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ロボットなおたん

ロボットなおたん -TADAIMA-

作者: Nau

 1


ぽん博士の研究所。

かえぽ助手はロボット工学研究関連の機関紙『明るい工村』の最新号に載っていた記事を読んでいた。


 -『JUKAI』の猛威止まらず!!-

 -「悪魔の森」がアンチウイルスソフトを迷わせる!!-


JUKAI はロボット向けのOSを攻撃するために作られた最新のコンピューターウイルスのひとつである。作者は不明。各国のサイバー被害対応機関が猛スピードで対策を調査中。

JUKAI の特徴はOSを攻撃するだけではなく、ウイルス対策のためにインストールされている『アンチウイルスソフト』を閉じ込めて迷わせてしまう『森』を作るコンピュータウイルスなのである。

それが『JUKAI(樹海)』である。


かえぽ助手「JUKAI の被害が増えているみたいですねえ。。」


ぽん博士「まったく、、どこのイタズラ好きが作ったんだか。せっかくそれだけのソフトウェアを作れる知能があるのになあ。もったいない。」


かえぽ助手「最新のアンチウイルスソフトだとAI(人工知能)搭載の優秀なプログラムもあるじゃないですか。それでも効かないんですか?」


ぽん博士「今までだったらAI はアンチウイルスソフトだけに組まれていたんだよ。ところが、このJUKAI もAI で動く今までに無いタイプのコンピューターウイルスなんだ。JUKAI はコンピュータに侵入してアンチウイルスソフトに駆除されそうになると、あの例の『森』に逃げ込んで、それを追いかけてきたアンチウイルスソフトを迷わせて、出られなくしてしまう。アンチウイルスソフトの仕事をさせなくしてしまうんだから、相当優秀なAIで動いているんだな。」


かえぽ助手「アンチウイルスソフトを逆に封じ込めちゃうんですか!?」


ぽん博士「各ソフトウェア会社が急ピッチで対策を進めているが、今までのように単純なバージョンアップやウイルス定義の更新だけではJUKAI に対抗出来ないらしい。完全に新しくアンチウイルスソフトを作り直さなければならないのでは?という話を聞いている。」


かえぽ助手「相当危険な状態ですよね。。ここ(研究所)で作っているロボットも大丈夫でしょうか、、!?」


ぽん博士「ふははははは!、、その質問をしてくれるのを待っていたのだよ~!!、、実はだね~、うちで作られたロボットには世界最強のアンチウイルスソフトが組み込まれているんだな~!!」


かえぽ助手「え?そうだったんですか!?。。世界最強??」


ぽん博士「んふふふふふ、、実はコニー博士と天使四博士が共同開発したAI搭載のアンチウイルスソフト『シュプール』というものをインストールしているのだ~!じゃじゃーん!!」


かえぽ助手「えーっ!あの両博士が作ったソフトなんですか!?、、それはスゴイ!!」


ぽん博士「シュプールを使っているのは、ここの研究所のロボットだけなんだよ。ハッカーにアルゴリズムを解析されるのを防ぐため、うちだけが使用しているトップシークレットのソフトなのだ!!」


かえぽ助手「そんなにスゴイものが入っていたんですか。。たしかに今までうちのロボットがコンピューターウイルスの被害を受けたことは無いですもんね。」


ぽん博士「もしかするとJUKAI のAIがシュプールには勝てないと判断して、近よらないのかも知れんなー、、あっはっはっは!」


かえぽ助手「あの、、ところで、博士。。なおたんは今はスリープモードになっていますが、それでもJUKAI の攻撃を受ける危険性は有るのですか?」


ぽん博士「もちろん、なおたんも同じように攻撃を受ける危険性はあるよ。ただ、なおたんのOSは他のロボットのOSと違って外からの攻撃を防御するようにプログラムされている。アンチウイルスソフトが不要の特殊なOSなんだよ。」


