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不器用すぎる恋のレシピ ~料理スキルゼロから始まる彼女たちとの恋愛ストーリー~  作者: 睡眠の精霊ぽち。
第三章「皆でご飯作り・オムライス」
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初見殺し発動

 綾がオムレツ初挑戦。どうなることやら…

 パンパン!


 舞羽が手を叩いて皆の注目を集めた。


 「おほん、ではふわふわオムレツを作り始めますか!」


 「おう!」「…ガッテン」「はいっ!」


 「うん、では綾ちゃん、心の準備は良いかな?」


 「は、はい!」


 綾は舞羽の質問に勢い良く応えた。しかし舞羽も綾の緊張を見逃さなかった。


 「…綾ちゃん、ファイト」


 「まあ、失敗しても食べれるから大丈夫だ」


 「あはは、まあさっきも言ったけどふわふわオムレツは初見殺しだから一回目は馴れるための練習だと感じて」


 「は、はい。…うう、でも失敗したくない~、美味しいの食べた~い」


 「綾ちゃん、誰かが“料理は失敗した数だけ成長できる”って言ってたよ。ボクもいっぱい、いーっぱい失敗してるよ」


 「ふぇ?舞羽先輩が?」


 「うん、失敗して『何がいけなかったのか?今回これで失敗したのだから次は違う方法でしよう』とか試行錯誤しながらしてるよ。だから失敗を恐れないで。大丈夫、失敗の数だけ成長できるよ、ね」


 「は…はい」


 綾が頬をほんのり赤く染めながら返事をした。


 「う~ん、良いシーンなんだけど…」


 郁巳が場の雰囲気を崩す。


 「…お姉さんと妹さんの身長が逆なんですよね」


 まりもが止めを刺してきた。


 「うっさい!」


 「そうですよ!舞羽先輩はお姉さんですよ!」


 舞羽が半泣きになりながら唸り、綾が援護射撃をした。


 「綾ちゃん…」


 「舞羽…お姉ちゃん…」


 「綾!」


 「お姉ちゃん!」


 「「ひしっ!」」


 舞羽と綾が姉妹呼びをして抱擁しあった。


 「…けっ」


 「うん、まりもちゃん。ちょっと静かにしようか」


 まりもの唾を吐く行為に郁巳が軽いお叱りを入れた。


 舞羽と綾が抱擁しあって十数秒、舞羽から離れた。綾は名残惜しそうに舞羽から離れた。


 「じゃあ、準備は良いかな?」


 「はいっ!」


 綾は舞羽からの再びの質問に今度はハッキリと応えた。


 「うん、良い返事。じゃあ、先ずフライパンに油をひいてから強火で、軽く煙が出る位まで熱して」


 「だ、大丈夫なんですか?火事になりませんか!?」


 綾が軽く尻込みをした。しかし舞羽は気にも止めないで笑って答えた。


 「大丈夫大丈夫。煙が出て直ぐに火が点く訳じゃないから。それに美味しいの作りたいんでしょ?」


 「は、はい…」


 「ならボクを信じて、ね」


 「は、はいっ!」


 「…けっ」


 「うん、まりもちゃん。もう少し隠そうよ」


 郁巳はまりもの少しも妬みを隠さない言動に釘をさした。


 「あはは…」


 舞羽が頬を掻きながら苦笑いをした。


 「あ、お姉ちゃん!煙が出てきました」


 「よし!じゃあ、フライパンに入れるボウルのをもう一度軽く溶いて一気に入れちゃって!」


 「はいっ!」


 舞羽の掛け声に綾は一気に溶き卵をフライパンに入れた。


 ジューーーーッ!!


 溶き卵がフライパンの上で沸騰するみたいにブクッ、ブクッと何度も盛り上がった。


 「よし、じゃあ、箸でゆっくり混ぜて。慌てないでね。サーーッ、サーーッ、サーーッって感じに」


 「はい!サーーッ、サーーッ、サーーッと」


 綾は舞羽から言われた通りに箸でゆっくり混ぜた。溶き卵は膜をつくりながら重なり鱈の肝みたいになり始めた。


 「よし!じゃあ、ここでフライパンの先の方にまとめるよ。今度は素早く!ハイッ!」


 「は、はいっ!」


 舞羽の指示に綾は素早く卵をフライパンの先の方にまとめた。


 「じゃあ、ここからひっくり返すよ~。手のスナップを効かせて。ひっくり返るイメージで返して。ハイッ!」


 「あ、ハイッ!…あれ!?ひっくり返らない!?ああ!固まっていく!?」


 イメージ通りにいかない事に綾は軽くパニックを起こした。


 「ほい。じゃあ、ここからはボクがしてみるよ。替わって」


 「は、はいっ!」


 「ひっくり返らないのは溶き卵の膜の一番外側がフライパンに引っ付いているからだよ。ほらこうやって膜を剥がしてやれば…ほいっ」


 舞羽は手首のスナップを効かせてくるっとひっくり返した。


 「おおっ!」「…さすが」


 郁巳、まりもが同時に賞賛を上げた。


 「舞羽先輩…すごい…」


 綾に至ってはレベルの違いに呆気に取られていた。


 「ははは、こんなの何度も自分のコツを掴んだら出来る様になるって~」


 舞羽は照れくさそうにはにかんだ。


 「んで、後は勘になるんだけど、どの位火が通ったかを焼けている時のイメージの延長線上で推測してチキンライスの上に乗っけるっ、と」


 舞羽はオムレツの形にまとめて直ぐにチキンライスの上に乗っけた。


 「そして透かさずにオムレツに切り目を入れれば…トロトロのオムレツが…」


 「…?…出てきませんね」


 まりもが不思議そうに覗きこんだ。


 「おい舞羽?」


 郁巳が舞羽に問いただした。


 「…てへっ」


 「もしかしてお姉ちゃん…」


 舞羽の茶目っ気に綾は血の気が引くのを感じた。


 「失敗しちゃった」


 「…おお」「やっぱり~」「お姉ちゃ~ん」


 三人が同じ様に肩を落とした。


 「うん、まあこうなることは分かっていたけどね」


 舞羽がどこ吹く風と悪びれることなく言い放った。


 「まあ、これが初見殺しなんだから仕方ないよ。ほら料理は」


 「…失敗した数だけ成長できる?」


 「うん、だからこれで失敗って思わないで。ほら後三回はチャレンジ出来るんだから」


 「うう…おね"え"ぢゃ~ん」


 「はいはい、泣きべそかかないかかない」


 「…けっ」


 「うん、まりもちゃん。もうそろそろ黙ろうか」


 郁巳は再三に渡りまりもを呈した。


 「でもその前に…」


 「「「?」」」


 舞羽の言葉の続きに?マークを浮かべる三人。そして舞羽が言葉を続けた。


 「残りの三人前のチキンライス作らないと」


 「だあああっ」「…おっとうっかり」「あ」


 完全に忘れられてた具とご飯が少し冷たくなっていた。

 案の定の失敗。失敗の原因は綾が直ぐにひっくり返せなかった事だが舞羽はその事を言いません。初めての人を責めても意味がほぼないからです。


※平成最後の書き込みです。

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