」
「さてと、じゃあもうそろそろ郁巳が帰ってくるだろうからもう少し待ちましょうか」
「あ、じゃあ私飲み物注ぎ直しますね」
そう言って綾が母親のお茶を入れ直していると玄関の扉が開く音がした。
「ただいまー」
「あ、綾。ケーキが帰ってきたわよ」
「あ、はーい。おかえりなさいケーキ~!」
「俺は!?」
そう言って三人で改めてカップケーキを食べたのだった。
綾と母親は親子と言うより仲の良い年の離れた姉妹みたいな感じです。




