クレープパーティー前哨戦、パジャマパーティー!
クレープパーティーの準備のつもりが…
「じゃあ先ずは野菜コーナーからっと」
「ですね」
和と舞羽が入口のパンコーナーから反対側へ行った。
「あれ?フレークとかってこっちですよ」
綾がカゴとカートを用意して二人を制した。
「あはは、先ずは腐らなくて重たい野菜系から買っていくのが定石なんだよ。だからそれは反対側の入口で取るよ」
「…そうですか」
舞羽の言葉に綾は少しふてくされた。
「まあ、これも部活動と言えば部活動だよ。どの順番に品物か並んでいるか。それをどう取って行けば効率が良いかなど。まあここが決闘場なら経験値稼ぎだよ。」
「…なるほど。経験値稼ぎですか…」
和の一言にまりもが納得する様に呟いた。それを聞いて綾も「経験値稼ぎ…」と呟き頷いた。
「(和先輩、ありがとうございます)」
「(いやいや、可愛い後輩の為だもの)」
舞羽と和がアイコンタクトを取り合った。
「じゃあ舞羽先輩、じゃがいもからってことですよね!」
綾が元気よく舞羽の横に着いた。
「そうだね。先ずはじゃがいも、その後はソーセージ。そしてホットケーキミックス等かな。後半にぐるッと回って牛乳、チーズ、アイスクリームを買うよ~」
「はーい!」
舞羽の説明に綾が元気良く手を挙げた。
「…まるで姉妹」
「あははっ、そうだね~」
それを後ろで見ていたまりもと和が孫を見守る老婆の如く笑い合った。
「舞羽先輩、じゃがいもってこの少し楕円形のメークインって言うのと球体みたいに丸いやつ、だんしゃく?どっちが良い物なんですか?」
綾が二つのじゃがいもを持って見比べた。
「うん、良い質問だよ綾ちゃん」
「お、部長。説明できますか~」
部長こと和がしゃしゃり出てきて舞羽が茶々を入れた。
「出来るよ!これでも家庭料理部長なんだよ悠季ちゃん!」
「知ってます。じゃあ和部長、じゃがいもの説明をお願いします」
「おほん、では先ずはメークインはねっとりしていて煮崩れしにくいんだよ。そしてこっちの男爵はホクホクしていてポテトサラダやコロッケに適しているよ。だから今回買うのはこっちの男爵。この大きさなら四個位かな」
「なるほど~、サラダには男爵で煮物にはメークインなんですね。あれ?じゃがいもの煮物って肉じゃが以外に何が…」
綾がじゃがいもの煮物に関して頭を捻った。
「煮物っていうのとはちょっと違うけどカレーなんかも煮るね」
舞羽が答えの一つを出した。
「そうそう、後はじゃがいもだけで煮る粉吹きいもっていうのもあるよ」
和がTHE・家庭料理を答えた。
「…粉吹きいも!何それ!た、食べたい…!」
まりもが興奮して和に顔をズズいっと近づけた。
「おお、まりもちゃん、落ち着いて落ち着いて。どうどう。今度作るから」
「…おお。本当ですね!嘘ついたら針千本ですよ!」
まりもが興奮冷めやらぬまま和に指切りげんまんをした。
「うん。さてと、じゃがいもの後はソーセージっと。あ、二袋セットのがあるからこれだね」
和は難なくソーセージをゲットした。そしてその後次々に食材をカートに入れて最後に卵をカートに入れた。
「よし、これで全部だね」
舞羽がLOneを読みながら何度も確認した。
「悠季ちゃん、アイス!アイスクリーム忘れてる!まっちゃん!バニラ、ボックス!ゴー!!」
「…にん!」
和が舞羽を制した後、直ぐ様まりもにアイスクリームを指示しまりもが消えた。そして数秒後
「…和部長、持ってきました」
気がついたらまりもが和のカートにアイスクリーム(バニラ、ボックス)を入れていた。
「お、おう……。まっちゃん、素早いね…」
「マーちゃんは学年一素早いですから」
何故か綾が胸を張った。
「あはは、じゃあ会計しようか」
和が先を行きレジに並んだ。
ピッ、ピッ、ピッ。
着々と食材がレジを通っていき合計金額が出た。
「合計四千四百八十八円になります」
「五千円からお願いします」
金額が出る前に和が五千円札とポイントカードをレジに出した。
「はい、ではお釣り…」
「「五百十二円」」
「五百十二円になります」
「計算早っ!」
和と舞羽のレジより早い暗算に綾はビビった。
「あははっ、この位当たり前だよ」
「そうそう当たり前当たり前」
和と舞羽のケラケラとした反応に綾は呆気に取られた。
「…和部長、もしかしてこれも…」
