俺たちの夕食はこれからだ!!
食べるの大好き琴乃葉郁巳は母親の家事放棄により(主に夕食の)危機に瀕していた。そこで郁巳は妹の綾と共にご飯を作ることとなったが…さあどうなる!
時間は夕方4時
「「俺たちの戦いはこれからだ!!」」
まるでバッドエンドの様に妹の綾と共にスーパーの前で拳を掲げて叫んだ。そう、タイムセールの時間である。
「え~、お待たせ致しました。只今より夕方4時の決闘を開催しま~す!」
恰幅の良いいかにも人の良さそうな人がタイムセールの開始を告げた。
そう、これは決闘である。決して遊びではない。この決闘の勝者には今日の夕食や明日からのご飯の経費が格段に安くできるのである。
「いくぞ!綾!」
「おう!肉兄!」
「おい綾、おれもう肉じゃない!肉好きだけど!俺、郁巳な。あにぃ!」
「うん!分かってるよ肉兄!今日はハンバーグのリベンジだからね♪」
「あ~、もう!!分かったよ!ハンバーグだな!なら精肉コーナーへの今の最短ルートは…こっちだ!」
奥様方が半額のロース肉売り場に群がっている中、肉兄こそ郁巳はビッグ盛りのひき肉売り場に最近再びコレステロールが気になる体を滑らせ進んで行った。
「ひー!やっぱり奥様方は当たりが強い!でも負けない!愛しのお肉の為に…ていやっ!」
「きゃっ!デュエルで私の脇腹を掴んだのは誰!?あ、肉兄か~w」
「お前が何故先にいるーっ!というかひき肉は!?」
「ひっひっひっ。ひき肉ならほれ。牛:豚を7:3の割合のを手に入れてますよ肉兄♪」
「よ…よし!よくやった綾!なら決闘場から離れるぞ!」
「了解ー!」
郁巳は行きと同じ様にひーひー言いながら決闘場から離れた。そして目の前になぜか先にいる綾がドヤ顔で両手のひき肉を見せてきた。
「ほらほら♪どう?肉兄?牛は赤身多めで豚は脂身もあるのを選んだよ♪」
「おおっ!さすが綾、よくやった。…と言いたいけど牛560g、豚240gの合計800gで1,710円って!」
「ん?何か問題?」
綾が不思議そうに首をかしげた。
「値段じゃ!値段!price!」
「?高いの??」
「高いの??のじゃなーい!高いわ!しかもこれタイムセール品じゃない…じゃん…」
郁巳がこの世の終わりの様に崩れ落ちた。
「??でも他のひき肉、もう無いけど?」
綾が奥様方という決闘場の闘士達がいた棚を指差した。そこには棚以外何も残ってなかった。そう売り切れである。
「OH…No…」
郁巳は天を仰いだ。
「???変な肉兄。さーて他の買い物…は~肉兄に任せよう♪あ、私あっちの駄菓子コーナー行っとくね~♪」
そう言うと綾は残像を残しながら駄菓子コーナーへ行った。
「………まあ、綾が喜んでくれるならいっか。明日はもやし炒め一択だけどな…はぁ、肉食べたい…」
肉兄は明日の肉に想いを募らせながら他のコーナーへとぼとぼと足を運んでいったのだった。
買う物を一通り揃えレジに並ぶ。いかにも同年齢位のアルバイトの学生が手早く済ませる。
「合計1,999円になります」
「2,000円からお願いします」
「2,000円お預かりいたします。お釣1円になります」
「あ、はい」
「残念でしたね。今日2,000円で明日明後日に使える8%割引券が発行出来たのに。ぷぷぷっ」
アルバイトの学生(?)がこれ見よがしに笑いを堪えている。
「店長を呼んでください」
「申し訳ございません。それだけはご勘弁をっ」
郁巳が直球を投げるとアルバイトの学生(?)が頭をほぼ直角に下げた。
「次から気をつけて下さいね。お客は神様ではないので」
「それは三度以上見逃してもらえると?」
「次はないという事です」
「はい!気を付けるであります!」
そんな雑談をしていると後ろから「ちょっと早くしてくれない!後ろつかえてるの!」と闘士からせっ付かれた。
郁巳はそそくさと会計を済まし少し戸惑いながらも買った物を袋に詰めスーパーの外に出た。するとすぐ横で綾がめんたい味の食い棒(3本目)を頬張っていた。
「ふぉ、ふぉふおりひくいー」
「綾さん、食べてからでいいから…ほら、帰るぞ」
