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不器用すぎる恋のレシピ ~料理スキルゼロから始まる彼女たちとの恋愛ストーリー~  作者: 睡眠の精霊ぽち。
第五章「掃除をしましょう そうしましょう」
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狩りをするハンターたち(獲物は人の指)

 王様的ゲームが始まる。そう狙う獲物は………逃げてーーー!!

 「じゃあ王様的ゲーム始めるよ~」


 「「「「「いえーーーい!」」」」」


 「い、いえ~…い………はぁ」


 「いくみん、ため息つくと…」


 「幸せが逃げるんだろ。分かってるって悠季。でもな~…これって幸せなのか?」


 「あー、郁巳先輩酷いんだ~。こーんなに可愛い女の子達と一緒にいて幸せなのか?って」


 菓愛莉が郁巳にニヒヒと笑いながら言う。


 「あー、うん。確かに可愛い子達と一緒にいて幸せなのは正直ある。けど…」


 「けど何です?」


 「いや、恋人でもないのにあーんをするなんて…」


 「いくみん、恋人未満なのはいくみんのせいなのをお忘れなく~」


 舞羽が少し膨れっ面に腕を組んで郁巳をチラッと見た。


 「あ、はい。本当にすみません」


 「…郁巳先輩」


 「ん?何まりも?」


 「…でも、そのお陰で今こうして名前で呼ばれるのはすっごく嬉しいです」


 「まりも…」


 「『まりもへの好感度が五上がった。』」


 「何言ってるの菓愛莉さん!?」


 「にゃはははは~」


 「はいはい、じゃあ早速始めるよ~」


 和がゴロゴロと番号を書いたボールを中身が見えない箱に入れた。


 「いい、この中にはさっき見た通り“王”と書いたボールと一~六と書いたボールが入ってる。そしてこっちの箱には王様が食べさせるお菓子の紙が入ってるよ~。今目の前にあるの以外にと・く・べ・つ・な、お菓子もありまーす。乞うご期待!」


 「ハッカ、あなたの為に激辛チップスを当てるわ」


 「菓愛莉、あなたの為にスカを当てるわ」


 「え!?和先輩、スカとかもあるんですか!?」


 「ん?あるよ~」


 「ええ!?そうしたら私が激辛食べてハッカが食べれなくなる」


 「違う違う。菓愛莉が食べれなくなるんだって」


 「え!?………おおっ」


 「さすが菓愛莉。バカだ」


 「綾さん、本当の事でも人を悪く言うのは止めなさい」


 「はーいハッカ先生」


 「誰が大バカエリよ!」


 「とか言いながら美味しいとおもっているんでしょう?菓愛莉さん」


 「え?…えへへ~…」


 「さてと、じゃあ皆引こうか」


 それぞれがボールを引いていった。


 「じゃあいくよ。あ、掛け声は「王様っぽいの、だーれだ」だよ。せーの」


 「「「「「「「王様っぽいの、だーれだ」」」」」」」


 「私だー!」


 綾が手を上げた。

 