かえぽ助手「なおたんのOSにそんな機能があったんですか!」


ぽん博士「それでも念のためシュプールをインストールしてあるよ。なおたんの性格だと相手がウイルスだとしても『駆除』という選択をしなそうだからねえ。。」


かえぽ助手「あはは。そうですね。なおたんには相手が誰でも『敵』という概念が無さそうですもんねえ。。でもシュプールをインストールしてあるなら安心ですね。」


ぽん博士「。。そうなんだが。。」


急に真顔になるぽん博士。


ぽん博士「もし、、もしも、、なおたんのOSがJUKAI によって完全に破壊されてしまったら。。。


なおたんが目を覚ます確率は『0%』となる!」


かえぽ助手「え、、!?」


ぽん博士「メインシステムが完全に破壊されれば元に戻すことは不可能だ。人間で言えば、し、、」


かえぽ助手「だ、ダメですっ!!、、そんなの絶対にダメです!、、私待っているんです!!、、いつかなおたんが目を覚ますのを信じ、、」


ぽん博士「かーえぽ君!ちょ、ちょっと落ち着いて!!」


かえぽ助手「あ!、、す、すみません。。」


ぽん博士「信じているんだろ。。私も信じている。だーいじょうぶだ!なおたんはそんなヤワな娘じゃない。JUKAIなんぞの悪質なプログラムに負けたりはせんよ。必ずここに帰ってくる!」


かえぽ助手「そうですよね!なおたん強いコですもんね!!」


ぽん博士「そういうこと。強くて、優しくて、、ヘンなコだ。」


かえぽ助手「はい。。ヘンなコです(笑)」


研究所の特別室。

数種類の電子機器に繋がれた専用のベッドで静かに眠る美少女。


この少女は普通の少女ではない。

ロボットなのである。

そして、ロボットとしても普通ではない特徴がある。


人間と同じ様に夢を見るのである。。


彼女の名前は『なおたん』。



 2


なおたんは夢を見ていた。


なおたんはよく夢を見る。ぽん博士、かえぽ助手、ポンキー、近所の仲の良い人たちがいつも出てくる。

ところが今日の夢はいつもと様子が違っていた。

来たことの無い森を歩いていた。自分一人だけで。


実はなおたんの内部には異変がおきていた、、!

コンピュータウイルス『JUKAI』が侵入してしまったのだ!

ぽん博士が危惧した通り、なおたんOSのセキュリティシステムの入口の番人 “警備員なおなお” はJUKAI を『敵』と認識しなかったらしい。通常時のなおたんであれば正確な判断が出来たのかもしれないが、ディープスリープモードの “警備員なおなお” は通常時の10分の1しか機能していなかった。逆に「おいでやす~!どぞどぞ~♪」という具合に歓迎モードでJUKAI を通してしまったのである。

ぽん博士はそれを予測して、アンチウイルスソフト『シュプール』をインストールしていた筈なのだが。。

なおたんの内部の異変は夢にまで影響を及ぼしていた。


前方は森。後方も森。右を見ても左を見ても森。夢がモリモリ。じゃない。森森の夢。いつの間にか深い森の中に迷い込んでしまった、なおたん。


なおたん「誰も居ないねー?ここどこなのかなー?。。♪迷子の舞妓のコレクションー♪ 私がいる場所どこで歯科ー♪」


道に迷っている割には、まったく困っていない(むしろ楽しんでいる)なおたん。

しばらくいつも通りにテキトーな歌を歌いながら歩いていると、奥のほうから声が聴こえてきた。


シュプール「うわあ~!またここに戻ってきてしまったああ!どうなっているんだああ~!?」


トナカイみたいな人が叫んでいた。トナカイではない。トナカイみたいな人だ。後ろから声をかけるなおたん。


なおたん「あー!誰か居たー♪ こんにちねぎねぎー♪」


シュプール「うわわっ!びびビックリしたーっ!!。。んん?新しいウイルスかっ!?。。って、違うみたいだねえ。。ウイルスがあいさつとかしないよねえ。。君だーれ?」


なおたん「君だーれ、カフェオーレ!、、私なおたーん!ねーねー!何してたのー?」


シュプール「『なおたーん』さん?、、あ、僕はシュプールって言います。JUKAIっていうウイルスを追いかけていたら、いつのまにかこの森に迷い込んでしまって。。早くここから脱出して、JUKAIを見つけて倒さないとタイヘンなことになってしまう!」


