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突発イベント「プチ旅行」

 菓愛莉が突然言い出した。それは些細な事だったが…

 「ねえねえ郁巳先輩、先輩はどっか行きたい所ありますか?」


 琴乃葉家に菓愛莉と八花が一晩泊まった次の日の朝、菓愛莉が突然郁巳に質問した。


 「ん?突拍子もなくどうしたんだ?」


 「せんぱーい、大バカエリが突拍子もないのはいつもの事じゃないですか~」


 キッチンで朝食を作っている八花が首を挟んだ。


 「うん、そうなんだけどな~ハッカ~、何で聞いてくるのかも気にはなってるんだ~」


 郁巳も八花に言葉を返す。


 「ちょっと郁巳先輩!こーんな可愛い彼女を放ったらかしにしてハッカを相手するなんて~。ブーブー」


 「はいはい、可愛い彼女の菓愛莉を放ったらかしにしてすまんすまん」


 郁巳がわしゃわしゃと菓愛莉の頭を撫でた。


 「ふぇ!?ちょ、ちょっと郁巳先輩!髪の毛が乱れる~!乱れる~!」


 菓愛莉の金髪が郁巳の少しあらましな撫で方によりピンピンと跳ねた。


 「あーあー、先輩。菓愛莉の髪の毛、少し癖毛だから跳ねやすいんですよ。はい、郁巳先輩。朝ごはんです」


 「ありがとうハッカ」


 「いえいえ」


 「わーんハッカえも~ん!いくみんせんぱいがいじめる~」


 「分かったよかえりちゃん。こんな時は、パパパパンパパーン、霧吹きとドライヤ~」


 「?普通櫛ではないのか?」


 郁巳が不思議そうに八花に尋ねた。


 「ああ、髪の毛は鋤く、つまりは解かすのは櫛ですが跳ねっ毛のは一度根元から湿らせて直すのです。髪の毛が長いと尚更ですけどね~。ほら菓愛莉、直すからこっち向きなさい」