 「じゃあ何番の人に食べてもらう?」


 「うーん、じゃあ最初だから一番!」


 「お、早速菓愛莉様ですか。さあバッチコーイ!」


 「じゃあこっちの箱からお菓子の種類を選んで」


 「ほーい、うーん…ほい!」


 綾が紙を取り出して中身を見た。


 「えっと…“ポテチ塩味五枚まとめて”だって」


 「え!?何か予想とちょっと違う!」


 「でも五枚まとめてだよ。むせて変な顔を皆に見られて…」


 「美味しい!ってんなわけあるかバッカ!」


 「んな!?大バカから言われたくないわよ!」


 「はいはーい、ケンカしたら共犯で同じ事してもらう様にするよ~。いいのかな~?」


 和が優しい笑顔で菓愛莉と八花に言った。


 「「すみませんでした…」」


 「うん、よろしい。じゃあ一番は誰かな?」


 「…はい」


 まりもが少し涙目になりながらちょこっと手を上げた。


 「「「え」」」


 郁巳以外、舞羽、そして綾すらもすっとんきょうな声を上げた。


 「…あ、綾ちゃん。どんと…こい…だよ…」


 「いやいやいや!マーちゃん泣きそうじゃん。和先輩、これ少し優しく出来ませんか?」


 「うーん、じゃあ枚数は減らさないけど王様と折半はどうかな?合否は過半数以上でどうかな?」


 「えー、そうしたら大概王様が美味しいじゃ~ん」


 「菓愛莉、考え様によっては食べさせ合いっこだからどちらとも美味しいわよ」


 「「!?…!?」」


 「…!?」


 「いや、悠季さん、まりもさんや。そんなに獲物を見たら尻尾巻いて逃げちゃいますよ」


 「…何を言うの綾ちゃん」


 「そう、恋は戦い…」


 「…それはライバルだけでなく駆け引きも大事…」


 「そして私は」


 「…私達は…」


 「「狩る側の人間だーーー!!」」


 「だそうですよ郁巳せーんぱい」


 「勘弁してくれ…」


 郁巳がうんざりとして両手で顔を覆った。


 「さあさあ、じゃあ綾王。ポテチをどうぞ」


 「うむ、じゃあ。あ、ちなみに王様と折半。みんな、いいかなー?」


 綾がポテチを手に取りながらみんなに聞いた。


 「「「問題なーい」」」


 「そうだね。最初は優しく」


 「まりもちゃんだしね」


 全員一致で王様と折半となった。


 「じゃあ私が三枚っと。はいマーちゃん二枚」


 「?あ…ありがと…?」


 「それじゃあ、いただきまーす」


 そう言って綾は自分で持っているポテチを三枚まとめて食べた。


 「「「「「!?」」」」」


 「あ…綾ちゃん……あの…王様的ゲーム…」


 「あ」


 「「あ、じゃなーい!!」」


 舞羽と和が一斉に叫んだ。


 「何で!?何で綾ちゃん自分で食べちゃうのー!?」


 「あ、あはははは………ごめんなさい」


 舞羽の剣幕に綾は素直に謝った。


 「…あ、あの、私の方のも食べれば問題ないよ」


 「あ、なるほど。じゃあ遠慮なく」


 ぱくっ


 まりもの手元から犬の様に一口で食べてぺろっとまりもの指先を舐めた。


 「!?」


 「ん、おいし。…?どしたのマーちゃん?」


 綾は自分のしでかした事を理解しておらずぽかんとしていた。そしてまりもはプルプルと震えていた。


 「………………」


 「あ、あの~マーちゃん。何か怖いんですけど……舞羽先輩、私何かしてかしましたか?」


 「あー、うん。しでかした…よ…」


 舞羽がばつ悪そうに綾から目を逸らした。


 「…ちゃん」


 「あ、あの~マー…ちゃん?」


 「綾ちゃん!正座!」


 「ひゃ!ひゃい!」


 先程の舞羽とは比べ物にならない位の剣幕に綾は即座に正座した。


 「…さ、和先輩。次いきましょう」


 「あ、あーはいはい。おほん、ではみんなボール戻して~。あ、紙も同じく戻してね」


 皆がそれぞれボール等を元の箱に戻して次のゲームが始まった。


 「よし、じゃあ皆取ったね。じゃあいくよ~」


 「王様っぽい人だーれだ」


 「あ、今度は私だーーー!」


 「チッ」


 「何よハッカ!私じゃ不満なの!?」


 「うん、不満」


 「そんないい笑顔で言わないでよ~!」


 「あはは、じゃあ何番にする?」


 「じゃあ三!」


 「あ、俺か」


 「「!?」」


 「おー、怖い怖い」


 舞羽とまりもに睨まれて菓愛莉が笑いながら顔を背けた。


 「じゃあこの箱から」


 「はーい……んー、これ!えっと…お、チョコスティック一本だって」


 「「!?」」


 「だから怖いって。で和先輩、ポッチーはどれですか?」


 「そんなスナック棒にチョコがついているポッチーでないよ。チョコスティックはチョコスティック!文字通りチョコのスティックさーー!」


 「「!?」」


 「あ、それは私が食べさせて貰えるんですよね。やったー!チョコだー!」


 「違う違う。菓愛莉が郁巳先輩に食べさせるの」


 「え、そうなの?」


 菓愛莉が能天気に笑った。そしてそれを般若みたいに睨むまりもに鬼神みたいに郁巳を睨む舞羽の姿があった。


 「さ、さあさあ!チャチャっとやっちゃおう!このままじゃ埒があかない」


 「はーい。ささ、郁巳先輩」


 「お、おう…じゃ、あーん」


 「あーん」


 「………」


 「どうです郁巳先輩?」


 「い、いや………何か照れるな…」


