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不器用すぎる恋のレシピ ~料理スキルゼロから始まる彼女たちとの恋愛ストーリー~  作者: 睡眠の精霊ぽち。
第五章「掃除をしましょう そうしましょう」
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気長な人たち

 決闘場へ来た郁巳達。さあ行こうと思ったが舞羽からは思わぬ事を告げられた。

 「さてと、じゃあいくみん達は外で待ってて。もう時間が遅くなってるから皆に無理させられないよ」


 決闘場の前に立つ舞羽が郁巳達を背にグッと親指を立てた。


 「舞羽…俺達の為に…」


 郁巳は舞羽の漢気に涙が流れそうになっていた。


 「…とか言いながら足手まといになる人たちはいらないと言う本音が見え隠れしているの舞羽先輩であった…」


 「びくっ!?」


 「…舞羽…」「舞羽先輩…」「悠季ちゃん…」


 「じ、じゃあボク行ってくるよ!」


 先程と同じくグッと親指を立てたかと思うとぴゅーっと決闘場へと消えて行った。


 「…じゃあ私達は…何しょうか?」


 「和先輩……行き当たりばったりですね…」


 「ぐっ…ぐうの音も出ないです…」


 「…今“ぐっ”まで出てましたよ」


 「ぐっ…ぐう…」


 「お、ぐうの音が出た」


 「うう……いくみんまで……酷い…ぐすっ」


 「はいはい。とりあえず俺が飲み物買ってきますよ。何が良いですか?」


 「おっ、肉兄の奢り?」


 「んなわけあるか。後で徴収する」


 「じゃあ私はコーラを!」


 「…私は紅茶華伝を」


 「んじゃあ私は緑茶。何でも良いよ~」


 「綾はコーラ、まりもちゃんは紅茶華伝、和先輩は緑茶で。俺はーまあ適当にしよう。じゃあ行ってくる」


 「「はーい。行ってらっしゃーい」」「気をつけて~」


 「……何か怖い一言が聞こえてきたが…まあいっか」


 そう言って郁巳は決闘場へと足を運んだのだった。しかし、郁巳は直ぐ様後悔をしたのだった。


 「な、な、なんじゃこりゃー!!」


 郁巳は某ハードボイルドみたいに声を上げた。郁巳が見たもの。そうそれは戦場だった。普段来る時間よりも遅い為か人が凄まじかった。


 「只今お肉のタイムセール中でーす!お一人様一パックでお願い致しまーす!皆様、押さないで下さーい!!押さないで!まだ充分に余裕がありまーす!!」


 タイムセールでの女闘士(主婦)達の闘いの激しさに足が竦みそうになった。


 「…あの戦場に舞羽行ったのか…凄いな…。あれに俺じゃあ足手まといになるわ~…」


 女闘志達を横目に見ながら郁巳はカゴを手に取り飲料品売り場に向かった。


 「ここはやっぱり人が少ないな~。まあペットボトルのセール品なんて無いからな~」


 そう呟いてコーラ、緑茶、紅茶華伝を手に取りカゴにさっと入れた。


 「俺は~……アフター紅茶にしよう」


 郁巳は少し考えアフター紅茶(無糖)を手に取った。


 「…舞羽の分も買っておくか。舞羽は~牛乳…は間違いなく怒られるな。はは、何が好きなんだろう…。うーん…おしるこ…前に学食でおしるこ頼んでたな。よし、おしるこにするか」


 郁巳は嬉々としておしるこの缶を手に取りカゴに入れてレジへと急いだ。


 「…おお…」


 郁巳は決闘場の第二の戦場を見て言葉を失った。そこはレジという戦場。会計をする為に女闘士やスーツを着た社会人っぽい人達が10も無いレジの列に並んでいた。早く会計を済ませて一杯したさそうな社会人、同じく会計を早く済ませたそうだが「帰ってからあれしてこれして…」と呪文の様に呟く女闘士など思惑が見え隠れしていた。郁巳はそれを少しポカンとして見てから一番近くのレジに並んだ。そのレジには六、七人並んでいてレジ打ちには二人、新人と思われる二十歳位の男性定員がバーコード通しを、如何にもレジ打ちのプロっぽい五十代位の女性がお金の受け渡しをしていた。女性の方は申し分ないが男性の方はバーコード通しやカゴへの入れ方にあたふたしていて会計をしている女性からは少しイラつき感が漂っていた。


 「ちょっと!早くしてよ!こっちは急いでるんだから!」


 「はい!申し訳ありません!」


 女性がイラつきを露にして言葉を発した。男性定員は自分に言われたのが解っていて謝罪をしながらバーコードを通していた。女性定員はそれを横目で見ながら何も言わなかった。


 「(うーん、定員さんフォローも何も無いから可哀想だな~…)」


 郁巳はそう思いながらも気長に列に並び待った。途中痺れを切らせて別の列に並ぶ人もいたりした。結果、郁巳の前二人と後ろに八十代位の腰が少し曲がった年配の女性しか並んでなかった。十分後、郁巳の前の二人が終わり郁巳の番になった。