 「うう、すまないね~ハッカえもん」


 「もうそれはいいって」


 そう言って八花は菓愛莉の跳ねッ毛を直していった。


 「いや~、何か手慣れてるな~」


 郁巳は朝食をもぐもぐと食べながら言った。


 「先輩、食べながら喋らない」


 八花が郁巳に釘を指す。郁巳はごめんと手を顔の前に持ってきて身振りで謝った。


 「ハッカ、何かお母さんみたい~」


 「まあ確かにほぼ毎日あんたの髪解いていればお母さんって言われるわね」


 「ふふ、でも私も時々ハッカの髪の毛解いてるよ」


 「あんたはサイドポニーや横ポニー、三つ編みやら色々してくるわね。…私も今なら出来るわね。せんぱーい、菓愛莉にやってもらいたい髪型って何がありますか~?」


 「ちょっとハッカさん!?」


 八花の突然の話に菓愛莉がたじろく。


 「ん?ん~…チャイナ服に似合うお団子ヘアー?」


 「おお…」


 「先輩…」


 郁巳のリクエストに菓愛莉と八花が少し引く。


 「ん?何か変なこと言ったか?」


 「いや…先輩からまさか」


 八花が言い淀んでから菓愛莉と顔を合わせた。そして二人揃って言った。


 「「先輩からチャイナ服が好みなんて言われるなんて」」


 「!?」


 「いや~、先輩って足フェチなんですかね~」


 「ウワー、ウワー、センパイマジヒクワ~」


 菓愛莉がしみじみと言い八花に至っては完全にからかいに入っていた。


 「ち、違うぞ!別にチャイナ服が好みとかでなく菓愛莉に似合う髪型を連想したらお団子ヘアーになった訳で!」


 「ほうほう、つまり菓愛莉にチャイナ服を着てほしいと」


 「イヤン」


 「ちっがーーーう!」


 「え、違うんですか?」


 「え!?あ、いや………違わない…です」


 「だそうよ菓愛莉」


 「先輩の為、いつか用意して着ます!」


 菓愛莉の意気込みに郁巳は頬をピンクに染めて「おう…」と言った。それを見ていた八花はニマニマとしながら菓愛莉の髪を解くのを続けた。


 「あ、そう言えば先輩、どっか行きたい所ありますか?」


 「ん?…ああ、まあ少し博多にいこうかなとは思ってる」


 「お、博多。いいですね。因みに何故博多に?」


 「ああ、ちょっとフィギュアを見に」


 「おお、先輩も遂にフィギュアに手を出すのですか」


 「ん?ああ、どちらかと言うと綾へのお礼を兼ねてへのプレゼントだな」


 「ああ、綾ちゃんフィギュアとか好きですからね~」


 「ああ、だから博多に行って何か良いものを探してこようと思ってる」


 「じゃあじゃあ、私も付いて行って良いですか?」


 菓愛莉が楽しそうに言った。


 「あ、じゃあ私も~」


 八花も恋人になった二人の初めての旅行同行を冗談で言ったのだが菓愛梨と郁巳は


 「うん、じゃあ一緒に行こう」


 「おう、それがいいな」


 と同行に賛同した。


 「え?ちょ、ちょっとお二人さん。初めての旅行でお邪魔虫がいると正直邪魔じゃない?」


 八花は正直に心中を言った。


 「え?でもハッカだけ置いてけぼりっていうのは気が引けるよ~」


 「そうだな。それに二人も楽しいだろうけどせっかくなら三人で行こうぜ」


 菓愛莉、郁巳共に八花への友情が深かった。


 「!?……んー……はあ、分かったわよ。行くわよ。一緒に行けばいいんでしょう」


 「うん!」


 「おう!」


 「全く…でも今度旅行に行く時は二人っきりで行きなさい。これを約束するなら今回は一緒に行くわ。それでいいわね」


 「おう」


 「え~、やっぱハッカと一緒に旅行に行きたいな~」


 「カ・エ・リ、さん?」


 「うう~、分かったよ~」


 八花の凄みに菓愛莉が渋々了解をした。


 「で、先輩はいつ博多に行くんですか」


 菓愛莉のしょんぼりに八花が話をずらした。


 「あ!あー…」


 「どうしたんですか先輩」


 郁巳の歯切れの悪さにもしかしてと感ずく八花。


 「いや~、そう言えば博多行くの、日帰りで明日にしてた」


 「はあ!?ちょっと郁巳先輩!どういうことですか!?」


 菓愛莉が驚きを隠せなく郁巳を問いただした。


 「いや、一人でぴゅーと行ってぴゅーと帰ってくるつもりだったから…」


 「先輩、今から列車予約出来ませんか?お金は後で払います!」


 八花が菓愛莉の髪を解く手を止めて郁巳に言った。


 「お、おう!ちょっと待っててくれ」


 郁巳は急いでスマホを開き列車予約のページで予約をしていった。


 「…どう…ですか、先輩?」


 「………………」


 菓愛梨の声も届かない程郁巳は集中してスマホを操作した。そして


 「………よし!往復共に俺の横とその隣の予約取れた!良かった~」


 郁巳は安堵のため息を吐いた。


 「良かった~。ありがとうございます、郁巳先輩」


 「ありがとうございます」


 「いやいや、元をたどれば俺が悪いから」


 「いえいえ、元をたどれば私が付いていくって言ったからでして」


 「いやいや俺が…」


 「いえいえ私が…」


 「……あー!もううるさい!ほら菓愛莉!もう少しで髪解かし終わるからじっとする!全く…」


 「あ、うん………」


 八花は苛立ちを表しながらも優しく菓愛莉の髪の毛を解かした。


 「本当にお前ら仲良いな~」


 郁巳は少し羨ましそうに二人を見つめながらご飯を食べた。

 突発的にイベントが発生!さて無事何かフィギュアは買えるのか!?次回(明日)に続く。

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