北海道独り旅(皆と一緒が一番落ち着く)
郁巳帰宅後クレープパーティーは続く。
「んで旅行一人旅はどうだった肉兄?」
綾はクレープ(ブルーベリーソース&生クリーム入り)をほお張った。
「ん~、何か思ってたワクワク感がなかったな~」
「へー、いくみん北海道行って楽しくなかったの?」
和はクレープ(生クリーム&フレーク&チョコソース、アイスのせ)を食べながら郁巳に質問した。
「いや、楽しかったよ。ただ…」
「…ただ、何ですか」
まりももクレープ(ソーセージ&チーズ)を食べながら聞いた。
「いや、あまりにもあっという間だったから身近に感じて。隣の市より近い感じがしたよ」
「うんうん、それだけいくみんには北海道が身近に感じたんだね。良かったじゃん」
「おう、そうだな…ってお前ら何で食べてんだ」
「ん?私ブルーベリー」
「私生クリーム&チョコソースとアイス乗せ」
「…ソーセージとチーズ」
「ボクはポテトサラダをクレープの中に入れてるよ」
「嫌がらせかー!どれもこれも北海道を彷彿とさせる物を食べやがってー!」
「肉兄が独りで北海道行くから皆で北海道っぽいクレープを食べてるんじゃん。肉兄はクレープ食べないの?」
「…食べたいです。すみません、お願い致します」
「あははっ、ハイハーイ。何が良いかないくみん?」
「ポテトサラダ」
「おっ、ボクと同じやつだね。チーズも入れとくね~」
「肉兄ずるい!舞羽先輩、私にも!私にもポテトサラダチーズ入りで~!」
「あははっ、ハイハーイ♪」
郁巳が激昂したかと思うと綾に戒められ素直になる所「兄妹スゴいな」と思いながらもクレープを作る舞羽だった。
「んでいくみん、北海道で何を見てきたの?」
和が興味津々に郁巳の北海道旅行の話を聞きたがった。
「一人だからゆっくりしたよ。時計台や大通公園、テレビ塔、定山渓温泉、羊ヶ丘展望台、小樽。大体そんな感じかな」
「定山渓温泉ってかっぱの像がいっぱいあるんだよね~。さすがにあのかっぱ像は撮ってきてないよね。ほら、顔がまんまるで目が顔に対してすごく小さいかっぱの像」
「ん~、先輩、これですか?」
「おおっ!これこれ良く見つけたねいくみん」
「ええ、何か色々な観音様の洞窟を通って行ったら変な所に出て来て、戻ろうと思ったらありました」
「え?肉兄何それ?神懸かってる」
「観音様だけにか?」
「「ぷっ」」「ふっ」「…くくっ」
「おいちょっと和先輩、鼻で笑うことないじゃないですか」
「いやー、なかなか面白いシャレだったので。ごめんごめん。ほらほら、悠季ちゃんが作ったクレープ食べて食べて」
「ぐっ、…まあいただきます。ん!美味しい!」
「でしょう。文字通り悠季ちゃんお手製のクレープだから味わって食べなよ」
「ボクが作ったのに何で和先輩がドヤ顔してるんですかー?」
「あーはっはっは。悠季ちゃん言いっこ無しだよ」
「もう」
舞羽は少し膨れっ面になりながらも綾にクレープを渡した。
「はむっ、それにしても…肉兄…は……今までここまで唐突に旅行に、しかも独りで行くことって無かったよね」
「綾ちゃん、食べるか話すかどちらかにしなさい」
「はーい。はむっ」
綾は食べる方を選んだ。
「…まあ、綾ちゃんの言う通り確かに夢の中に羊蹄山が出てきたからって言う理由だけでは少しジャブが軽いと」
「うっ」
「いくみん、隠し事は良くないな~」
和がニヤニヤしながら郁巳を見た。舞羽に至っては少し不安そうに郁巳を見つめていた。
「はあ、分かりました。えっと前に九州、北海道を舞台にしたゲームをしたんだよ」
「ああ、それってあれ?南から北へ。あれ難しかったよね~突然北の大地へ行く事になって予算内にどうやって九州の自宅まで戻るかだったよね?」
