賽は投げられた。後はどう転がるか。
郁巳がお風呂から上がったら何やら怪しげな会話が聞こえてきて…
「さてと、今夜は寝かせないぜ子猫ちゃん」
「そ、そんな…先輩っ!?きゃ~」
「って何やってるんだお前達は」
「あ、先輩お風呂どうでしたか?」
「ああ、気持ち良かったよ」
「そんな中に入ったからって気持ち良かったなんて…」
「先輩、さいてーです~」
「お風呂の中だよ。お前ら飲んでるのか?」
「「甘酒ならいただいてまーす」」
「おう。だから酔っぱらってるんだな」
「「通常運転でーす」」
「お、ま、え、らー!!」
「あら郁巳、お風呂どうだったの?」
「ああ、気持ち良かったよ」
「まあ、うちの息子は中に入ったからって…お母さん、そんな子に育てた覚えはありません!」
「ちょ!お母様!?」
「うふふ、冗談よ。ちょっとしたお・ちゃ・め」
真海はキメポーズでウインクした。
「さすがおば様」
「うふふ、ありがとう。八花ちゃん」
「じゃあ次は私が入るね。郁巳先輩、覗かないで下さいよ~」
菓愛莉がニマニマとしながら郁巳をつついた。
「覗かんわ!!」
「覗かないんですか!?」
菓愛莉が真顔で郁巳に言葉を返した。
「こーら、菓愛莉。だから私も入るわ。これで菓愛莉が変な事しなくて良くなるわ」
「ちょっとハッカさん、私への当たりが酷くないですか?私そんなことしないよ~」
「しない?本当にしない菓愛莉?」
「………(プイッ)」
「おい目を逸らすな」
「ソ、ソンナコトシナイヨー」
「何で片言…てな訳で菓愛莉の監視の為に一緒に入ります。さあ菓愛莉、着替えとか用意しなさい」
「はいはーい。じゃあ先輩、また後で」
菓愛莉が流し目でウインクをして居間を出ていった。
「はあ、全く菓愛莉は…じゃあ先輩」
「おう」
八花もそう言ってお風呂場へ行った。
「じゃあ私はお約束で若い子のやわ肌を覗きに行くわ」
「おいやめろそこの親」
「えー、乙女が居るのに覗かないなんて失礼よ~」
「綾の時はしてないだろうに!」
「最近は時々だけよ」
「時々なのかいそこの親よ」
「いやん」
「まーなーさーんー」
「あら郁巳、恋人がいるのに親の名前を呼ぶなんて…さてはフラグを立てにきたわね。真海こわーい」
「………」
「ああ、息子が冷徹な視線を送ってくる。ああ怖いっ」
真海がオーバーリアクションをしていてふざけているのが郁巳でも分かった。
「…はあ。何でそんなにテンション高いんだ親よ」
「何でって…そりゃもしかしたら明日の朝赤飯かもしれないと思うと」
「お、お母様!?」
「うふふ、冗談よ」
「そ、そうだよな!いくら俺でもそんな事はしないという信頼が…」
「半分は」
「お母様!?」
「正確には四分の一」
「クウォート!?」
「もう四分の一は菓愛莉ちゃんね。あの子もしかしたらヤるかもしれないから」
「ヤるって…もしかして」
「同意の上での既成事実」
「怖っ!!」
「まあ菓愛莉ちゃんは郁巳が同意しない限りしないだろうけど、けど郁巳が同意したら…」
「したら…」
郁巳が生唾を飲み込む。
「既成事実成立~」
「イヤーーッ!!」
「郁巳先輩!イヤーとは何ですかイヤーとは!!」
「イヤーーー!!」
お風呂場に行ったはずの菓愛莉が郁巳の後ろにいた。
「全く本当に先輩は失礼ですね!私がいつ先輩を襲うって言うんですか!」
「え!?襲わないの」
「え!?襲っていいんですか!?」
「………」
「………」
「…菓愛莉さん?」
「………(プイッ)」
「おい目を逸らすなそこの痴女」
「だ、誰が痴女ですか!!先輩のバカッ!!」
「お、おい手に持ってる物投げつけるな!?ん?これって…!?」
「!?キャー!!」
菓愛莉は顔をマグマの様に真っ赤にして郁巳の手からそれ等をもぎ取った。
「あ…あの、その…!お風呂入ってきますっ!!」
「あ、はい…」
郁巳が答える前に菓愛莉が脱兎の如くお風呂場へ逃げて行った。
「うふふ…若いわね~。これで今夜の郁巳の貞操が更に危なくなったわね~」
「…お母様、勘弁してくれ…」
郁巳はツッコミがいない場所で頭を抱えたのだった。
菓愛莉から投げつけられたのはもちろんあれ等。そうあれ等です。
ヒント
・お風呂に入る時に手に持って行く物
・お風呂に入る前と後で替える物は?
・お風呂に入ったら後は寝るだけ
答えはあなたがお風呂に入る時に判るはず!




