断頭台。登りて登りて
和が琴乃葉家に戻った時、皆は既に琴乃葉家に着いていて…
ピンポーン
「こんばんは~」
「はーい、和先輩こんばんは。和先輩が最後ですよ」
「あ、あーちん、こんばんは。悠季ちゃんもう来てるんだ」
和は荷物が入ったカバンを玄関に置いた。
「はい、何でも家にとうもろこしがあったから持ってきてとうもろこしご飯を作ろうと急いだらしいです。今ご飯仕掛けてますよ」
「そうなんだ。恋人にしたい人の家族の胃袋を掴もうと頑張ってますな~w」
「本当に。いや~、健気で可愛いですね~w」
「ちょっと二人共!聞こえてるんだからね!」
綾と和がにまにまと悪い顔をしていると当事者の舞羽が顔を覗かせた。
「お、悠季ちゃん。こんばんは~」
「あ、はい。和先輩、こんばんは…じゃなくて!」
「まあまあ、取りあえず居間に行っても良いかな?」
「はいはーい、問題ないですよ~。どうぞどうぞ♪」
吠える舞羽を余所に綾は和を居間へ迎え入れた。居間ではまりもがお茶を両手で持って飲んでいた。
「あ、まっちゃん。こんばんは~」
「……ん、ん…」ぺこっ。
まりもはお茶を飲みながら和に会釈をした。
「もう!二人共酷いよ!何でボクが企ててるみたいに言うのさ!」
舞羽が炊飯器にとうもろこしの芯を入れながらプリプリ怒っていた。
「いや~、そう見えるんですよ~。ね、和先輩」
綾が先程と同じくにまにまと悪い顔をしながら言った。
「ん、悠季ちゃんもいつもこんな感じだよ」
和がしれっと手のひらを返した。
「まさかの離反!」「げほげほっ!」
綾がショックを受けた。それと同時にまりもがお茶でむせた。
「だ、大丈夫?まりもちゃん!?」
舞羽が心配そうにキッチンからまりもを見た。
「げほっ…げほっ……いえ、大丈夫です…けほっ」
「ところで何でむせたのまっちゃん?」
「…和先輩が先程「悠季ちゃん“も”いつも~」って言ったからです」
「?」「?」
「ああ…」
和と綾が?マークを浮かべていると舞羽が納得した様に声をもらした。
「あのねまりもちゃん、和先輩も人にご飯を美味しく食べてもらうの、すっごく好きなんだよ」
「ええ!?」
「何であーちんが驚くのさ…和ショック…くすん」
「はいはい、和先輩は片付けは全くだけど料理のアイデアは良いのよ。片付けは全くだけど」
「悠季ちゃん!?」
「よし。これで炊飯器セット…っと」
ピー
「よし、でも片付けが全く出来ないのを差し引いても和先輩はスゴいんだよ」
「「おお…」」
「ぐぬぬ…何度もダメ出しをしといて持ち上げる…これじゃあ怒れない…」
「さっきボクにした仕返しですー」
「あははははっ。和先輩形無しですね」
「綾ちゃんはとうもろこしご飯いつもの量の半分」
「そんな殺生な!?」
綾が半泣きで舞羽に縋り付いた。
「…自業自得だよ綾ちゃん…」
そう言ってまりもはお茶をくぴっと飲んだ。
ガチャ
玄関が開く音がした。
「あ、お母様帰ってきた」
「そう言えばおば様は出掛けてたの?」
「はい、何か買い出しをしてくるって言って決闘場へ…」
「おお…この時間に行って食材を手に入れようなんてなんたる猛者なんだ」
「まあ、私達より長く生きていますからね」
「あら綾、今日の夕食はもやしだけで良いだなんて。そんなに食欲ないの?仕方ないわね~」
「ごめんないお母様!」
綾が帰ってきた母親に瞬時に土下座をした。
「おお…綾ちゃん、必死だね~」
「…ここまで行くと清々しい…さすが綾ちゃん」
「まあさっき悠季ちゃんからご飯半分にするって言われてたからね~」
断頭台に立ってない三人が三者三様の言葉を投げる。
「まあ冗談は程々にして~、あら、ご飯仕掛けてたかしら~?」
郁巳たちの母親が炊飯器の炊ける音を聞いて四人に聞いた。
「あ、それはボクです。家にとうもろこしがあったのでとうもろこしご飯を作ろうと思い仕掛けました」
「あらあら、ありがとう。まさか綾が!?なんて一瞬考えたのだけど…そうよね~」
「ううう…さっきからご飯主導権者の断罪が酷すぎる~…きゅう」
「…口は災いの元…」
「はい…ごめんない…」
まりもにまで歯に衣を着せない一蹴に綾は懺悔した。
「あ、そう言えば。これ家からの差し入れです。ささみとキュウリの酢の物ごま油掛けです」
和がカバンから料理の入ったタッパーを取り出した。
「あらあら、ありがとう。綾もそこに座ってないで舞羽ちゃん達にお茶でも出して」
「あ、うん!」
郁巳たちの母親が琴乃葉家代表として受け取った。綾は母親に断頭台から下ろされて土下座を解いて直ぐ様舞羽達のお茶を用意を始めた。
「あははっ、綾ちゃんガンバ」
「あーちん、急いでお茶こぼさないでね~w」
お茶を用意されている客人の先輩ズが笑いながら綾を励ました。
口は災いの元。それがご飯を作ってもらってる側だと…




