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不器用すぎる恋のレシピ ~料理スキルゼロから始まる彼女たちとの恋愛ストーリー~  作者: 睡眠の精霊ぽち。
第一章「料理初心者としての一歩」
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初めての朝【後編】

通学路に出くわした二人の少女。赤髪と大和撫子風の女の子、よく見ると赤髪は郁巳の、大和撫子は綾の知り合いだった。

 郁巳と綾はいつも通り通学路を歩いているといつもと違う光景に出くわした。


「…ねえ、郁兄」


「おぅ…綾…」


 そこには道端で這いつくばっている少女にパンを与えている人がいたのだった。


「あれ? お前舞羽じゃね?」


 郁巳は這いつくばっている人に声をかけた。


「ほへ?ふぉー、ほはほーひふみん」


 這いつくばっている人は郁巳の方を向いて挨拶をした。


「いや待て、俺そんな偉人でないから郁巳ね郁巳。後食べてから喋りなさい」


「ふぉーい。もぐもぐ……」


 綾は郁巳と舞羽のやり取りをポカンとした。しかしもう一人の子に気付くとその子に声をかけた。


「あれ?何でマーちゃんがいるの?」


「……ん。おはよう綾ちゃん。綾ちゃん迎えに行ってたら道端で日干しになりそうな人を見つけたからコンビニのパン与えてみた」


「いや、与えてみたって…どう見たって餌付けだよね?」


「……そうとも言う」


 綾は苦笑しながら郁巳にマーちゃんを紹介した。


「こちら、同級生のマーちゃん、臼井(うすい)まりもちゃん」


「……どうも……まりもです」


 まりもは言葉少なく挨拶した。郁巳はニカっとしながらその挨拶に続いた。


「おう、まりもちゃん。俺は綾の兄の郁巳だ。綾がいつもお世話になってます」


「……いえいえ、お兄さん。私の方がいつも綾ちゃんにお世話になっています」


「んもう、マーちゃんったら恥ずかしい」


 まりもの社交辞令に本気で恥ずかしがる綾。


「そして舞羽も助けてくれてありがとうな」


「スルーされたっ!」


 そんな綾を郁巳がスルーして話を進めようとしたら綾からツッコミが入った。しかしそのツッコミすらスルーしてパンを食べ終わった舞羽が自己紹介を始めた。


「ボクは舞羽、舞羽悠季(まいはねゆうき)。郁巳と同じクラスだよ。よろしく。そして先程はごちそうさまでした」


「いえいえ、お粗末様でした」


 復活して立ち上がった舞羽がまりもに礼をした。まりもも社交辞令らしく丁寧に返した。そして舞羽は綾の方を向き礼をした。


「結構な物でした」


「……な!初対面で何見てるんですか!」


 綾は顔を真っ赤にしながらスカートの裾を押さえて後ずさった。


「うんうん、綾に恥じらいがあり兄はうれぐはっ!」


「綾ちゃんに兄さんとは言えそれは失礼……」


 まりものカバンが郁巳の頬にヒットした。


「まあまあ、でもなかなかのピンクだった……ぐはっ!」


 舞羽も余計な一言をのべまりものカバンが頭頂部にヒットした。


「いたたたた……まりもちゃん、見た目よりも狂暴だね~」


 舞羽は頭を擦りながら呟いた。郁巳と同意見とうんうんと首を縦に振った。


 臼井まりもはボブの黒髪、少し綾より小さい160cm位でスレンダー。いかにも和服を着せたい大和撫子である。が、先程から行動が荒っぽい。


 そして舞羽悠季は背中まである赤髪。所々癖っ毛がある。髪色がいかにもヤンキーぽいが只の地毛である。ちなみに身長はまりもより少し小さい156~7cm位だと思われる。


 ちなみに郁巳は165cm、体重70kgの少しぽっちゃり、綾は163cm、体重67kgである。


「綾ちゃんを侮辱する人は許さない……」


 まりもはカバンを掲げ2年生ズを威嚇した。


「「は、はいい~……」」


 郁巳と舞羽は怯えて声を揃えた。しかしすぐさま後ろを向いてしゃがんだ。


「……今後なるべくまりもちゃんの前では綾ちゃんで遊ぶのは止めておこう」


「OK舞羽、()()()()な…くくっ」


 そう言ってお互い小さく親指を立てた。


「……何かよからぬ事を企ててますね……」


「まあまあ、いいんじゃないマーちゃん。そんなに被害でなさそうだし……あはは……」


 しゃがんで悪事を考えている2年生ズに後ろからカバンを掲げているまりもをなだめる綾。しかし今後の事に不安が募り始める。


「……ところで皆さん、時間大丈夫なのですか?」


 まりもは右手首の時計を見て言った。


「時間?あ!学校!」


 舞羽は気づいて声を上げた。琴乃葉兄妹も気づき周りを見渡した。自分たちと同じ様に通学中の生徒たちが誰もいなかった。時刻は8時50分。遅刻確定であった。


「あー……ボクが言うのもどうかだけど、……どうしょっか?」


 舞羽が申し訳なさそうに頬を掻いた。


「……どうしようも何も、もう遅刻確定なので諦めるしかないです」


 まりもがやれやれとした感じに答えた。


「ん~、そうだね。ゆっくり行こうか」


 綾がお気楽そうに言った。


「まあ……焦ってもしょうがないよな。よし!ゆっくり行こう」


 妹と同じくお気楽そうに言う郁巳にまりもは微笑んだ。


「……まったく先輩はお気楽ですね……ふふっ」


「そうだね。まあ気楽に行こうか」


 そう言って綾、まりも、その後ろに郁巳、舞羽と続き学校へ続く通学路を歩いていった。


 もちろん大遅刻だけにめっちゃ先生に怒られたのだった。

はい、臼井まりも 舞羽悠季初登場です。昨日までは少女CとAだったのに…すぐに出てきてくれて嬉しいっす。(都合により少女Bは今後登場予定)

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