「うん、部活動だよ。財布のお金と暗算をすればどうやって少ない小銭で貰えるか、どうやったらレジの店員さんが困らないか等も考えながら行動する。まあ格好良く言えば“流れを読む”かな?あ、レシート下さい」
「おお!流れを読む。何か中二病っぽ…」
「少し黙ろうか」
トストスッ
舞羽がスッと綾の後ろに立ち気絶、覚醒を瞬時にした。
「ハッ、あれ?私は何を…」
「どうしたの綾ちゃん?」
「え?いえ、何でもないです」
舞羽は何事もなかった様に綾を誘導した。
「悠季ちゃん、恐ろしい子!」
「…あの技欲しい…」
和、まりもが舞羽の行動を見て各々の反応をした。
そして買い物を済ませて一行は荷物を琴乃葉家へと持って行った。
「良いの綾ちゃん、食材全て綾ちゃんちに預けてしまって。かさ張らない?」
舞羽が申し訳なさそうに綾に言った。
「問題ないですよ。それに今日の夕食は昨日の残り物ってお母様が言ってたから」
「そうなんだ」
舞羽がうずうずしながら反応した。
「はーい、じゃあ和先輩。ここが琴乃葉家です!」
「おお!ここが琴乃葉家!」
「まあ見ての通り何の変哲も無い一軒家ですけど」
綾が謙遜する様に言った。
「いやいや、私の所アパートだからスゴいよ」
「そ、そうなんですか~」
「…まあ綾ちゃん自身がスゴい訳では無いのだけど…」
「ぐさっ。と、とりあえず上がって下さい」
「あははは、お邪魔しまーす」
まりもの指摘にぐさっとしながらも綾は皆を台所へ迎えた。
「さてと、じゃがいもは黒のビニール袋にっと」
「あれ?舞羽先輩、何でじゃがいもを黒のビニール袋に入れちゃうんですか?」
「おお、これはほら、じゃがいもの芽が出ない様に光を遮断しているんだよ。じゃがいもの芽にはソラニンっていう毒があるから」
「おおっ!なるほど~」
「じゃあポテトサラダは明日作るとして今日はこれにて解散かな。明日楽しみましょう」
和が一区切りしようと皆に言った。
「あら、綾、帰ってたの?」
「あ、お母様。ただいまです」
「はいおかえりなさい。あら舞羽ちゃんに…そちらは?」
「は、…初めまして。私は綾ちゃんの同級の臼井まりも…です」
「あ、私は家庭料理部部長の和々 和です。三年です」
「あらあら、まりもちゃんに和ちゃん。よろしく。私は郁巳と綾の母親です」
「よろしくお願いします。おば様」
「よ…よろしくお願いします」
「はいよろしくね~。ところで綾、使う布団とかってそこにあるので良いのよね?他に足りない物ある?」
「もう!お母様!」
「あらあら。ふふ、じゃあお母さんは夕食の準備を始めるわね。舞羽ちゃん達は荷物を取りに一旦帰るんでしょ?」
「あれ?いくみんが帰るのって明日ですよね?」
「え?そうよ。だから今日の内に女子同士でのパジャマパーティーも必要でしょ。それとも郁巳を交えてのパジャマパーティーは…保護者として今はまだ…ね~」
「いえいえいえ!今も未来もいくみんを交えてのパジャマパーティーなんてありませんから!?」
さらっとスゴい事を言う琴乃葉家婦人の言葉に舞羽がブンブンと否定した。
「じゃあ尚更今日パジャマパーティーしとかないと、ね~」
「あはは…こう言う時は素直に従った方が楽ですよ」
綾が苦笑いをしながら舞羽達を諭した。
「私は初訪問で初宿泊。問題ないですよ」
「…私は…一旦置き手紙してくる」
「ぼ、ボクも問題はないけど…迷惑じゃ…」
「あるわけ無いじゃな~い。娘が四人に増える位どうって事ないわよ~」
「な、なんたる懐の深さ…」
郁巳のお母さんの感慨さに和がスゴさを感じていた。
「じゃあ皆さん、一旦解散で。ここに戻って来てから夕食をしてパジャマパーティーに」
「「「はーい」」」
「私はL7へお菓子を買いに行きます」
「…綾ちゃん、私も行きたい!」
「良いよ。じゃあ、まりもちゃんの所に行ってからL7へ行くとして。舞羽先輩と和先輩はどうしますか?」
「あー、私はここからだと学校の反対側だからL7へは無理だわ」
「うーん、ボクも良いかな。お菓子は綾ちゃんとまりもちゃんに任せるよ」
「「はーい」」
一年生ズが元気良く答えて
「それじゃあ行ってきまーす」
綾がお母さんに言った後に
「「「お邪魔しましたー」」」
と三人が会釈をした。そしてそれを見て琴乃葉家婦人ことお母さんは笑顔で返した。
「はーい、また後でね~」
急遽パジャマパーティーに!