 「た、大変お待たせ致しました!」


 男性定員が申し訳なさそうに第一声にそう発した。


 「あー、いえいえ。大丈夫ですよ。そんなに気にしないで下さい」


 郁巳は逆に申し訳なく思い言葉を返した。


 「は、はい!」


 郁巳にそう言われたが男性定員の動きはぎこちなかった。


 「定員さん、急がなくても大丈夫ですよ。何となく入ったばっかしに見えるし」


 郁巳がそうフォローした。


 「そうですよ。あんたは良くやってる。並んでて誠意は伝わったよ」


 そう言ったのは郁巳の後ろにいた年配の女性だった。


 「皆さんありがとうございます。この子、新人なんですが急に来れなくなった人のヘルプに入ってもらって凄く助かってもらってるんです。でも新人だから緊張して動きがぎこちなくなってしまって。でもそこにフォローの言葉を言ってしまうとクレームの的になってしまうんで言えなかったんです」


 レジで男性の横にいた女性定員が男性定員のフォローに入った。


 「ああ、そうだったんかい。何となくそうじゃないかとは思ったんだけどね~」


 年配の女性はそう言って笑みをこぼした。


 「あんたは…何となく気長そうだね~」


 「あ、はい。焦っても仕方ないし気長に待とうかと思いました」


 郁巳は年配の女性に言葉を返して笑顔を見せた。


 「うんうん、良いこっちゃ。最近は早さを求めるばかりで相手の事まで考えられない人も多いからの~」


 年配の女性はそう染々と言った。


 「ありがとうございます。そう言ってもらえると助かります」


 女性定員がそう言って頭を下げた。


 「いえいえ、当たり前ですよ」


 郁巳は当たり前と手を振った。


 「それが出来ない人も多いんじゃよ。あんた、良い人だね」


 年配の女性はそう言ってまた笑みをこぼした。


 「ありがとうございます。会計五百八十三円になります」


 「六百円からお願いします」


 「六百円お預かりします。お釣二十七円とレシートになります。ありがとうございました」


 「あ、ありがとうございました!」


 「ありがとうございました」


 郁巳は女性定員とお金のやり取りをして会計を済ませた。男性定員も郁巳に礼をして郁巳もありがとうとお礼を返しカゴを持って荷物入れ用の台へ行った。全てが壊れ物ではなくほぼ無造作に袋に入れた。そして郁巳は皆の待つ外へ出て行った。


 「あ、肉兄!遅いよ~!もう舞羽先輩も戻って来てるよ~!」


 綾が外に出てきた郁巳を見つけてぷーっと怒った感じを出した。


 「すまん。ちょっと手間取った」


 「あはは、大丈夫だよいくみん。皆にあの戦場の事教えているから。後、ちゃんと買えたよ~」


 先に戻っていた舞羽が笑顔で手を振った。


 「そうか。でも待たせた事に代わりはない。済まない」


 「…いえ、郁巳先輩。この時間だと仕方ないと思います」


 「済まない。そう言ってもらえると助かる。えっとじゃあ先にまりもちゃん。ほい、紅茶華伝」


 「…あ、ありがとうございます」


 「んで和先輩には緑茶。鷲鷹でも良かったですか?」


 「うん、ありがとう。問題ないよ~」


 「で、綾にはコーラっと。ちゃんと振っておいたからな」


 「ええ!?酷い肉兄!!」


 「ははは。冗談だぞ」


 「もう!…まあ分かってはいたけど。ありがと肉兄」


 「おう、で舞羽は迷った挙げ句におしるこにした」


 「え?何でボクだけおしるこ?」


 「?いや前に学食でおしるこ食べてたからおしるこ好きなんだろうな~っと思って」


 「うう…まあおしるこは好きだけど今は喉が渇いてるから普通の飲み物が欲しかったな~」


 「じゃあ自分用に買ったやつだけどアフター紅茶(無糖)と交換するか?」


 「する!させて下さい!」


 「じゃあ、ほい。アフター紅茶」


 「わーい。ありがとう」


 「じゃあ皆に飲み物行き渡ったし飲んでから帰ろっか」


 「「「「はーい」」」」


 和がそう言ってから皆が飲み物の蓋を開けた。


 「んー。美味しい。やっぱり奢りのコーラは美味しい~」


 「おい、しれっと奢りにさせようとするな」


 「あはは、あ、いくみん幾らだった?後でお金払うよ」


 舞羽はそう言ってアフター紅茶を一口飲んだ。


 「あー、…もういいや。奢りでいいよ。綾から奢れ奢れって五月蝿いから」


 「ちょっと肉兄~!それじゃあ私がいつも奢れって言ってるみたいじゃい!」


 「…違うの?」


 「「うんや違わない」」


 「あーはっはっはっ!やっぱりいくみんとあーちんは兄妹だね!」


 和葉堪らず笑いだした。


 「うんうん、やっぱり兄妹なんだって思っちゃうよね。ね、まりもちゃん」


 「…うん、さすが兄妹」


 「なんか良い様に言われてるよ肉兄」


 「耐えろ。どちらにしてもお互いにダメージを受けるぞ」


 「お、分かってるね~いくみんは」


 「勘弁して下さいよ和先輩~…」


 「あはは、和先輩。もう弄るの止めましょう。笑い堪えて…お腹、痛い。ぷっ、ふふっ」


 「舞羽先輩~」


 「…綾ちゃん、私は弄らないよ…」


 「マーちゃん…ちょっとこっち向いて」


 「……ぷっ」


 「あー!マーちゃん酷い~!」


 そう言いながらも綾は笑顔になっていた。

 気長に待たないと損な気持ちです。気長~に待~て~ば~ 何とかなる~w(で数年前に積雪で帰りのバスが坂を上れなく数十分帰路を歩く羽目になった私)

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