和が思い出しながら話した。
「そう、それです。それをやって俺も旅行したくなったのも理由なんです」
「おお…まさかのゲームが理由…。良かったですね舞羽先輩、肉兄がネットの女性に会いに行った訳じゃなくて」
「綾ちゃん!シーッ!シーッ!」
「ははは、ネットの女性に会う為に北海道に行くだなんて。それこそゲームみたいだな」
「そ、そうだね。あはははは…ほっ」
「(舞羽先輩、あからさまに胸を撫で下ろしてますね)」
「(ふむ、悠季ちゃんはやはり尽くすタイプか)」
「(…舞羽先輩、安心しまくりです)」
「ちょっと!そこでコソコソ話している三人!ちゃーんと聞こえているんだからね!」
「肉兄、舞羽先輩ほっと胸を撫で下ろしてるよ」
「わーっ!わーっ!!」
「悠季ちゃんうるさい」
「綾ちゃんも和先輩も何言ってるんですか!?というかまりもちゃん!何、紙にマジックで書こうとしているの!?」
「…?…いえ、郁巳先輩を待つ舞羽先輩の心情を郁巳先輩に伝えようと思って…」
「しなくていい!」
「…ふふっ」
綾たち四人がギャーギャー言っている中、郁巳が笑った。
「…?郁巳先輩、どうしましたか?」
「ん?いや、こう騒がしいと帰ってきたなと思ってな」
「ふっふっふ、肉兄寂しかったんでしょう」
綾が意地悪く言った。
「そうだな。確かに寂しかったのかもな…」
「いくみん…」
舞羽が少し言葉を詰まらした。
「でも、やっぱりここって感じがするよ。俺の場所は」
「お、おう…そうか…そうなのか…」
綾は面食らった様に言葉を詰まらせた。
「にしても私もそこに居るのだろうかねいくみん」
「何言っているんですか和先輩だって綾やまりもちゃんと仲良くなっているじゃないですか」
「お、分かるかい?いくみんがいない間に皆でご飯作ったり食べたり泊まったり。まさに寝食を共にしたからね~。そりゃ仲良くなるよ」
「そうだね」
「ですね」
「…です」
和の言葉に舞羽、綾、まりもが同意する。
「…そっか」
郁巳は府に落ちた様に目をつぶった。そして不意に目を開けて和に聞いた。
「…ん?泊まったって?どこに?」
「ここに」
「皆?」
「うん、皆」
「もしかして俺の部屋を…使った?」
「うん」
「Nooooーーーー!」
「はっはっは、いくみん、嘘だよ嘘。皆居間で布団を敷いて寝たよ。ほら、あそこに布団あるでしょう?ね?」
「はぁ、はぁ、はぁ…本当?」
「本当!本当だって。ね、皆」
和が綾たちに投げ掛けた。
「う、うん」
「ボクも天に誓うよ」
「…同じく」
「そっか…」
「…肉兄さん、何か後ろめたい物でもあるの?」
綾がジト目で郁巳の顔を覗いた。
「も、問題ないけど…ほら、何となく自分の居ない間に自分の部屋に他の人が入るのは嫌だろう」
「うーん、…まあそうだね」
綾が納得した様に頷いた。
「よし!じゃあ片付けて寝ようか?いくみん、一緒に寝るかい?」
「寝らんわーっ!」
和からからかわれて郁巳は荷物を置きに二階に上がって行こうとした。
「あ、そうそう、いくみん」
二階に上がろうとする郁巳を和が呼び止めた。
「何ですか和先輩?」
「お土産、ありがと。大事に使うね」
「あ、はい。じゃあ、お休みなさい」
「うん、お休み。寂しくなったら一階に降りてきて問題ないからね~」
「しません!」
そう言って郁巳は二階に上がって行った。
「はっはっは、いくみんはからかいがいがあるな~」
「ていうか和先輩、片付けたしないでしょう?」
「うん、しない!というより出来ない!」
「威張る所かーっ!」
舞羽の絶叫が夜に響いた。
北海道旅行独り旅編ラストです。今回一日で怒涛の勢いで書きました。えっと~、時間にして七時間位かな?では次回から日常編かも?もしかしたら番外編かも。




