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不器用すぎる恋のレシピ ~料理スキルゼロから始まる彼女たちとの恋愛ストーリー~  作者: 睡眠の精霊ぽち。
第五章「掃除をしましょう そうしましょう」
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恋は料理

 郁巳の部屋で話す事になった郁巳と綾。郁巳を想ってる子達の気持ちに対して問いただす綾。そして…

 「お風呂お先にいただきました~」


 「おう、じゃあ俺もひとっ風呂浴びてこようかな」


 綾と郁巳が年齢詐称っぽい会話をしてすれ違おうとした時チラッと綾と郁巳の視線が交じった。


 「………」


 「………」


 「そこから始まる恋もある~」


 「「イエス、フォーエバーラブ」」


 「って何させるのお母様!」


 「本当だよ!思わず綾共にノッちゃったじゃん!」


 「いや~、何か見つめ合ってたから恋が始まるのかな~って思ったんだよお母さんは」


 「いや…肉兄は今日の舞羽先輩の事聞かないのかな~っと思って…」


 「……舞羽が聞いてほしいと思うか?」


 郁巳が少し怒ったトーンで綾に言った。


 「…それは~…ないかな?ごめん、今のは聞かなかった事にして、ね」


 「…これ、貸しにするからな」


 「うん、ありがと。肉兄」


 綾はニカッと郁巳に笑いかけた。


 「…ったく、変な気を使うなよ……」


 「あはははは……慣れない事するんじゃないね」


 「そうだぞ。全く……」


 「うん、でも、ちょっとだけ兄に嫉妬しちゃうな~」


 「ん、何でだ?」


 「あっとで~。ほら、さっさとお風呂入ってくる。行った行った」


 「お、おう……じゃあまた後でな」


 「はいはい、覚えてたらね~」


 そう言って綾は踵を返して二階に上がり、それを見ていた郁巳はハッとお風呂を思い出しお風呂場へ向かった。そしてそれを見ていた母親は微笑みながらお茶を一杯。そしてこう言った。


