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不器用すぎる恋のレシピ ~料理スキルゼロから始まる彼女たちとの恋愛ストーリー~  作者: 睡眠の精霊ぽち。
第五章「掃除をしましょう そうしましょう」
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ライオンみたいに格好良くなりたかった郁巳

 ぎこちない雰囲気の三人(+一人)。話は弾まなくたどり着く先は…

 「ねえ、いくみん。さっきからどうしてこっち見ないの?」


 片付けを再開してから舞羽の方を見ようともしない郁巳にさすがの舞羽も声を掛けた。


 「…いや、さっきの今でまだ平常心を取り戻せない…だけ…です」


 「も、もういくみんったら。そんなに恥ずかしがらないでよ!ボクまで照れちゃうじゃんか」


 「そう言いながらも満更でもない悠季ちゃんであった」


 「ちょっ!?和先輩!」


 「あははっ。まあ青春してるね~」


 「…一つしか歳が違わない人から青春してるね~って言われても…あ、そうか~和先輩はおにい」


 「あー!あー!何にも聞こえなーい!」


 「…ならボクをからかわないで下さいよ」


 「あはは…ごめん、なさい」


 「分かればよろしい」


 「あはは…後いくみんもごめんね。ついついからかいたくなっちゃって。本当にごめん」


 「あ、いえ。それはいいんですがさっきの…」


 「はい!じゃあこういう話は一旦おしまい!掃除の続きにかかりましょうか!」


 郁巳が聞こうとした直後に舞羽が手を叩いて話を締めた。


 「お、おう」


 「はーい」


 郁巳はそれ以上聞けず掃除に戻っていった。そして郁巳とは対照的に軽い返事をした和は郁巳に見えない様に舞羽に「ごめん」と「ありがとう」を込めて胸元で手刀を切った。


 「(まあ元はボク自身なんだけどね~)」


 余りのマッチポンプに頬を掻いてしまう舞羽だった。そして掃除を再開した三人は黙々と作業を続けた。そして三人共同じことを考えていた。


 「「「………(間がもたねーー!)」」」


 余りの間の悪さに視線すら合わせられない状態が続いた。が


 「あー!」


 突然部屋の角から大声が聞こえて三人がビクッとした。


 「そう言えば私、教頭に呼ばれてたんだった!今何時!?えっ!?こんな時間!?急がないと!」


 急に部屋の角の洋が立ち上が部室から勢い良く出ていった。


 「び、びっくりした~!心臓が飛び出るかと思ったよ~。もー、和々先生いるならいるで存在感出してよ~」


 舞羽が胸を押さえて目をまん丸くして言った。


 「ほ、本当にね~。でもお陰で間の悪さから抜け出せたけどね~」


 「「あ…」」


 「あ?…あ…」


 再び雰囲気がぎこちなくなる三人。しかも今度は本当に部室に三人だけになった。


 「「「………」」」


 沈黙が続く家庭料理部部室。チラチラと相手の様子を伺う三人。そして沈黙を破ったのは


 「たっだいまー!水汲んできたよー」


 「「「!?」」」


 「…ただいま戻りました。…?どうされましたか?」


 綾とまりもだった。


 「い、いや!何でもない!何でも!」


 「う、うん!もちろん何でもないよ!」


 「うんうん、何でもない何でもない!」


 郁巳、舞羽、和が何もなかったかの如く「何でもない」を連呼した。


 「うーん?怪しい…。ほのかに青春の香りもするし…恋バナとかしてたりして~」


 「「「!?」」」


 「なーんちゃって~。そんなことないですよね舞羽先輩?」


 「う、うん!もちろん!恋バナなんてしてないよ!もう、この面子で恋バナなんてしてたらいくみんが可哀想だよ~」


 「おいこら舞羽、俺が何で可哀想なんだ?同じ様に可哀想な感じがあるとしたらお前だって同じじゃないかい?」


 「お、やるってのかいいくみん?」


