表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不器用すぎる恋のレシピ ~料理スキルゼロから始まる彼女たちとの恋愛ストーリー~  作者: 睡眠の精霊ぽち。
第五章「掃除をしましょう そうしましょう」
112/295

告白2

 郁巳点滴を受ける間にとんでもない話が

 「ストレス性の味覚異常と軽い拒食症ですね」


 医師からの診断は無常だった。


 「で、いつ治りますか?」


 綾が居ても立ってもいられなくなり言葉を医師に投げた。


 「うーん、こればっかりは何とも言えないです。明日治るかもしれないし数ヶ月かかるかもしれないし…」


 「そう…ですか………」


 「あの、もしよろしければ診察室の外で待っている連れの方に入ってもらってもよろしいですか?」


 母親の真海が言った。


 「え、でも………」


 「お願いします…」


医師の濁った言葉に真海は母親として頭を下げた。


 「………まあ親御さんが良いなら」


 「いいんですか?」


 医師の反応に驚いた看護師が質問した。


 「まあこれは精神的なものが大きいから。他人ではないのでしょうしね」


 医師から思ってもない答えが帰ってきて真海と綾、そして看護師は目を丸くした。


 「んん、連れの方をよんできてもらえますか?」


 医師は少し照れながら真海に言った。


 「あ、はい」


 そうして真海は菓愛莉を呼びに行った。そして直ぐに真海と一緒に菓愛莉が入ってきた。


 「先生!郁巳先輩の容態は!?」


 「菓愛莉、落ち着いて。ここ病院」


 「あ、ごめん………」


 「…じゃあ琴乃葉さん、こちらへ」


 医師から菓愛莉達は郁巳の寝るベッドへ足を運んだ。


 「………郁巳先輩………」


 「………ああ、ごめん。少し寝てた…」


 「大丈夫ですよ。まだ寝てて下さい………」


 「………あれ、ここは………?」


 「先輩、ここは病院です。あれから先輩起きないから病院に連れてきてもらったんですよ」


 菓愛莉全ての事を言わないで語った。


 「ああ………そうか………」


 郁巳はそれを深く聞かないで納得した様子を見せた。


 「郁巳先輩、気分はどうですか?」


 菓愛莉は普段と変わらない様に振る舞いながら郁巳に聞いた。


 「………ああ、少し意識がスッキリしている感じがする………」


 「そう…ですか。良かったです………」


 菓愛莉は気丈に振る舞ってはいるが今にも泣きそうだった。


 「…ごめんな………いつも泣かせてばっかりで………」


 郁巳が申し訳なさそうに天井を見ながら言った。


 「……ぐすっ、仕方ないですよ。だって、意外と私泣き虫ですから………」


 菓愛莉はニカッと笑った。その目は充血で赤くなっていた。


 「………本当にごめん………」


 「もう、さっきからごめんしか言ってないじゃないですか郁巳先輩」


 「………ごめん………」


 「まあ、郁巳先輩らしいっちゃ郁巳先輩らしいですけど。早く元気になって私の美味しいごはん食べてもらいますからね~」


 「ははっ………ご飯作る時に踊ってばっかなのにか………」


 「あ、郁巳先輩ひーどいんだ~」


 「はは………」


 「もう………、あははっ」


 郁巳と菓愛莉はお互いに微笑んだ。


 「………じゃあ俺、もう少し寝るわ………」


 「あ、はいはい。ちゃんと寝て下さい。何なら私が子守唄歌いましょうか?」


 菓愛莉が意地悪く言った。


 「………手を握っててくれ………」


 「………はい………………」


 「………ありがとう………じゃあ、少し寝るな。………お休み………」


 「…はい、お休みなさい………郁巳先輩……」


 そうして郁巳は寝息をたて始めた。


 「…郁巳寝た?」


 側に来た真海が声を描けてきた。


 「あ、お母様。すみません、私ばっかり喋っちゃって」


 「ううん、今は菓愛莉ちゃんが必要なのよ。郁巳には」


 「そう…だといいんですが………」


 菓愛莉は郁巳の手を握りながら言った。


 「あにぃの容態どう?…あ、寝てるんだ………」


 綾が郁巳の様子を見に来た。


 「そうだね。ごめんね郁巳先輩と話せなくて」


 「ううん、問題ないよ。それよりも菓愛莉は大丈夫なの?少し疲れてみえるよ」


 「あ……あはは、大丈夫だよ。心配ない心配ない」


 「菓愛莉ちゃん、一度家に帰る?」


 真海のやさしさに首を横に振る菓愛莉


 「多分今帰ると琴乃葉家に戻れなくなっちゃうので………」


 「菓愛莉………」


 「菓愛莉ちゃん………」


 「…だから、私は郁巳先輩が治るまで琴乃葉家に居続けます」


 「………………」


 「………………」


 「………………」


 三人に沈黙が流れる。


 「………ねえ、菓愛莉ちゃん。郁巳ね、もしかしたら転校させるかもしれないのよ」


 「「!?」」


 真海の突然の言葉に声が出ない菓愛莉と綾。


 「ごめんなさい。でもこのままだと郁巳…ダメになっちゃうかもしれないから。ね、だから………」


 「だったら私も転校します」


 「「!?」」


 菓愛莉の迷いのない言葉に今度は真海が言葉を失う。


 「多分このまま郁巳先輩一人だけだとそれこそ先輩、死んじゃうかもしれないから」


 「………でも」


 「でもじゃないです」


 真海の言葉に菓愛莉が優しく郁巳の手を握り直す。


 「郁巳先輩の為に…私はどこまでも着いていきます………」


 「………はぁ、じゃあ先ずは郁巳が回復するのを優先に。それさせ問題なければ転校の話も無し。いいわね」


 「はい」


 真海と菓愛莉はお互いに目線を離さなかった。

 真海からの突然の転校の話、それでも着いていこうとする菓愛莉。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