天使との恋、今はまだ………
舞羽とまりもが郁巳に言い寄り郁巳は心身共に病んでしまう。そこに天使が…
キーンコーンカーンコーン
「いくみーん!一緒にご飯食べよう!」
「郁巳先輩、こっちが空いてますよ」
「いーくみん」
「郁巳先輩」
「いくみん!」「郁巳先輩!」
「止めてくれーーー!!」
郁巳があれから少しして登校拒否を起こし始めた。今はお昼、郁巳はパジャマのままベッドの上で布団を頭から被って震えていた。
「怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い…………」
トントン
「ヒッ!!」
「郁巳~、ご飯…ここに置いとくわね~」
「あ、お母様……うん、分かったよ」
「そう………無理、しない様にね」
母親は優しい声でそう言って階段を降りて行った。
「…………はぁ、………とりあえずお昼食べるか」
郁巳はベッドから降りてドアの方へ行った。
トントン
またドアを叩く音がした。
「………何、お母様……」
「…郁巳せんぱーい、大丈夫ですか~。菓愛莉でーす」
「………何か用?今お昼休みだよ?」
「あ、あー……早退しました。てへっ」
「………何で………?」
「え、それはもちろん早く帰宅して遊びたいから~かな?」
「………………」
「………ごめんなさい。本当は郁巳先輩の事心配で早退しました」
「………………」
「あの………郁巳、先輩!大丈夫ですか?」
「……正直…しんどい」
「あはは、まあ二人の美少女から言い寄られて他の男子からは羨ましいみたいですけど…」
「……正直キツイ……こわい…」
「…郁巳先輩………」
「もう本当に………学校行きたくない……」
「!?なら私が!!私が郁巳先輩のお世話します!!」
「!?………ごめん……………こわい………」
「……郁巳先輩にとっての怖い事はしません。絶対に。………恋愛感情を持ち込みません。…絶対に………」
ドア越しでも菓愛莉の気持ちが郁巳にも伝わった。
「………………菓愛莉は学校、良いのか?」
「あはは、正直キツイでしょうけど今は通信制とかもありませからね。どうにかしますよ。それに郁巳先輩がいないと楽しくないですから」
菓愛莉はしょうがないな~と言って明るい声で郁巳に話した。
「そっか………」
「…郁巳先輩さえ良ければこの後お母様にこの話を伝えようと思います………」
「………うん………うん。………」
「郁巳せんぱ~い、泣かないで下さいよ~」
「うん…………うん………!」
「………先輩、開けても良いですか?」
「……今はダメ………」
「………そうですか…………」
「今開けたら抱きしめそうだから………」
「……抱きしめても良いですよ。今は恋愛感情持ち込めないので」
「…………」
「…………」
ガチャ
「………もう、パジャマのままだなんて……もうお昼ですよ郁巳先輩………くすっ」
「…!?」
菓愛莉の微笑みに郁巳は思わず菓愛莉を抱きしめた。
「!?………いくみ………せんぱい………」
「ごめん………ただ………ただ今は………こうさせてくれ…………」
「………はい」
「う…うわーーーーっ!!うああああーーーっ!!」
「………………よしよし。大丈夫、大丈夫ですよ郁巳先輩。私達が…私が守りますから……」
部屋のドアの所で郁巳はただただ菓愛莉を抱きしめて泣きじゃくった。菓愛莉はただただそれを受け止めた。そして数十分後、郁巳は泣く終わり菓愛莉を抱きしめるのを止めた。
「………ぐすっ」
「…郁巳先輩、大丈夫ですか………?」
「うん………ごめん…………」
「謝らないで下さいよ………」
「……うん………」
「………もう。でも泣いている先輩を見たのは私の特権ですね」
菓愛莉はニカッと笑い郁巳の頬を流れる涙をすくった。
「………………」
「………………」
「………こ、ここで恋人だったらキスする流れなんでしょうけど……」
「………」
スッと郁巳が菓愛莉に顔を近付けた。
「…!?だ、ダメ!ダメですよ!郁巳先輩!」
「!?」
菓愛莉の拒絶に郁巳はビクッとして顔を離した。
「…郁巳先輩、さっき私言いましたよ。恋愛感情は持ち込めないって。だからダメです。」
「…ご、ごめん………」
「あは、いえいえ。恋愛恐怖症の郁巳先輩でもまだ他人とキスしたくなるなんて回復の兆しがあるのが分かっただけでも私嬉しいです」
「………うん」
「………郁巳先輩、今、郁巳先輩は弱っててそれに漬け込んで恋人になってしまったら…絶対にお互い後悔をします。だから………だから元気になって下さい。私からはそれだけです!」
菓愛莉はぴょんと後ろへ飛び郁巳から距離を取った。
「あ………」
「………郁巳先輩、絶対に恋愛感情を持ち込みません。それは私からも…そして郁巳先輩からも………そうしないと私は郁巳先輩をお世話できません。………………」
「………………」
「……じゃ、私からはここで。この後お母様に話つけてきます。それじゃあ郁巳先輩、また明日です」
「あ………うん………ありがとう」
「!?………ふふ、じゃあです、郁巳先輩」
菓愛莉と郁巳は名残惜しそうにお互いに手を振り続けた。そして、その後菓愛莉は母親と話し合いどうにか菓愛莉が郁巳のお世話をする事を許可してもらった。
郁巳と菓愛莉、あ互いに意識はしているけど今は絶対に越えられない壁。