なおたん「私『なおたーん』じゃなくて『なおたん』だよー♪ 職業こどもー♪ あははー♪ 『じゅかい』ってなーに?」


シュプールはなおたんにコンピュータウイルス『JUKAI』の説明や自分の役割、今までの経緯などを説明した。ちなみに、なおたんに何を言っても『ふーん。そうなのかー♪』しか答えてないので、なおたんが説明を本当にわかってくれたかどうかはわからない。


シュプール「あんな恐ろしい敵は初めてだよ!悪魔だ。あの悪魔がこの森を作ったんだよ!」


なおたん「♪あるーひ、森の中、アクマさんに、出会ったー♪。。そっかー、シュプちゃんタイヘンだねー!迷子になってお仕事出来ないんだねー!こまっちんぐコマネチコ先生なんだねー♪」


なおたんにはJUKAI の恐ろしさが全く伝わらない。


シュプール「そ、そうなんだよ!要するにそういう状態なんだよ!もうどうしたらイイんだか。。」


なおたん「私も一緒に出口探してあげるよー!、、あのねー!きっとコッチだよー!たぶんコッチー!きっとコッチー!、、あ!キットコッチってお菓子みたいだねー!あはははー♪」


シュプール「それを言うなら『キット○ット』でしょ!、、え?でもなんでコッチってわかるの!?」


なおたん「これ!主婦はオカン♪」


シュプール「え?どういう意味?、、いや主婦は大体オカンだろうけど、、え?どゆこと??」


なおたん「あれー?言い方間違えたー!、、なんて言うんだったかなー?」


たぶん、なおたんが正しく言っていたとしても、シュプールは意味がわからないと思う。そもそも なおたんは主婦じゃないし、京都地検の女でもない。


なおたん「さぁみなさま~!次の目的地は森の出口でございます~!出発しま~す♪」


ツアーガイドのモノマネをしながら歩き出すなおたん。旗では無く大きな葉っぱがついた木の枝を手に持って。


シュプール「『みなさま』言うても僕しか居ないんだけど!

(とにかくこのコについていってみるか、、もう僕だけでは脱出は無理だ。。)」


なおたん自身も道がわかっている訳では無かった。本人も迷子になっていたのだから。ただ、なおたんは道に迷っても『楽しい』と感じてしまうのだ。

こんなときのなおたんは、不思議な能力を発揮する。並のAI では解読出来ない難解な森の迷路をなおたんならではの『カン』で解いていく。


しばらく歩いているうちに前方に光が見えてきた。2人は森を脱出することに成功した。


シュプール「で、出口だ!!、、なおたん!すごいよ!!」


なおたん「森の出口でごじゃります~!あっれー?お空が暗いねー!どよーんとしてるよー!どよよーんの夜は~♪」


シュプール「え!?、、空がこんなに暗くなっている!、、急がないと!!」


なおたん「夜だけに急がNightー♪ でもどうして急ぎんちゃくん?」


シュプール「なおたん、これはね、本当の夜じゃないんだ!本来ならこの世界はいつも昼間だし青空なんだよ!、、JUKAI がシステムを攻撃しているんだ!早く奴を駆除しないとこの世界が終わってしまう!!」


なおたん「世界の危機きりんなんだねー!どーしたらいーのかなっ?」


シュプール「街だ!街に行ってJUKAIを倒すんだ!中心部に主要な建物が集まっている。JUKAIはそこを攻撃している筈だ!何があっても心臓部の『AI(愛)のタワー』だけは絶対に守らないと!!」


なおたん「街ー?街は壊したらダメだよねー!街はお買い物ルンルンな場所なのにねー!、、よーし!街行ってみましょー!ゴーゴーれっちごーだよー♪」


シュプール「あ~!、、だけど空がこんなに暗くなっている!時間が無い!、、もう間に合わないかもしれ、、」


 ごごごごごごごっ!!


