ツーショット写真ゲット
郁巳が起きてきて見た光景とは…。
「…下がうるさい…」
郁巳は一階の賑やかさに目を覚ました。どうやら舞羽と綾が一階で話しているらしい。
「じゃ…、舞羽先輩、スクランブル………私、フォークと…用意しま…」
「…何だろう?とりあえず下に降りるか」
郁巳はとりあえず考えるのを止めて制服に着替えた。
「…よし!」
郁巳は制服に袖を通した。そして階段を下った。
トン、トン、トン
一階に降りると舞羽と綾が仲良く隣同士に座りスクランブルエッグを食べていた。
「あ、肉兄、おはよう」
「いくみん、おはよう」
綾、舞羽と郁巳に朝の挨拶をかけてきた。
「おう、おはよう。舞羽、綾。ところで…お前たち、何してんの?」
郁巳が不思議そうに二人に聞いた。
「それは二人とも仲が良いからよ」
綾の真向かいに座っている郁巳たちの母親が嬉しそうに言った。
「あ、お母様。おはよう」
「はいおはよう。見て見て郁巳まるで姉妹みたいでしょ~綾がお姉さんっぽいけど、それがまた良いのよね~」
郁巳たちの母親はスマホで舞羽と綾のツーショット写真を撮り始めた。撮られている舞羽と綾はフォークでお互いに食べっこポーズをしたりイケイケであった。
「うん…何か…すごいな」
郁巳が少し後ろに下がりながら言った。そして心が『これ以上見てはいけない!』と警笛を鳴らして顔を洗いに行った。
ジャーーーーーー
郁巳は洗面所で流れる水を聞いて心を落ち着かせようとした。
「…あれは…何だ?…」
あれは夢ではなかったのか?あれは願望だったのだろうか?
郁巳は寝起きで頭が回らない中訳が分からない考えまで出てきていた。そして考えるのを諦めて顔を洗った。
「…よし!とりあえず気のせいだ!よし!」
そう自分に言い聞かせ居間に戻った。
「いいよー!そのまま。ハイ!じゃあ、今度は背中を合わせて手を繋いで~。目線下さーい。ハイ!もう一枚いきまーす!」
居間に戻ると母親が二人のモデルのカメラマンをしていた。
「… … …」
ゴンッ
郁巳は頭を居間の入口の柱にぶつけた。
「あ、いくみん。いや、これは…」
「どう?どう?肉兄?可愛くない?」
片や恥ずかしそうに慌てふためく同級生、片や今時というか親子というかノリノリな妹。郁巳は額に手を当てた。
「見なきゃ良かった…」
「ブー!それは酷いよ肉兄!ほらこんなに可愛い二人がいるのに」
「そ、そうだよ!可愛い二人の写真、ほしくなぃ?」
郁巳のため息に綾がブーイングを、舞羽は何気に自分の写真を受け取ってもらおうと思いながらも尻込みをしていた。
「いや…朝から濃いですわ。これ」
郁巳は気持ちいっぱいと手を振った。
「あらそう?そんなことないわよね?」
「そうだよ肉兄!もう朝からテンションMAXだよ!」
親と娘は楽しそうにはしゃいでいた。そんな中舞羽はチョコチョコと郁巳に寄って行った。
「だめ…だったかないくみん?」
「いや、だめって言うか、朝からこの光景は流石に予想してなかったわ~」
「そ、そうだよね。あはははは…」
郁巳の遠い目を見て舞羽は苦笑した。しかし舞羽は次に(普通に聞いたら)とんでもない爆弾を投下してきた。
「でもボクの写真はほしくないんだ」
舞羽は少しふてくさた感じに俯いた。
「(おお!お母様、見てください。舞羽先輩が勝負に出ました!)」
「(あれは小さい体を駆使して『小さい子供がふてくされている』風に装い、相手に断り難い形に持っていったー!)」
舞羽と郁巳が話している中、外野が実況をしていた。舞羽には聞こえているので正直恥ずかしくて穴に入りたい気持ちだった。
「うーん、まあ友達と写った写真は欲しいかな?」
「ハイ!じゃあ!私が写真撮るよ!ほら肉兄、舞羽先輩、並んで並んで」
「お、おう」「う、うん…」
郁巳と舞羽は事の流れに飲み込まれながら二人で並んだ。
「ほら!肉兄!スマホ貸して」
「お、おう」
「綾ちゃん、ボクのスマホでも撮って!」
「はーい。じゃあこちらに。んじゃ、撮るよ~。いち、にーの、さん!」
パシャ
「もう一枚撮りまーす。では、今度はお二人、もうちょっと近寄って~。ハイ!じゃあ、いきまーす!いち、にーの、さん!」
パシャ
「ハイOKでーす」
綾は郁巳、舞羽のスマホで一枚づつ違う写真を撮った。
「あ、あの。いくみんのスマホで撮った写真も欲しいからLOneの友達申請していい?」
「おう!俺も舞羽のスマホで撮った写真欲しいから願ったり叶ったりだ」
「やった!」
舞羽はなし崩しに郁巳とLoneの交換に歓喜した。そんな中、策士の綾とそれを見守った郁巳たちの母親はお互いにサムズアップをし合ったのだった。
郁巳たちの母親、綾と同じ位若いです。