 「うふふ、若いわね~。………ねえあなた、あの子達も私達みたいな恋を……いいえ、違うわね。私達とは違うどんな恋をするのかしら…」



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 郁巳はお風呂から上がりリビングに向かった。


 「あ、お母様。お先いただきました~」


 「あら郁巳。綾ならさっさと二階へ上がったわよ」


 「…ああ、分かったよ。ったく、綾は自分から言っときながら……」


 「ふふ、綾は綾なりに舞羽ちゃんのこと気にしているからよ。だからそれを気にしてる郁巳にも共感してほしいのよ」


 「………うう」


 「ほら、そんな難しい顔しないの。眉間にシワ寄ってるぞ~。うりうり」


 「ぐぐっ……」


 「うりうりうり~」


 「ぐ、ぐぐっ…お母様!」


 「あははっ。そうそう。郁巳は優しいから人の気持ちをちゃんと気にしているんだよ。でもね、たまに自分の気持ちにも気にしてあげても良いんじゃない?」


 「………っぽい」


 「ん?」


 「何か母親というよりお姉さん…みたい」


 「あはは、郁巳にお姉さんはいないわよ」


 「そ、そうだけど…何となく!何となくお姉さんがいたらこんな感じなのかなっと!そう思ったんだよ…」


 「…ぷっ、うふふふふふ…。郁巳は年上好みなの?」


 「ちがっ!…うかどうかは今は分からない…」


 「ほほう、否定はしないと」


 「うっ!…正直分からない。自分の好みが…」


 「でも身長は低い方が好み?」


 「………分からない」


 「お、ちょっと間があった」


 「「お母様!」」


 「お、綾~。兄と母親である私の恋愛相談が気になったと~」


 「なってません!というか肉兄は私との話が先約なの!」


 「あ」


 「あ じゃなーい!全く!肉兄は何で私との先約をすっぽかしてお母様と話しているの!」


 「あらあら。綾ちゃんはお兄さんと大事なお話が出来なくて不貞腐れているのね~」


 「お母様!?」


 「あはは、ごめんなさい。後で何か飲み物持っていくわね」


 「い・い・で・すー!」


 「じゃあ俺だけにお願いします」


 「肉兄ーー!!」


 「「半分冗談」」


 「半分かーーーーーーい!!」


 「「ごめんごめん」」


 「……じゃあタイミング良く私にも…お願い」


 「うん、分かった。じゃあタイミング良く飲み物作って乱入するね」


 「おいこらそこの私達の母親」


 「きゃーこわーい」


 「お母様、娘に対して…何か…こう………もう良いです」


 「あ、綾が折れた」


 「…さーてと、じゃあ行くか綾。俺の部屋で良いか?」


 「ういー」


 「じぁあね~」


 母親から散々弄ばれた綾はゲンナリとしながら階段を郁巳と一緒に上がって行った。そして郁巳の部屋に入り郁巳はベッドに綾はクッションに座った。


 「………」


 「………あー、まあ何だ。あれだ」


 「……?」


 「あれはお母様なりの気持ちの解し方だ」


 「……解ってるって」


 「…そっか……」


 「…多分少し重たい話するから…それを気にしてあそこまでお茶らけたんだと思う…」


 「…そっか……」


 「………」


 「……で」


 「……ん」


 「…舞羽の様子どうなんだ?」


 「…少しLOneして愚痴とか聞いてた…」


 「…そっか」


 「…ねえ、兄さん」


 「……おう」


 「みんなの気持ち、知ってる?」


 「………」


 「…まあそうだよね。それでこそ兄さんだよね」


 「…ごめん」


 「…ううん、分かってる。でもね、これだけは知ってて。多分このままだとみんな壊れちゃう」


 「!?」


 「バラバラになるって事じゃないんだよ。ううん、もしかしたらバラバラになっちゃうかも。心が………。兄さんが誰と決めないと多分みんなが…ううん、舞羽先輩の心が、マーちゃんの心が壊れちゃう」


 「………」


 「分かってる兄さん!!」


 「…分かってる。けど…」


 「けどじゃないよ!このままじゃ本当にみんな壊れちゃう!」


 「………」


 「兄さん!」


 ドンドン


 「ちょっと郁巳~。あ、綾でも良いや~。飲み物持ってきたから開けてちょうだ~い」


 「………」


 「………」


 ガチャ


 綾がドアを開けた。


 「あ、ありがと~う。…あれ?本当に空気が重い」


 「………」


 「………」


 「…え~っと~………。と、とりあえずハイ!あなた達の飲み物!」


 「……何これ?赤い…ブドウジュース?」


 「……あ、それ私のだわ。ロゼワイン」


 「おいこら母親。ここで飲むんかい」


 「もう、ここで飲まないとあなた達これ以上重たくなるでしょう。それに、恋愛経験者のお姉さんがいてくれた方が心強いでしょう?」


 「そんな勝手な!…ねえ兄さん!」


 「………綾、多分冷静に話せる人ってお母様しかいないと思う」


 「!?もういい!」


 「綾!逃げるの!!」


 「!?」


 綾が郁巳の部屋から飛び出そうとした時に母親が一喝した。


 「…綾、あなたも優しいから舞羽ちゃんやまりもちゃんの気持ちを大事にしようとしてるのよね」


 「………」


 「でもね、もう一人忘れてない。…郁巳の気持ちを」


 「………!?」


 「ねえ郁巳、あなたはどうしたいの?」


 「…分からない」


 「兄さ…!!」


 「綾」


 郁巳へ非難の声を上げようとした綾が母親から制された。


 「………」


 「………」


 「………」


 「……ごめん」


 「………」


 「………」


 「……分からないだよ」


 「……何が?」


 母親が優しく問いかける。


 「…自分の気持ち。誰かなんて考えたことがないから……」


 「………」


 「………」


 「……それにみんな良い子だから…皆を傷つけたくない」


 「兄さん!」


 「郁巳、それは逃げよ」


 「………」


 「あなたは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 「………」


 「………お母様」


 「それに恋が傷つかない訳は絶対にないの。誰かが恋を成就する事は誰かの恋が叶わなくなる事なの」


 「………」


 「………」


 「これだけは言えるわ。恋は傷つくもの。傷つかない恋は濃いじゃないわ」


 「………」


 「だから郁巳」


 「…はい」


 「いっぱい傷つきなさい。そして傷つけなさい」


 「………」


 「………」


 「そして綾」


 「……はい」


 「人の恋よりも自分へ向けられている恋心も気付きなさい」


 「へ?」


 「少し気になってるでしょ?彼女の事」


 「う……うーん…まあ、ね」


 「そう、でもそれは彼女自身も決断をしないといけないから。郁巳を取るか綾を取るか」


 「………」


 「………」


 「まあ、思う存分迷いなさい青年共。そしてそれは自分自身で決めなさい。誰でもない自分自身で。んっ……ふぅ。うん、講話した後のお酒は美味しいわ~。ほらあなた達もこっち飲みなさい。ブドウジュース~」


 「「…いただきます……」」


 二人は母親からブドウジュースを受け取ったが直ぐには口にしなかった。


 「……じゃあ私は自分の部屋で飲むよ……じゃあねお休み」


 「…おう。お休み…」


 そう言って綾は部屋を出ていった。


 「…ふふ、じゃあ私も退散しようかしら。…郁巳。ちゃんと考えなさい。相手のことを。そして自分自身のことを」


 「………」


 「あ、でもこれだけは言わせて」


 「………?」


 「恋は一度きりじゃない。一度ダメでも何度もトライして結果が出るの。………そうね、料理みたいに」


 「………料理」


 「そう、何度も挑戦して失敗して経験して成功する。これって料理じゃない?」


 「……そうだな」


 「まあ気分転換に料理に挑戦するのも良いんじゃないかしら?」


 「……うん」


 「そう………じゃあね、お休み」


 ガチャン


 母親が出てから郁巳は一気にブドウジュースを飲んだ。


 「……うう、まず」


 少し苦い味がした。

 恋は料理。何度も挑戦して失敗して経験して……そして成功させる人生のレシピ

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