シュプール「うわわ!なんだーっ!?」


なおたん「わー!なんか出てきたー♪」



 3


突然、二人の目の前の地面が割れ、下から扉がせり上がってきた。枠に電飾が施されたピンク色の扉だった。


「とぉ、、あ、あれ?。。やだ!開かなーい!、、ふぉっ!はっ!、、あらー?。。」


ガチャガチャガチャ!


扉の中から女の子の声が聴こえた。

扉の外側に「かんぬき錠」がかけてあり、内側から出られないようだ。


「あのー、、すいませーん!もしかして外、錠がかかってますー?。。ちょっと外してもらってよろしいでしょーか~?」


なおたん「待て!待つんだ~!錠~~!!」


シュプールは なおたんが言う昭和ギャグは無理に全部拾わなくても支障は無いんだということを森の中で学習済だった。あしたのために。


シュプール「あ!これのことかな?、、ガチャ!、、外れましたよ!」


「ありがとうございます~~!、、じゃあ今度は扉からすこ~し離れてもらえますかー!今から勢いよく飛び出しますので~!!」


メンドクサイ人だ。


「はい!じゃ~いきまーーす!!、、とぉーーーーー!!」


ばーーーん!!


勢いよく開く扉。中から一人の少女が飛び出してきた!


 ぽりんぽりんかえぽりーーーん♪


 しゅたっ!


カエポリン「呼ばれてないけどポリンポリーン♡ 」


なおたん「わああ!『カエポリン』だー!本物本物ー?うひょー♪ サインくださいんー♪」


シュプール「ななな何!?。。かえぽ、、りん?」


カエポリン「魔法美少女『カエポリン』でーす!ぽりん♡」


シュプール「魔法少女?」


カエポリン「魔法 ”美” 少女です!そこ大事です!。。うふふ!今、お二方困ってましたね~!ある場所に早く早く行かなくっちゃ!って思ってましたね~!、、まっかせてくださーい!おっけーです、おっけーですよ~!!私の魔法で解決しちゃいますよ~♪」


なおたん「うひょー!カエポリンすんばラッシーねー!さすが魔法瓶少女だねー♪ サインくださいん~♪」


カエポリン「魔法 ”瓶” じゃないですー!魔法 ”美” 少女ですよ!。。はい!じゃあ私と手をつないで下さい!、、いいですかー!いきますよ~、、」


シュプール「え?え?ちょっと待って!!」


カエポリン「どーしましたー?、、あ!そーか!、、安心して下さい!サインは後でちゃーんと書きますよ~!忘れてませんよ~!うふふ♡」


なおたん「わひょー♪ シュプちゃんよかったねー!サインしてもらえるよー!カエポリンありがちゅー♡」


シュプール「いやいやいや、サインは別にイイんだけど、『いきますよ~』って?。。どうする気??」


カエポリン「魔法でテレポーテーションします!『びゅーん』と!街まで!『びゅーん』ですよー♪」


シュプール「テレポーテーション?」


カエポリン「はいはい!今度こそ本番ですよー!、、ではではみなさんご一緒にーー!、、せーのっ!!」


カエポリン&なおたん「サバノミソニー・チョトアキターーー!!」


シュプール「なんじゃそりゃあああぁぁぁぁぁ。。。。」


 ぽりーーーん♪


空と地面が回転しているような錯覚に落ちた。シュプールはまだ完全には理解が出来ていなかった。

ピンク色の煙を残し、三人の姿がそこから消えた。


”センター・シティ”

この世界(なおたんOS)を維持管理している最重要電子都市である。なおたんの機能別に管理部門が別れており、それぞれ専用の建物になっている。

一般的なコンピュータウイルスはこの都市を攻撃してくる。例えば『手』を管理している部門が攻撃を受けると、なおたんの指が誤作動をおこしたり、握力コントロールが安定せず掴んだものを握りつぶしてしまうなどの事故がおきる。


