それぞれの感傷
学校のお昼休み、部室にいるのは和、綾、八花の三人。郁巳と菓愛莉、そして舞羽とまりもは…
お昼、和、八花、綾は部室で昼食を食べていた。
「へえ~、そうしたらいくみんのお世話する事になったんだ~」
和がお弁当をつつきながら興味深そうに二人に顔を向けた。
「ええ、そうみたいです。…まさかあの菓愛莉が…」
八花は少し意外そうにLOneの菓愛莉からのメッセージを確認しながら言った。
「うわぁ~三角関係ならぬ四角関係だ~」
綾に至っては他人事の様にパンを頬張った。
「あーちん、そんな悠長な事言ってる状況じゃないよ、一歩間違ったら修羅場だよ修羅場」
「そうですね、痴情のもつれでザクッなんてことも…」
「あったら困る!っていうか悠季ちゃんやまっちゃんはこの事を…知らない……よね?」
「ええ、知らないです。というか舞羽先輩とマーちゃんにこの事を伝えたらそれこそ痴情のもつれですよ」
「「私がする!」って言いかねないよね~。…この状況を作った人が言えたことないけど」
「「あは、あはははははは…」」
あまりのマッチポンプに綾と八花が苦笑する。
「んでもさ、何でかーちんが言い出したの?かーちんっていくみんの事好きなの?」
和が核心を突いてきた。
「んー、どうなんだろう…なーんとなく少し気はあるのは感じていたけど」
「多分loveではない…like。異性ではなく人として好きなんだと思います」
綾、八花がそれぞれ思ってる事を述べた。
「それはみんなそうだよ。多分この部の中で他の部員が嫌いな人はいないよ」
「そうですね」「はい」
和の一言に八花と綾が笑顔で応える。
「んでも、かーちんの行動力には驚かされるね。まさか学校休むなんて」
「ですね。学校には提出物等は提出するから大目に見てほしいと言ってるらしいです」
「学校側としてはあんまり良い顔してない感じらしいよ。あ、これ和々先生情報」
「でしょうね。これ普通に認めたら学校自体が崩壊しかねないですからね」
「まあ、菓愛莉も成績良い方だし大丈夫でしょう。気にはするけど今はまだ様子見ですね」
「そうだね、部活で起きたトラブルだけに部長も顧問も東奔西走だけどね~」
「すみません、うちの兄が」
「あ、ううん。こればっかりはいくみんが被害者だから逆にいくみんを追い込む形になってしまった私にも問題があるから」
「あ、ところでその問題を作った舞羽先輩とマーちゃんはやっぱり」
「あー、和々先生にも頼んで暫く部活禁止、いくみん関係の電話、SNS禁止。琴乃葉家出入り禁止にしたよ」
「あー、やっぱり」
「まあ人にトラウマ植え付ける位だから暫く反省ですね」
「まあ、ね。あー、でもこれは為るべくしてなった感があるなー」
綾はうーんと背を伸ばしながら言った。
「だって悠季ちゃん、前からいくみんの事好きだったもん。でもいくみんにアピールっぽい事しても靡かないからモヤモヤしてたみたい。そして同じ部活で後輩でライバルが出現。そりゃ焦るよ。でもアクションが強すぎたね。自分の想いが強すぎて相手が病むまでアクション起こすのは悪手すぎるよ」
「それはまりもちゃんも同じです。少し靡いているからってグイグイ行くのは悪手すぎます。恋は押して引いての駆け引きですから」
「はは、それはそうだ。さてと、ごちそうさま」
和はスッと弁当箱を片付けてスマホを、SNSを開き始めた。
「ん?和先輩SNSですか?」
「ん、そう。ちょっと部員達の状況確認をっと…」
和はそう言ってLOneでメッセージを送り始めた。
ピロン
直ぐにメッセージが返ってきた。
「お、先ずは悠季ちゃんからか…ふむ」
「ところでハッカ、菓愛莉はどうなってるの?お母様の話では今頃ご飯作ってるはずだけど」
「ああ、それならさっきメッセージが着たよ。今日はおば様に習ってタマゴ粥だそうだ。先ずはちゃんとした温かい物をだって。…菓愛莉のくせにちゃんとしてるじゃない」
「そうだね。あの強火しか使わなかったり邪魔だから踊ったりさせてた菓愛莉が…恋は人を成長させるの~」
「うーん、これ恋なの?まあ人に尽くしているから恋じゃないとは言い切れないけど。まあこれで恋愛が始まると痴情のもつれすぎるでしょう」
「あはは、すぎるすぎる。…でも、これからどうなっちゃうんだろう………」
綾が感傷に浸っていると八花がポンポンッと何かを投げてきた。
「これって…ゼリー?そしてチョコ…?」
「綾ちゃん、この後授業もあるんだからしっかりカロリー摂らないといけないよ」
「あはは、ありがとう。まあ最近少し体重増えたんだけどね」
「ほほう、それは郁巳先輩が食べないご飯の分も食べているから…なんてことはないよね~」
「あはははは…なんてことあります…」
「はあ…まあこれからは郁巳先輩も付きっきりでお世話してくれる人がいるから大丈夫…かな?」
「うーん、まあそこは菓愛莉の愛の力を信じるしかないよ」
「あはは、菓愛莉に愛の力を求めるか~………まあ、でも正直それに頼る形になるんだろうけどね」
「…そうだね」
綾と八花は感傷に浸った。そしてお昼の終わるチャイムと共にお昼の残りを掻き込んだ。
恋の歯車は入れ替わる。友達から、後輩から、先輩から。全てが入れ替わっていく。