 「あ、あはははは…改めて言われると確かに照れますね……」


 「………」


 「………」


 「は、はーい!次!次いくよ~!さあさあ戻して戻して~!」


 そして第三ラウンド。


 「王様っぽい人だーれだ」


 「!?私だーーー!」


 「「「「「「おー」」」」」」


 舞羽が天高くボールを掲げた。


 「じゃあ何番?」


 和がニヤリと笑いながら言った。


 「えっと、えっとね…ねえいくみん、何番?」


 「え~っと…」


 「ストーップ!悠季王、それは違法です」


 「えー、法律なんて変えればいいさ。ね、いくみん」


 「え?」


 「え?」


 郁巳のハテナに舞羽がハテナを返した。


 「はいはい、今はまだダメだよ悠季王。ゲームは楽しまなくっちゃ」


 「楽しむより目先の幸せがほーしーいー!」


 「あ~、どうする皆?賛成の方」


 挙手をしたのは舞羽だけだった。


 「いくみん!何で手を上げないの!?」


 「いやだってゲーム始まって直ぐに根本的なもの崩そうとするの駄目だろうが」


 「えー」


 「えーもだってもない。駄目」


 「ぶー。いくみんのケチ」


 「じゃあ賛否も取ったし悠季王、何番指名しますか?」


 「うーん、じゃあ五番!」


 「お、私か~」


 和が自分の持っているボールの番号を皆に見せた。


 「じゃあ……んんんんん、激辛激辛激辛…」


 「念入ってるな~…」


 舞羽の念に和が苦笑いをした。


 「うーん、これだ!!」


 念を込めて引き取った紙。そこには


 「!よし!激辛チップス三枚!」


 「「「「「おー」」」」」


 「あはは。ま、しょうがない。ほいさ、あーん」


 「あーん」


 ぱくっ


 「………」


 「どうですか和先輩?」


 「ん、ちょっと辛い」


 「え?そんなに辛くないですか?」


 「うん、そんなに辛くないよ」


 「じゃあちょっと一口…はむ…」


 舞羽が和が食べたのと同じ激辛チップスを食べた。


 「どう?」


 「…!?辛っ!辛っ!!」


 「はー、はっはっは!辛かろう辛かろう。私も実は辛い!…ジュース貰っていい!辛い!」


 「ジュースジュース!」


 和と舞羽がジュースに飛びついた。


 「さーて、先輩方は最後に引いてもらうとして次いきましょう!」


 菓愛莉がさっさと次へと繋げた。


 「じゃあ和先輩、舞羽先輩が最後ですよ。はい」


 「ふぇ。あー、はいはい」


 「うう…ひどい目にあった~…はい」


 「じゃあいくよ~。王様っぽい人だーれだ」


 「お、俺か」


 「「!?」」


 「怖い怖い」


 「…あ、あの郁巳先輩、私の番ご…」


 「私一番!」


 「こーら悠季ちゃん!ダメだって違法は」


 「だって~」


 「あの~、和先輩」


 「ん?何だね郁巳王」


 「多分ですが、これちゃんと悠季とまりもに食べさせないと蟠りが残りますよね」


 「そうだね」


 「もし最後まで食べさせられないと悠季がすっごく怒りません?」


 「そうだね」


 「そしてまりもがプルプルと泣きだしそう」


 「…そうだね~………よし!もう蟠りが残らない様に郁巳王が悠季ちゃんとまっちゃんにあーんするのに賛成の人挙手!」


 ばばっ!


 菓愛莉以外の全員が挙手をした。


 「「………」」


 「怖い!今までの比でなく怖い!」


 「そりゃあんただけ食べさせているからでしょ」


 「お、……おー。なるほど。じゃあ私も挙手ー!」


 「よし、全員一致で賛成っと。じゃあ郁巳王、ついでに何食べさせるのかも決めちゃって」


 「え、いいんですか?えっとそれじゃあ…」


 「チョコスティックチョコスティックチョコスティック…」


 「…スティック……コスティックチョコスティック…」


 「あー…じゃあチョコスティックで。それで良いか悠季、まりも」


 「!うん!」


 「…はい!」


 「おー、甘い甘い」


 「そうだねハッカ」


 「あはは、そりゃジュース飲んでるかぶふぁ!」


 「じ、じゃあいくぞ。あーん」


 「「あーん…」」


 ぱくっ ぱくっ


 「ど、どうだ?」


 郁巳がチョコスティックから手を離し二人が最後まで食べおわった。


 「……幸せ~…」


 「………」


 「二人共満足した様で何よりだ。さてとティッシュティッシュ」


 「いくみんいくみん。チョコで汚れた両指出して」


 「お、拭いてくれるのか?ありがとう」


 何の疑いもなく指を差し出した郁巳。


 「「いただきます」」


 「え?」


 ぱくっ チュパッ


 舞羽とまりもに指先を舐められた。


 「「「「「!?」」」」」


 「ん、んっ」


 「…ん、んっ…」


 チュパチュパ


 「あ…ああ……」


 郁巳はあまりの出来事に体が固まってしまった。


 ちゅぽん ちゅぽん


 「ん、ごちそうさま」


 「…ご、ごちそうさまでした…」


 「お…俺……もう寝るーー!!」


 郁巳は逃げ出した。


 「あーあ。こりゃ駄目だわ…」


 和が舞羽とまりもを見て言った。


 「えへへ~…」


 「………ぽっ」


 二人の狩人は獲物を得て満足そうに微笑んだのだった。

 恋する女は怖いさー♪

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