そしてこの都市の中央には最も重要な設備がある。なおたんのAI を制御する部門が入っている『AI コントロール・タワー』通称『AI(愛)のタワー』である。

もしもこの建物が完全に破壊されるようなことになれば、、

なおたんのAI は修復不能となり、なおたんの命もそこで終了となる。。


その なおたんの命を脅かすコンピュータウイルス “JUKAI” が、街の破壊工作を進めていた。並のロボットOSであれば各建物は瞬時に破壊されたであろう。

しかし、なおたんOSの自己防衛機能は簡単には破られることはなかった。。


JUKAI(1号)「なーんて頑丈なバリアーなんだ!こんなの見たことねえよっ!!」


JUKAI(2号)「バリアー以外にも様々なトラップが仕掛けられているから気をつけろ!、、『おいでやす~♪』って張り紙に油断するなよ!!」


JUKAI(3号)「まあまあそんなに焦るな焦るな!、時間はたっぷりあるんだ!。。いつもみたいに4号がシュプールの奴を “森” に閉じ込めたんだ。あそこから出ることが出来る奴なんていねえよ!!」


JUKAI(2号)「ここまでは簡単に来れたんだけどなあ。。今回思ったんだけどさー、普通であれば、まず最初のガードを突破するまでが難関じゃねえか。ところがここのガードマン、『どぞどぞ~♪』とか言って、ものすごい歓迎モードだったじゃねえか。ありゃガードになってねえよな!」


JUKAI(1号)「あれ、ガードマンだったのか!。。あんなゆるゆるだと全部のウイルス通しちまうだろ!心配だよなあ。」


JUKAI(3号)「なんでお前がそれ心配すんだよっ!!」


センター・シティのとある広場。

なおたん、シュプール、カエポリンの3人が姿を現した。


 ぽりーーーん♪


しゅたっ!


カエポリン「わぁ!成功でーす!実は3人同時のテレポーテーションは初めてだったんでドキドキしたんですよー♪」


ぶっつけ本番なのに、『まっかせてくださーい!』って言っちゃっうのがカエポリン。


なおたん「ドキドキしたねー!火炎式ドキドキしたよー♪ でもお空がぐるんぐるんして面白かったねー♪」


シュプール「あれ?、、ここ、街か?。。すごい!、、魔法みたいだ、、!!」


カエポリン「だから魔法ですってばー♪」


そのとき、、JUKAI の1体が3人を発見した。同じ広場に居たのだ!


JUKAI(4号)「シュプール!?」


シュプール「JUKAI か!?」


JUKAI(4号)「どうしてココに!?。。どうやってあの森から出られたんだ!!??」


シュプール「あはははは!、、僕にもよくわかんないよ!、、『なおたん』についていったら出ることが出来た!。。それよりっ!!、、よくも僕をあんな『おっかない』ところに閉じ込めたなー!。。覚悟しろー!!」


JUKAI(4号)「はんっ!お前みたいな、ちんこいトナカイみたいなのが凄んでも、なんも恐くねーよ!がはははははっ!!」


シュプール「トナカイじゃねーよっ!!、、くっそ~、、一番言われたくないことを。。もう絶対に許さない!!。。ぐ、ぐおおおおおおお、、、!!」


シュプールは怒りと共に身体を震わせた。みるみるうちに身体が大きくなっていき、ついには3メートルを超える怪物に変身した!


シュプール「ぐおおおおおおおっ!!」


なおたん「うわー!すごーい!!、、シュプちゃん、チョンピースのワッパーみたーい!サインくださいんー♪」


カエポリン「なおたんさん、、そのあたりいろんな意味でギリギリでコワイから、あんまり触れないほうが。。」


JUKAI(4号)「う、、うわああ!、、なななんだお前そんな風に変身出来んのか!?、、ちょ、ちょっと待て!。。今仲間呼ぶから、ジッとしてろ!。。お手!、、じゃねえや、、待て!!」


トナカイではないが、犬でもない。


シュプール「なに?、、仲間?。。お前1体だけじゃないのかっ!?、、そんなの聞いてないぞーっ!!」


JUKAI(4号)「お前に言うわけねーだろっ!、、あほかーっ!!」


最新のスマホ ”にゃいほん・ヘン” を操作するJUKAI(4号)。顔認証でスムーズにロックを外し、電話をかける。ちなみにJUKAI は全員同じ顔なので誰がやってもロックが外れる。


