二人の静かな時間
郁巳に付き添う菓愛莉。でも気が付いたら寝ていて…
「それじゃあ私達は一旦家へ戻るわね」
「菓愛莉、本当にいいの?残ってもらって」
「うん、全然問題ないよ」
「…そう………じゃあ郁巳の事、お願いね」
「じゃあね菓愛莉、また後で」
そう言って真海と綾は部屋を出ていった。
「…だって今離れたら郁巳先輩に会えなくなりそうだもん………」
菓愛莉は未だに郁巳の手を握っていた。
「………郁巳先輩…………」
それから一時間、点滴はぽた、ぽたと規則正しく音を刻みその量は半分になっていた。
「…………………」
菓愛莉はただただ郁巳の側を一時も離れようとしなかった。
「失礼します。検温させて下さい」
看護師が入ってきてバイタルチェックをしていった。
「体温…六度丁度、PO2は九十八…何か変化はありましたか?」
「いいえ、特には」
「そうですか、体調も安定しているみたいですし問題なさそうですね」
「ありがとうございます」
「では」
看護師は菓愛莉と言葉を交わして出ていった。
「………………」
そして静寂が訪れた。ぽた、ぽた、ぽた。余りの静けさに菓愛莉はうとうとし始めた。
「………すぅ」
菓愛莉は郁巳のベッドの横で寝落ちしてしまった。
「………菓愛莉?………………寝てるのか………」
菓愛莉が寝落ちして暫くすると今度は郁巳が目を覚ました。
「………………」
握られた右手を見て軽く握り直した。
「ん………すぅすぅ……………」
「あ、………ごめん」
起きそうになった菓愛莉に郁巳は小声で謝った。
「んにゃむにゃ……いくみぃしぇんぱ~い………むひゃむにゃ………」
「ふ、………寝ぼけていても俺の事かい………」
郁巳は再び握り直すと今度は寝言は言わないで規則正しい寝息を立てていた。
「…菓愛莉………………」
郁巳は愛おしそうに菓愛莉の名を読んだ。
「………………」
もう少し寝よう。そう思い郁巳は再度目を閉じて眠りについた。
「………すぅ…すぅ…………」
「すぅ…すぅ………」
郁巳と菓愛莉は仲良く眠りについた。
「菓愛莉ちゃん、郁巳の様子は………」
「ん?どうしたのお母様?あ………」
真海と綾は郁巳と菓愛莉を見て微笑んだ。
「郁巳、寝てるわね」
「菓愛莉もすっごく寝てる。最近気疲れが目に見えてたから………そっか、寝れたんだ………良かった」
綾は菓愛莉の寝顔を見て笑った。
「じゃあ私達はあっちで飲み物飲んできましょうか?」
「はーい」
そうして真海と綾は自動販売機の方へ消えていった。そして二人の静かな時間が流れていったのだった。
静かでも二人の時間は大切に




