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短編集  作者: ぐるこさみん
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綺麗な部屋

 お金


男は毎日神に祈り続けていた。

信心深い男に、神はどんな願いも一つだけ叶えてやろうと言った。

貧しかった男は、浴びてつかれる程の金が欲しいと神に願った。

神は願いを叶え、男は浴びてつかれる程の金を手に入れた。

男は両手一杯に抱えられた金を使って、一切れのパンを手に入れる。

国が戦争に負け、物価が急上昇したからだ。




 綺麗な部屋


ある男の元に、跡取りとなる待望の男児が生まれた。

男は男児が、決して病気にならないよう綺麗な部屋を用意した。

その部屋は清掃が行き届き、埃一つ舞う事はなかった。

男児は綺麗な部屋で綺麗なまま育てられた。

ある日、仕事が一段落した男が、男児の顔を見ようと部屋に訪れた。

翌日、男児は病気になり、そのまま息を引き取った。

男児が死んだ事に男は激昂し、屋敷にいる者すべてを粛正した。

男は真っ白な部屋で、人知れず涙を流した。

そこは、かつてはとても綺麗な部屋だった。しかし今は違う。

男がいるからである。

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