尋問、折檻、まりも大明神様
洋のズカズカとした態度についにあの人がキレた!
「ふむ、じゃあ片付けが苦手な和が片付けを提案したのね」
「…はい」
部室内で顧問の前で正座を(自主的に)している部長が答えた。
「…」
「…」
「…ふーん、へー」
「…」
「…ねえ、どう思うこの部長?」
「「「「………」」」」
「皆!フォローしてよっ!!」
和が半べそになりながら叫んだ。
「いや~、…まあ部長ですから」
「「あー」」
「ちょっとそこの兄妹、後で部長としてお話があります」
「その前に顧問として、そして姉としてお話があります」
「はい…」
和は目の前で仁王立ちしている顧問兼姉の洋の気迫に押された。
「先ずは顧問として、おほん。…部長!」
「はいっ!」
「普段から部室や備品の整理はしていなさい!何ですかこの惨状は」
「いや、他にも部員がいますし~」
「他の所より部長の周りが一番汚いのっ!」
「はいっ!!」
「…で、ここからは姉としてです」
「はい…」
「これじゃあ家と変わらないじゃない!貴女はどうしていっつも片付けが出来ないの!」
「…面目ないです」
「これじゃあ和に彼氏が出来ても家に呼べないわね」
「!?」
「あら、今動揺したわね。彼氏いるの?」
「い、いないよ!」
「じゃあ好きな人は?あ、もしかして…」
「「いくみんじゃないから!」」
「あらあら~。何で悠季ちゃんまで答えるの~?何で~?」
「あ…あう」
「も、もうお姉ちゃん!それは顧問として聞いてはいけないし、部長として見過ごせません!」
「あらあら。まあしょうがないかな。今回は見逃すね~。でも和」
「はい!」
「これは姉としてだけどもう少し部屋を綺麗にしてほしいかな」
「お姉ちゃん…」
洋が微笑みながら和に優しく言った。
「それはそれとして…家庭料理部部員一同!」
「「「「「はいっ!!」」」」」
「部室の片付け、するわよ!」
「「「「「は、はいっ!!」」」」」
「じゃあ後よろしくっ☆」
「「「「「おい」」」」」
「え~、片付けるのめんどくさい~」
「え~っと、悠季先輩」
「な、何かな~綾ちゃん…」
「こっち向いて下さいよ。…じゃあ部長兼妹の和先輩♪」
スッ…
「何でこっち向かないんですか」
「い、いや~、…部長兼妹として黙秘権を行使します」
「…じゃあ張本人の和々先生」
「…」
「和々先生、部室から出ようとしないで下さい」
「チッ」
「先生!先生が言っちゃいけない言葉が漏れてますよ!」
洋の素行の悪さに舞羽が口を挟んだ。
「…もしかして和々先生、片付け出来ないんですか?」
「!?」
まりもが核心を着いた。
「え、ほら、片付けは出来るけど面倒くさいじゃん」
「…出来るんですか出来ないんですか…」
「え、え~っと…」
「…」
じー…
まりもが今までで一番無表情の顔で洋を見つめた。
「…」
「…」
「…」
「…済みません、出来ません…」
洋がまりもに向かい正座をして合手礼をした。
「…」
「…」
「「「「…」」」」
まりも、洋、郁巳達は十秒位無言の部室内を動かなかった。
「…ふう」
無言の中、始めに声を出したのはまりもだった。
「…和々先生」
「は、はいっ!」
「顧問として姉として妹を正すのは良いと思います」
「は、はい。ありがとうございます!じゃあ…」
洋が許しを請おうと顔を上げた。
「ですが!」
「は、はいっ!」
その直後にマリアの大声に洋は再び合手礼の形をとった。
「姉として、顧問として、況してや教諭としてやってはいけない事があると思いますが!」
「は、はいっ!申し訳ありませんでした!」
「今後この様な事をしたら指導教諭を通り越して校長に直訴しますよ!」
「そ、それだけは!それだけはご勘弁を~」
洋が顔面蒼白になって許しを請うた。
「じゃあ部長及び部員を弄らない!そして業務を丸投げしない!良いですね!!」
「は、はいっ!!」
「…では、和先輩、いや、和部長」
「は、はいっ!」
「指揮をお願いします…」
「あー、うん。でもここはまりもさんが指揮を取った方が良いかな…と」
「?…そうでしょうか?」
こくこく
郁巳、綾、舞羽が何回も首を殺陣に振った。
「…ふむ、じゃあお言葉に甘えて。…皆さん、片付け、始めましょうか」
「「「「「サー、イエッサー!!!」」」」」
まりものいつもの表情と口調にも関わらず五人が皆、直立し敬礼をした。そして五人が心の中で意思統一した。
まりもさん、怒らせない様にしよう と。
まりも、正論で年上を論破する。