シュプール「そういや、あいつ胸に『よん』って書いてあるもんな。てことは『いち』とか『に』とか『さん』とか居るのか!うわー、、困ったなー困ったなー。。」


JUKAIがまだ1体のうちにやっつけてしまえばイイのに、シュプールは本当に待っていてあげた。

真面目か。


JUKAI(1号)「待たせたなーーー!!」


どこかのリーダーのような口調で叫ぶJUKAI(1号)。ちなみに誰がリーダーでもない。続けて2号、3号が到着した。


シュプール「くそっ!、、1体だけだったら簡単に倒せるのにっ!!」


だから1体だけのうちにまず倒しておけってのに。


シュプール「そ、そうだ!カエポリンさんっ!、、なにか魔法を使ってあいつらを倒せないですかっ!?」


カエポリン「なんとか助けてあげたいんですけど、私、”攻撃魔法” は危ないからって言われて、とーちゃ、、あ、父から教わってないんですよ~!ゴメンなさいです~!!」


なおたん「うひゃー!ピンチだねー!ピンチだねー!だけどピンチの後にはちゃんこ鍋って言うからねー!だいじょぶだいじょぶー♪」


全然大丈夫じゃない。



 4


JUKAI(3号)「漫才の時間はそろそろ終わりでイイかね?。。悪いが全員消え、、」


「ちょっっと待ちなさーいっ!!」


JUKAI(3号)「ぬわっ!?、、誰だーっ!?、、てか、俺がまだセリフの途中じゃねえかっ!!」


「あっちの世界もこっちの世界も悪い奴はゆるさないわよっ!!」


「とおおおおーーーっ!!」


シュプール「またなんか出てきたーーー!!」


突如現れた3人の女戦士たち!


なおイエロー「お肌つるつる!ラーメンつるつる!お色気ちょこんと♡『なお・イエロー』!!」


めぐブルー「朝はカレー!昼もカレー!今宵も華麗に!『めぐ・ブルー』!!」


かえピンク「あー、、、お久しぶりです。『かえピンク』です。」


なおイエロー「やわ肌戦隊!!」


なおイエロー&めぐブルー&かえピンク「Negiranger!!」


 (BGM:『トラフグ!NANDERLAND』ウニッコ)


なおたん「わああ♪『ねぎれんじゃ』だー!本物本物ー?うひょー♪ サインくださいん~♪」


JUKAI(3号)「な、なんだー!?お前ら~!?」


シュプール「なんだ?この人たち!?」


なおたん「シュプちゃん!この人たち正義の味方だよー!ヒーローだよ!ヒーロー!、、それでねそれでね!この、かえピンクだけ、なぜか『名乗りのセリフ』が決まっていないんだよー!スッゴイよねー♪」


なにがどうスゴイのだ。


かえピンク「あ、そういうの別に決めなくてイイです。。」


めぐブルー「あーっ!ねえ!この女の子、リーダーとおんなじ顔しているよ!、、ほら!スゴイ!同一人物みたい!!」


なおイエロー「もしや、、あなたは!。。『苦労人間』!!」


かえピンク「それを言うなら『クローン人間』でしょ!」


なおたん「私なおたん!ロボットだよー♪ 趣味は散歩ー!あははー♪」


めぐブルー「すごーい!健康的な趣味だねー!!」


かえピンク「驚くとこ、そこっ!?」


JUKAI(3号)「こらこらこら~!身内の仲良しトークは後にしろよ~!、、まずは目の前の敵に集中しろよ!、、まったく、、ちゃんとしろよ!ちゃんと!!」


悪者なのにちゃんとしたこと言う。


シュプール「おーとっ!そうだったなー!そいつはゴメン!、、よおおし!JUKAI が何体居たって、俺たちは負けやしないぜっ!!」


味方の人数が増えて、途端に強気になったシュプール。

正直だ。


なおたん「わー!盛り上がってきたねー!ハクション映画みたいだねー!すっごいねー!。。カエポリーン!こっちで座って観てようねー!ワクワクさんだねー♪」


カエポリン「それを言うならアクション映画ですよ~!うふふ。あ!なおたんさん、魔法でポップコーン出しましょうか!キャラメルソースかけます~?」


最初から戦う気の無い女子2名。


なおイエロー「ブルー!ピンク!ひっさしぶりに、暴れてやりますか~!!」


めぐブルー&かえピンク「おっけーーー!!」


ニヤリとするなおイエロー。親指を立てウインクで合図をするめぐブルーとかえピンク。


 (BGM:『トラフグ!NANDERLAND』ウニッコ)(2回目)


怪物化したシュプール、そして3人息の合ったNegiranger のコンビは最強だった。JUKAI 4人組は驚愕する!