 「はいはい、肉兄も舞羽先輩も落ち着いて下さいって。まあ恋バナで浮いた話がない私が言うセリフじゃないですけどね」


 「…そんなことない。綾ちゃんのその健康的は肌と悩殺ボディは幾人もの男女を虜にしてきている…」


 「え、そうなの…っていうか現在進行形!?」


 「「「あー…」」」


 まりもの言葉に郁巳、舞羽、和が納得した「あー」と声を上げた。


 「え!?肉兄達何か知ってるの!?ねえ、私に私自身が知らない浮いた話があるの?」


 「えーっと~…」


 綾に詰め寄られた郁巳の目は泳いで他の皆を見た。


 ぶんぶん


 勢い良く首を横に振る舞羽と和。そして顔に「どうにかしろ」と書いてあるまりも。


 「う…うん少し聞いたことはあるけど…。あるけど噂程度だぞ。出所も分からない噂だぞ」


 捲し立てる様に言う郁巳に綾は少し気を落とした。


 「あー…、うん。そっか~。…でも噂でも浮いた話があるって分かっただけでも嬉しいや」


 自分の恋バナがあると知ってニヒヒと笑う綾。そしてそれを乙女で後ろから見つめるまりも。それを見ていて「もうこいつら面倒臭い」と思ってしまう舞羽と和。郁巳は訳が分からずポカンとしていた。


 「…あ、そう言えば新聞紙貰ってきました。これで窓拭きましょう」


 「あ、うん。ありがとう。助かったよ」


 急に素に戻ったまりもに舞羽が対応を取った。


 「あ、じゃあ私は水の入ったペットボトルにこのブラシの付いたノズルを着けてっと…出来た!ジャッジャジャーン!簡易シャワーヘッド~」


 どこぞの有名ロボットの真似をする綾に笑いを堪える四人。


 「ちょ、おい綾。それは反則…くふっ」


 「ぷ、ぷぷっ。綾ちゃん…ダメ…笑える…」


 「あーちん…それは…アカンやつや…ぷっ」


 「…流石綾ちゃん、身を呈して笑いを取りに行くなんて…」


 「ちょっと最後!何か刺がある感じがしたー!」


 「…それはどういう意味ですか綾ちゃん?」


 「え?いや“身を呈して”なんてまるで「貴女の身体つきはそれを彷彿させる物がある」って言われてる気がしたの~!」


 「…ほうほう。さしずめ私は○ーちゃんですかね?」


 「何でそこがメガネのあの子じゃないの!?」


 「…?だって私の方が綾ちゃんよりも出来るし、女の子なら猫の子でしょう?」


 「う、「そこはヒロイン枠のあの子じゃないのか!?」なんて言えなくなる…確かにマーちゃんは猫っぽいし…」


 「…ですよね」


 「ぐぬぬ…」


 「まあまあ、まあ確かにまりもちゃんは猫っぽいよね。じゃあボクは」


 「「「「ハムスター」」」」


 「みんなの心を一つにしてしまった!?」


 「じゃあ私は…何かな悠季ちゃん?」


 「…ロバ?」


 「何で!?」


 「いやいや舞羽、ロバではなくアイスランデイック・ホースだろ」


 「何それ!?ホースってことは馬!?私馬なの!?」


 「うーん、じゃあ私は?マーちゃんならどう例える?」


 「綾ちゃんスルーしないで~!」


 「…ベンガル」


 「トラ!?」


 「…違う。ベンガルっていう猫」


 「あ、猫か~良かった」


 猫と言われてホッとする綾。そして話の矛先は郁巳に向けられた。


 「いくみんなら…パグ?」


 「いやいや、肉兄ならどさんこ?いやばん馬かな~?」


 「…獏」


 「いやいや、皆失礼だよ。そうだな~。…エキゾチックショートヘア?」


 「お前ら失礼だよ!!」


 皆に言いたい放題に言われた郁巳は少し涙目になりながら叫んだ。


 後日談だが女子達でエキゾチックショートヘアの画像を検索して「ああ、確かにエキゾチックショートヘアだわ~。可愛い~」と言ったことは郁巳は知らなかった。

 補足ですが洋を動物に例えるとせわしないラクダです。


 ※2019年の投稿は今回で最後です。2020年もよろしくお願い致します。

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