酸っぱい、甘い、甘酸っぱい。
ゲームに熱中すると起こるハプニング。それは些細な事で些細でない事。
「やった!私の勝ち~!」
綾がアーケードのカートゲームで朝のリベンジを果たした。
「…さすが綾ちゃん。…強い」
まりもがパチパチと拍手を贈る。
「ぐぬぬ~…何故勝てない…」
和が腕を組みながら唸った。
「なんでボクだけスタート直後にリタイアするの~!」
舞羽が半泣きで画面を見つめた。
「さてと、どうします?もう一勝負いきますか?」
綾が高飛車な態度で再び三人に勝負を仕掛けた。
「…望むところです」
「よしっ!もう一勝負いこう!」
まりもと和が勝負に乗った。
「あはは、ボクはいいよ」
舞羽が苦笑しながらカートの席から立った。
「え~!舞羽先輩。もう一回だけしましょうよ~」
「あはは、ボクは人と闘う系のゲームの運はないみたいだから止めとくよ」
「そういえば私とババ抜きとかで毎回負けてたな~」
和が思い出しながら言った。
「え!?毎回?さすがに何回か勝ったことあるでしょう?」
綾が冗談半分で舞羽に言った。
「………」
舞羽は綾の方から顔を反らした。
「え?本当に?」
「あ~、うん…」
舞羽の代わりに和が口ごもりながら言った。
「………」
まりもが優しい眼差しで舞羽の肩に優しく手を置いた。
「まりもちゃん何か言ってよ~!もうっ!ボクちょっと他の所見てくるよ!」
舞羽が拗ねながら綾達と別れた。
「あ~、舞羽先輩怒らせちゃった?」
綾が頬を掻きながら和に言った。
「まあ、あれは時間が経てば元に戻るよ。多分近くにジェラート屋さんがあったからそこに行くと思うよ。それよりもう一勝負、いくんでしょ?」
「あ、はいっ!もう一勝負いきましょう!」
「…今度は負けない。ふんす」
「じゃあやろうか」
和はそう言ってニカっと笑った。
「(それにしても悠季ちゃん、もうちょっと先輩っぽくならないかな~。あれじゃあ同級生と一緒に遊んでいるみたい…ああ、友達だからか。先輩後輩っていうより友達なんだ~。そっかそっか)」
和が頭の中でそんな考えを巡らせてほくそ笑んだ。
~舞羽~
「もうっ!ボクをそんなにつまみにして楽しむなんて、綾ちゃん酷いよ!」
舞羽はぷんすかしながらゲームセンターの中を歩いていた。
「…まあ皆楽しそうで良かった。さてと、ボクは何処に行こうか」
舞羽は気分転換に周りを見渡した。
「あ、あそこにジェラート屋さんがあったんだ。…よし、一人で悪いけど行こう」
舞羽はそう言ってジェラート屋へ向かった。
「いらっしゃいませ。こちらで食べますか?」
ジェラート屋に着いて早々に店員のお姉さんに声をかけられた。
「あ、はい。え~っと……う~ん…」
舞羽が店前でショーケースを覗いて唸っていたら。
「後からお伺いしますね」
店員さんに笑顔で優しく言われた。
「あ、はい。ありがとうございます」
舞羽も笑顔で返した。
「うーん、…あ、店員さんのお薦めってどれですか?ダブルで、えーっとカップで食べたいんですが」
舞羽が店員さんのお薦めを聞いた。
「そうですね、私のお薦めだとやっぱり定番のバニラですね。それに合わせるんならサッパリ系のぶどうかレモンですね」
「じゃあバニラとぶとうでお願いします」
「はい、バニラとぶどうですね。六百五十円になります」
「はい」
舞羽は店員さんに六百五十円を渡した。
「六百五十円ちょうどいただきます。少々お待ち下さい。あ、そうだちょっとだけレモン食べてみますか?」
そう言ってお姉さんは小さいスプーンでレモンのジェラートを掬うって舞羽に渡した。
「あ、ありがとうございます!」
舞羽が笑顔で受け取った。
「何か難しい顔してるけど、可愛い顔が台無しだよ、お嬢さん」
お姉さんがテキパキとバニラをカップにつぎながら笑顔で言った。
「え、ボクそんなに難しい顔してました?」
舞羽が貰ったジェラートを口に含みながら頬をおさえて言った。
「ええ、なーんかケンカしたーって顔でこっちに来てたから」
「ええっ!そんなに顔に出てましたかお姉さん!?」
「ふふっ、ええ」
お姉さんが笑顔でぶどうを掬いカップに盛ってスプーンをつけて舞羽に渡した。
「はい、これ食べて機嫌直して。そして仲直りしなさい。ちょっとぶどう多めにしてるからね」
そう言ってウインクをするお姉さん。
「あ…ありがとうございます!」
「うん、じゃあね、お嬢さん」
そう言って舞羽とお姉さんは別れた。
「お姉さん、そんな所まで見てるのか…」
思ったことが口から出ながらジェラートのバニラを最初に口に含んだ。
「!あまーい。美味しい~!」
舞羽は三口ほとバニラを食べた後ぶどうの方を食べた。
「うーん!甘酸っぱ!スッキリできていくらでも食べれちゃいそう!」
舞羽はそう言ってパクパクとジェラートを食べていった。が、ふと手が止まって呟いた。
「友達と仲直り…か…。そっか、友達か」
舞羽はそう呟くとバニラとぶどうジェラートを一口に含んだ。
「うん、甘酸っぱいけど甘い!美味しいー!」
舞羽は笑顔でそう言った。そして食べ終わって直ぐに綾たち三人と合流した。
先輩後輩ではなく友達としての喧嘩。どうやら仲直りできた様子です。