「んぐっ。おおっ!そしたら今日は…」
「ああ、もちろん」
兄妹そろってスーパーの前でガッツポーズを掲げた。
「「ハンバーグ、だーーーっ!!」」
「…ってこれ入る前にも…」
綾も気付いた。
「した…よな。ひひっ」
「ひひ」
兄妹そろってイシシと笑った。
琴乃葉郁巳(18)、綾(17)。揃いもそろって青春より精肉を選ぶ兄妹であった。
「今日は久しぶりに肉兄が作るんだよね」
「まあそうだな。悠季もいないし菓愛莉もまりもも実家で用事があるって言っていたからな」
「あにぃの久しぶりの料理がハンバーグなんて一年前を思い出すね」
「そうだな。あの時はまだ料理の知識もあんまりなかったし大変だったな」
「そうそう。でもその後に舞羽先輩……悠季先輩に成り行きで誘われて家庭料理部に入ってから色々あったからね~……。あにぃ達の結婚とか」
「そうだよな~。最近再び太りだしたし。少し食べるのセーブしよう」
郁巳は少し出たお腹を摘まみながら言った。そんな郁巳を見て綾は「あはは」と笑った。
「まあ私はその分がつがつ食べるけどね」
「……綾さんや、最近体重け」
「あー!あー!きーこーえーなーいー!!」
綾は両手で耳を塞ぎながら大声で言った。しかし何かを思い出し手を離し郁巳に嬉々として言った。
「あ、でも最近可愛いって言われたよ」
「……それは聞いても良いなら男か?」
「あらあにぃ嫉妬~?」
「そ、そんなんじゃないぞ!ただ、妹に悪い虫が付かないか心配なだけだ」
「あはは、ありがとう。でも大丈夫、女の子からだよ」
「そ、そうか……」
「まあこんなに可愛い妹がいるとあにぃも大変だね~。あ、今は奥さん達の方に悪い虫が寄ってこないかの方が心配か。最近少し雰囲気変わってきたよね~。何か新妻の色気が出てきたと言うか落ち着きが出てきたと言うか……」
「アハハハハ。マアソウダネ」
「……あにぃ、まさかヤッたの?」
「シ、シテナイヨ」
「……怪しい」
「……というかされそうにナッタヨ……フッ」
郁巳が遠い目をして言った。
「あ、あはははは。まあ悠季先輩達はどちらかと言えば肉食系だからね~。特にマーちゃん」
「アハハハハ……」
「おーい、あにぃ~、戻ってこーい」
「……フッ、フフフフフ……」
「あ、ダメだこれは。取りあえず、うりゃ」
「ふぐっ!?」
綾は郁巳の口に食い棒を押し込んだ。
「!?グッ、グブッ、……何する綾!!死ぬかと思ったぞ!!」
郁巳は自分の口に押し込まれた食い棒を手で取り綾に叫んだ。
「あはは、大丈夫大丈夫。そんなので死なない死なない。まあこれで死んだから死因食い棒による窒息死なんてシャレにならないけど」
「そうだぞ!!」
「まあそうしたら悠季先輩達はJKで未亡人となると。……新ジャンルが……」
「おいちょっと待て。誰が未亡人にさせるか」
「あはっ、流石あにぃ。ちゃんと言い切るね」
「ま、まあ、流石に自分の妻達を未亡人にさせるつもりは毛頭にないからな」
「うんうん。そうでなくっちゃ。じゃあ取りあえず帰ってご飯にしようか」
「何かどうでも良い感じにされた感があるけど……まあいいか。よし!ご飯作ろう」
「わーい。お肉お肉~」
楽しそうにはしゃぐ綾を見ながら郁巳は帰路に着いたのだった。
初めまして睡眠の精霊ぽち。です。2019年3月4日に「小説家になろう」に登録して書きました。どうかな~と思いながら夢中になりながら書きました。
正直に言います。誤字脱字など多々あると思います。そこは初めてなのでご了承下さい。勉強不足です。
今回のテーマ「料理」ですが私は料理できる方です。(と言い切っておこう)でも細かい料理は出来ないですよ。得意な料理は揚げ物やオムライス、オムレツなど卵料理。チャーハン作れるお。大体料理時間は一時間半で出来るように逆算しながらしています。後は特売や値切り品は毎回見ます。
ん?何の話だ?あ、テーマ「料理」の話だ。料理は家族1人に任せていると、その人がしなくなるとキツくなります。そしてその人の存在を敬えば良いさ!はーはっはっはっ!
では、次回!(があるかな?作るつもりだよw)