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不器用すぎる恋のレシピ ~料理スキルゼロから始まる彼女たちとの恋愛ストーリー~  作者: 睡眠の精霊ぽち。
第五章「掃除をしましょう そうしましょう」
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阿修羅舞羽様 まりも菩薩様

 片付けが終わりそうなそんな時にハプニングが起きる。うん、そう上手くはいかないよね。

 「よし。皆~、片付け終わったかーい?」


 一区切りついた所で和が周りを見渡した。


 「何言ってるんですか和先輩。もうまとめた雑誌、いくみんと綾ちゃんが持って行ってますよ~」


 舞羽が箒を持って呆れながら答えた。


 「…それに気付かないなんて和先輩は何をしていたのですか?」


 しゃがんでいたまりもは舞羽と一緒にゴミを集めていたらしく片手にちりとりを持っていた。


 「え?あ、いや~何にもしてないよ何にも」


 「…ちょ~っと和先輩、ちょ~っとそこどいてもらえないですか?いえ、直ぐに済みますので」


 舞羽が何かに気付き和に近づいていった。


 「え、いや!あ、あー!」


 和の抵抗も虚しくその場を退かされた。そしてその後ろの光景を見て舞羽が肩を震わせた。


 「のーどーかーせーんーぱーいー?」


 「え!?な、何かな~悠季ちゃん。そんな怖い顔と声を出して……あはっ」


 「あはっ、じゃないですよ!何ですかこの惨状は!さっきまりもちゃんが片付けたのにもうこんなに散らかして!あーもう!本当に信じられない!」


 舞羽が見たのは棚に直した雑誌が雑然と床に散らかっている光景だった。

 

 「ご、ごめん……なさい」


 「…どうどう舞羽先輩。落ち着いて下さい」


 鼻息荒く頭に血が上っている舞羽を冷静にまりもがなだめる。


 「でもまりもちゃ」


 「また片付ければ良いのですよ。問題無いですよ。だから落ち着いて下さい。ね」


 「う…うん。……ごめん、ちょっと頭に血が上ってた」


 「…はい。でも私の為に怒って貰ってありがとうございます」


 「う、うん……」


 「ま、まっちゃん。ごめんなさい」


 「…私も汚すな!なんて言えないですし熱中してしまうと周りが見えなくなる事だってありますよ。だから仕方がないんです」


 「で、でもっ!」


 「でも、今度からはもう少し、ほんの少しだけ出したら元の場所へ戻してもらえると私達も助かります。なので使った物は元の場所へ戻す。お願いしますね」


 「……はい」


 「はい。よくできました」


 そう言ってまりもは小さくなっていた和の頭に手を置きいいこいいこした。


 「あ、…まっちゃん、ちょっ、恥ずかしいよ」


 「……くすっ」


 「あ、悠季ちゃん。笑わないでよ~。もー」


 そう言いながらもまりもの手を払おうとしない和であった。


 「ただいまー。戻ったよ~」


 「おう。今戻った…って何かあったのか?」


 「…いえ、ちょっと和先輩が散らかしたので片付けようかと思ってまして」


 「お、じゃあ俺するよ。確か左から出た順に棚に並べていけば良いんだよな?」


 「…はい」


 「じゃあ私もするよ!良いかなまっちゃん?」


 「…良いも何も初めからお願いするつもりでした……それでは和先輩、郁巳先輩、よろしくお願いします」


 「「はーい」」


 「じゃあ私達はさっきの続きで埃を集めようか」


 「…はい」


 「え~っと、私は何をし・よ・う・か・な・っと」


 一人残った綾はずいずいずっころばしみたいに作業の品定めをした。


 「…って特にすることなさそうだね。本当にどうしよっか?マーちゃ~ん」


 「…ではテーブルの上を台フキン…は無いのでアルコールの濡れティッシュで拭いてもらって良いですか?」


 「あ、はいはーい」


 まりもから指示を受け直ぐに作業に取りかかった。


 「(まりもちゃん)」


 舞羽が他の人に聞こえない様にまりもに声をかけた。


 「(?何ですか舞羽先輩)」


 まりもも同じ様に声を小さくして舞羽と言葉を交わした。


 「(さっきはありがとうね)」


 「(?)」


 「(和先輩をさりげなく怒ってフォローして。なかなかでした)」


 「(いえ、私も本当は怒りたかったのですが舞羽先輩が私の代わりに本気で怒ってくれたので冷静になれてフォローが出来たのです。感謝するのはむしろ私の方です。舞羽先輩、本当にありがとうございました)」


 「(ん…にゅふ~)」


 まりもの曇りの無い感謝の言葉に体をもじもじとくねらす舞羽であった。


 そして雑誌の棚への直しも終わるとほぼ同時に箒での掃きも終わった。


 「…皆さん、終わりましたか?」


 「こっちは終わったよ~」


 真っ先に和がまりもの声に反応した。


 「私の方も終わったよ~」


 綾が使い終わった濡れティッシュをゴミ箱へ捨てた。


 「もちろんボクたちも終わってるよ。ね、まりもちゃん」


 そう言って箒とちりとりを掃除道具入れに直した舞羽が言った。


 「…じゃあキリも良いですしこのまま帰りましょうか。それで良いですか和先輩?」


 「うん!皆、本当にお疲れ様!」


 「「「「お疲れ様でした」」」」


 和の号令に郁巳達が声を合わせて返して仲良く教室を出た。そして郁巳達が帰った三十分後、家庭料理部へ駆け足で急ぐ足音が廊下に響いた。


 「いけないいけない。こんな時間になっちゃった。みーんなー!洋先生が戻ってきたよー!って…あれ?」


 洋は嬉々として部室のドアを開けようとしたがドアには鍵が掛かっていて開かなかった。


 「うそ……皆帰っちゃったの~?え~、ひーどーい~~っ!!」


 夕日が射し込む誰もいない廊下に洋の虚しい声が木霊したのだった。

 誰かが代わりに怒ってくれると冷静になれる時がありますね。それと同じく一緒に笑ってくれる人がいたら嬉しさも何倍にもなります。


 苦しい事は半分こ 楽しいことは配分こ

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