女の子の闘い
前回じゃんけんでドーナツとなった昼食。そこて事件が起こる。
大手ドーナツ会社のmaster Donutで昼食も兼ねて四人でドーナツを食べていると誰かのスマートフォンから某王道RPGゲームのオープニングBGMが流れ出した。
「あ、私だ。はいはーいっと。あ、お母様からだ。皆さん、ちょっとすみません」
綾が三人に一言謝ってから席を離れ電話にでた。
「あの有名なOPの曲を着メロにしてるなんて…綾ちゃんゲーム好きなんだね~」
舞羽が半ば呆れながらまりもに言った。
「…うん、このゲームの新作が今度sketch版で出るって言っててウキウキしていた…ふふっ、可愛い」
「おお…朝の出来事からたがが外れた様に攻めますな~。まー、当人は席を離れて電話中ですがな~。あ、さすがどぽんリング、美味しい」
他人事とばかりに平成どぽんリングを食べる和。
「…ふふっ」
「ど、どうしたのまりもちゃん!?」
突然不敵な笑みを浮かべたまりもに舞羽がビクッとしながら訪ねた。
「綾ちゃんの可愛さに衝動を抑えるのが精一杯で、何かハプニングがあったら絶叫しそうで自分自身が怖い…そう、ハプニングがあったら…綾ちゃんの食べかけのドーナツ美味しそう…ゴクリ」
「「食べちゃ戻れなくなるよ!?」」
「…(こくり)」
舞羽と和の必死の訴えに綾の食べかけのドーナツに手を伸ばしかけたまりもが止まりこくりと頷いた。
「良かった~。後輩が狂気に走らなくて」
舞羽がほっと胸を撫で下ろしていると隣で何かに気付いた和が血の気が引いたみたいに顔が青ざめていた。
「?どうしたんですか和先輩?」
舞羽が不思議そうに和を見た。そして舞羽は和の目線の先を見ると和と同じ様に顔を青ざめた。
「…ま、まりも…ちゃん?…その…まりもちゃんが頼んだドーナツって…」
「綾ちゃんと同じ物です」
舞羽の問いに即座に答えたまりも。
「…じゃあその食べ方って…」
「綾ちゃんと同じになる様に食べました」
和の問いに即座に答えるまりも。
「…」「…」「…」
時が停まった様に固まる三人。そして
「いただきっ!」
「させねえっ!」
まりもの綾とのドーナツを入れ替えをしようとした行動に即座に防いだ舞羽。そして綾のドーナツをその場から退けた和。
「ああっ!綾ちゃんの!綾ちゃんの食べかけのドーナツがっ!」
「まりもちゃん!正気に戻って!」
「人の道を踏み外してはいけないよまっちゃん!」
舞羽の必死の叫びに和の必死の説得にまりもは動きを止めなかった。いや、止められなかった。
「綾の食べかけのドーナツが食べたいっ!綾ちゃんの!綾ちゃんの!」
何かに取り憑かれたかの様に執拗に綾の食べかけのドーナツを手に入れようとするまりもに和が綾に叫んだ。
「あーちーんっ!早く戻ってきてー!あーちんのドーナツが危ないよー!」
和の叫びが届いたのか電話が終わり席に戻ってきた綾。
「いやー、まいったまいった。お母様から「今日の昼食代、後でちゃんと確認しますからね」って電話でした。ので、ここは私がが払いますね~。…って何してるんですか皆さん?」
「綾ちゃん…戻ってきた…」
「はいあーちん。良かった~。あーちんのドーナツは無事だよ」
天の助けが来たみたいに軽く涙目になる舞羽。ほっと胸を撫で下ろし綾に綾のドーナツのお皿を返す和。そしてそれを恨めしそうにみるまりも。
「?どしたのマーちゃん?」
「いや~」「あー…」
綾が不思議そうに皆の顔を見渡すとばつ悪そうに顔を背ける舞羽と和。
「…綾ちゃんのドーナツが食べたい…」
軽く涙を浮かべながら正直に話すまりも。
「ん?私のドーナツが食べたいの?ほい、じゃー。あーん」
綾は状況がいまいち飲み込めてなく食べかけでないドーナツを摘まみまりもの口の前に出した。
「「!?」」
「…!?え…!?…あ、あーん…ん、美味しい…」
好意を寄せている人から食べさせてもらえるイベントに困惑しながらも素直に受け入れるまりも。そしてそれを見て再び固まる舞羽と和。
「良かった~。ねね、私にも食べさせてよマーちゃん」
「!?い、いいの?…じゃあ…あーん」
今度は逆シチュエーションになる綾とまりも。
「あーん、ん!美味しい~!」
綾がドーナツにかぶり付き幸せそうにした。
「ふふっ、綾ちゃん、頬っぺたにドーナツのカス付いてるよ」
「え?」
「待って。取るから…ん、美味しい」
まりもは綾の口元に付いてたドーナツのカスを手で取りそのままパクッと食べた。
「ありがとマーちゃん。マーちゃんは本当にドーナツ好きだね」
「…うん、食べ物ではドーナツが好き…食べ物では」
意味深に「食べ物では」と2回言うまりも。そして萱の外の舞羽と和は綾から話しかけられるまで固まっていたのだった。
まりもが…まりもが道を外れていく…。いや、己の欲求に忠実。これがまりもだ!




