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不器用すぎる恋のレシピ ~料理スキルゼロから始まる彼女たちとの恋愛ストーリー~  作者: 睡眠の精霊ぽち。
第一章「料理初心者としての一歩」
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どなたか!料理のできる方はいらっしゃいませんかっ!?

さあ、夕食の(支度の)時間た!

 日も傾く午後5時、郁巳はキッチンで仁王立ちをしていた。


「こ れ で、ま、ちがいないよな?よな?」


「ん~?肉兄どーした~?」


 居間のソファーで横になり三角煎餅をぼりぼりと食べながら興味なさそうに言った。


「ん?いや、ハンバーグを作っているけど捏ねるのってこの位なのか全く判らなくて。しかも脂むっちゃ手につく!」


「ん~、ハンバーグだからな~ジューシーの為だ。頑張れ~」


 綾は興味なく新たな三角煎餅に手をつけ始めた。


「ちょっ!綾さん!年頃なのに何で貴女は家事しないの!?」


 郁巳は手についた脂をキッチンペーパーで拭きながらイラついた。しかし綾は姿勢を変えず臆することなく言い放った。


「肉兄だって散々母さんに任せてしてこなかったじゃん。そしてその成果?結果がこれじゃん?」


 綾はそう言って兄妹二人以外誰もいない家を見渡した。そう、今現在両親不在である。普段この時間には母親が料理をしていた。しかし、「私ばっかりご飯作ってばっかり!もうご飯作るのやーめた!」と数日前からストライキを起こした。父親は仕事の為帰りは夜になる。そこで白羽の矢が立ったのが兄妹であった。しかし郁巳は普段食べ専門であり、綾は夕食の皿だしや片付けを進んでしていたので「私ばっかりご飯して嫌ー!肉兄が作ればいいじゃん!」と綾の猛反発に合い郁巳が夕食準備を担当する事になった。


「ぐぬぬぬぬ…そうですね…」


 郁巳は奥歯をギシギシさせながら唸った。


「…はあ、でも私もハンバーグってあんまり得意とは言えないから期待しないでよね」


 そう言うと綾はソファから立ち上がりキッチンへ進んだ。

 

「綾…兄は、肉兄は嬉しいよ!」


「あ、そういうの間に合ってますので結構です」


「あ、はい……」


 郁巳の自虐を軽くあしらい綾は手を洗い始めた。


「ちなみに肉兄、どれ位練った?」


「ん?練った回数なんて数えてないぞ?」


 郁巳は“さも当たり前”の様に答えた。


「いや、肉兄、ひき肉って練っただけ色が変わってくるんだよ」


 手の水気をきった綾が呆れながら郁巳(正確にはハンバーグの種)に近づいた。


「ひき肉、正確には脂身だけどね人の手のひらの温度でも溶けるの。その証拠に肉兄の手、脂ついてるでしょ?」


「おう。でもこれって余分な脂じゃないのか?」


「……肉兄、甘い。甘すぎる。例えるなら和三盆より甘いわ~」


 綾は呆れながら呟いた。


「あのね肉兄!お母様のあのジューシ~なハンバーグ、あのジューシ~さ、その脂!脂なの!」


「そ、そうなのか!?でも普通に作っていたら問題ないのでは?」


「はぁ」


 綾が何度目かの呆れ顔をした。


「あのね、分かってるだろうけどハンバーグはジューシーさが大事なの!そしてそのジューシーさの元はその脂、更に言うなら捏ね過ぎないのも大事になってくるの!!」


 ズバーンッ!と後ろに文字が出てる位に綾は郁巳に人差し指を差した。郁巳は恐れながらハンバーグ(の種)を見た。

 

「じゃ、じゃあこのハンバーグは……」


「うん、もうこの白さあんまり美味しくないと思う……」


「そんな……俺の……俺のこの手と熱意の性で……ぐずっ」


 郁巳は肩を落としながら涙を流した。


「うわ、ガチ泣き!ほら大丈夫だって!郁兄!焼いてみてから!そう食べる時に美味しいと思えれば良いんだって!」


 兄の形相に必死にフォローをする妹。


「う、うん…そうだな綾。“終わりよければ全て良し”……だな!…………よし!」


 そう言って郁巳は涙を袖でぬぐった。


「あ、念のため肉兄、手洗ってね。食中毒怖いから」


 綾の的確な衛生管理の元ハンバーグ作りは再開したのだった。 

まだ夕食はできません!

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