メンタルブレイカー
まんじゅうを食べてさあ片付け再開!とはならないのが家庭料理部。
「…では一息つきましたし片付け作業を再開します」
「「「「はーい」」」」「え~~~」
「………」
「はい!一生懸命頑張りますまりも大明神様!」
「…それはもういいです。でも真剣にして下さい」
「はいっ!」
一人作業の続きをする事に不満を吐いた洋はまりも大明神の静かな怒りに触れた。
「…では、気を取り直して。和先輩は先程の続きを。舞羽先輩と郁巳先輩は纏めたいらない雑誌を紐で束ねて下さい。あ、作業用の手袋ってありましたっけ?」
「ふふーん。そう言うと思って手袋買ってきてるよ~。一応SML全て人数分買ってきてるよ~」
洋が自慢気に作業用の手袋を先程買ってきた袋から取り出した。
「………」
「あれ!?間違った!?何か言ってよ!怖いじゃん!」
「…いえ、本当にビックリして文字通り言葉を失っただけです」
「もう!ビックリさせないで~!」
まりもの言動にビビりながらも喜ぶ洋。
「…和々先生、本当に先生なんですね」
「まりもちゃん…それ地味に効く…」
感心しながら言うまりもの言葉に洋がガックリと肩を落とした。
「ま、まあまあ。でも和々先生、グッジョブです!助かります!」
「本当!本当に助かります!これで手に水ぶくれ作らなくて済みますよ!」
舞羽と郁巳が透かさず洋をフォローした。
「…うん、悠季ちゃんいくみん、ありがとう…」
「まあ、姉ちゃんにしては気が利いてると思うよ。自費で肉まん等買ってきてくれたんだから」
「あ、和先輩がデレた」
「しー、綾ちゃん。今、和先輩なりにフォローしているんだから茶々入れないって!」
「悠季ちゃん、うるさいよ」
綾と舞羽のやり取りに和が冷やかに激を飛ばした。
「全く、ちゃんと年上っぽく気遣いが出来る所があるんだからしっかりしてよね和々先生」
「ううう…生徒と妹からの風当たりがキツイ時って何処に相談したら良いのかな…」
「とりあえず教頭じゃない?」
「…今度相談してみるよ~…」
妹の冷やかな返答に部屋の隅で体育座りをしながら本気に返すしか出来ない程ダメージを受けていた洋。
「…おほん、まあ動けない人はほおっといて綾ちゃんは私と一緒に部屋の片付けをしましょう」
「はーい」
「…では、片付け作業、再開!」
「「「「はいっ!!」」」」
まりもの号令に(洋除く)皆が公道を再開した。
「さてと、紐って…あれ?一つだけ?」
舞羽が買ってきたビニル紐を袋から探したが一つしか見つからなかった。そこに郁巳が近づいてきた。
「そう…みたいだな。どうするか舞羽」
「あ、いくみん。うーん、まあどうにかするしかないよね」
「そうだな。…よし!なら俺が結ぶよ」
「え、良いの?」
「おう。その代わりより良く結べる方法を教えてくれ。実は時々結んでる紐がほどける事があるから教えてもらえると助かるよ」
「へえ~。そうなんだ。うん、分かったよ」
郁巳の言葉に出してない優しさに舞羽が笑顔を向けた。
「(おやおやマーちゃんやあそこのリア充共がリアリアしていますぜ)」
「(…綾ちゃんリアリアしてるって何ですか?と言うかそれを言うならイチャイチャでは?)」
「ちょっと二人とも!」
「しっつれいしましたー」「…失礼しました」
「…おほん、綾ちゃん、ペットボトルに水入れて来て下さい。私はその間に図書室からいらない新聞紙がないか聞いてきます。ので舞羽先輩、郁巳先輩」
「「ごゆっくり~」」
「あ!ちょっと!こらー!!」
一年生ズは言うだけ言って脱兎の如く部室から逃亡した。
「もう!綾ちゃんもまりもちゃんも!」
「あはははは!発想が乙女だな~。そんな事無いのにな」
「あ、…うん。そう…だね…」
「ちょ!舞羽さん!?そこで顔を赤くしてモジモジしないで下さる!?俺も恥ずかしくなるんですけど!」
「あ!う、うん!もちろん!でも…ちょっとだけ、恥ずかしい…」
「あ、…うん。…そう…か…」
「うん…」
「…」
「………」「………」
「あの~」
「「!?」」
「あ、お取り込み中にごめんね。部室に私と一応だけど先生もいるからね。まあ先生はあそこの隅で落ち込んだままだけど…」
和が居たたまれない感じに舞羽と郁巳に声を掛けた。
「あ!うん!分かってるよ!和先輩がいることを!ね!」
「お、おう!モチロンだとも!」
「…二人とも顔を赤くしてそんな事言っても説得力が無い」
「「はい…ごめんなさい」」
「あはは、まあそんなに怒ってないから心配しないで。ただ、見ていて面白かったけどね~」
和が悪戯っぽく舞羽にウインクをした。
「全く…悪戯っ子とウインクする所は姉妹ですね」
「悠季ちゃん、抉るね~」
「まあ、この位返しても文句言わないでしょう。和・せ・ん・ぱ・い!」
「あ、うん!もちろん!だからそんな笑顔で来ないでー!怖い怖い!!」
「ほら!いくみんも何か言ってやってよ!」
「あ…あ~、うん。とりあえず和先輩」
「あ、はい」
「もう少し早めに声かけてもらえなかったですか?」
「え?」
「…正直、今まともに皆の顔が見れない程に自分の顔が赤いのが分かります…」
「「いくみん…ピュアすぎ…」」
顔を手で覆い隠している郁巳に舞羽、和はキュンとしたのだった。
いくみん、ピュア。そしてその場面に遭遇出来なかった綾とまりも。特に綾は照れる兄を見ていたらその帰りに郁巳から何個か美味しい物を貢がれたかもしれなかったですね。