JUKAI(2号)「な、なんなんだコイツら、、強い、、強すぎる。。」


めぐブルー「リーダー!そろそろトドメの時間だよっ!!」


かえピンク「新技、、使っちゃいますかー?」


なおイエロー「使っちゃうー?、、いつ使うの?、、今でしょ!、、誰も言ってくれないから自分で言ったよ!。。よっし!スタンバイ!おっけー?」


めぐブルー&かえピンク「おっけーーー!!」


なおイエロー「カリプソ娘に~~~!!」


3人が持っていたネギブレードが変形し、花束になる!


なおイエロー&めぐブルー&かえピンク「花束をーっ!!!」


 しゅぱーーーーーんっ!!!


3人は手に持った花束を豪快に振り下ろした。只の花束ではない。3人が敵に目掛けて同時に振ることによって強力な衝撃波が発生するのだ!


 ずももももももももももっっ!!!

 (衝撃波を音にしたらこんな感じじゃないでしょうか)


JUKAI(1号~4号)「ぐわあああああああああああっっ!!!」


めぐブルー「決まったー!!」


かえピンク「3人寄ればぁ~。。」


なおイエロー&めぐブルー&かえピンク「ネギの知恵だぜっ!!」


新必殺技『カリプソ娘に花束を』が決まり、勝負は決まったと思われた。

だが。。。


JUKAI(3号)「、、、フフッ。。」


JUKAI(3号)がよろめきながら立ち上がり、アザだらけの顔で不敵な笑みを浮かべた。


なおイエロー「え?まだ動けるの!?、、何笑ってんのよ?!、、私まだとっておきのギャグ言ってないのにっ!」


JUKAI(3号)「がくっ!、、お前の寒いギャグで笑うかっ!、、そうじゃなくて!、、お前ら、これで勝ったと思っただろ!!。。グハハハハハ!バカメが~!、、あの塔を見てみろ~!!」


JUKAI(3号)が指を差したのは『AI(愛)のタワー』だった。


なおイエロー「なに?なに!?、、AI(愛)のタワーがどうかしたの?、、えっ!?、、あああ!?、、なんてこった~い!もう1体居たのね~!!」


AI(愛)のタワーの頂上近く、なんとそこには最上階の司令部を目指して登る、1体のウイルスが居たのだ。今まで姿を見せなかったJUKAI(5号)であった。


JUKAI(3号)「ごふっ!、、ハァハァ、、お前ら、油断したな。、、俺たちは全部で5人居るんだよ、、ゼェゼェ、、戦っているスキに5号だけコソコソ~っと登らせていたのよ!。。あのてっぺんをぶっこわしてしまえば、この街はおしまいだな!。。グワッハッハッハッハッ!!」


シュプール「しまったあ!、、今からじゃ、あそこまで走っても間に合わない。。ハッ!そうだ!、、カエポリンさん!あの『テレポーなんとか』で私をあそこまで飛ばしてもらえますかっ!?」


カエポリン「テレポーテーションのことですか~?、、あー、、ごめんなさ~い!、、まさかこんなことになるなんて思ってなかったんで、さっきのポップコーン出す魔法で今日のマジックパワーをほとんど使い切ってしまったんですよ~。。」


シュプール「そそそんな、、ゲームのキャラクターじゃあるまいし。。魔法っていつでも使えるって訳じゃないの?。。うわ~!、、あの1体をここからでも倒す方法はないのか!?、、くそっ!!」


めぐブルー「ねぇ!私たちの『ネギーガン』で撃つことは出来ないのっ!?」


かえピンク「ダメだよ!ネギーガンではあそこまで届く出力は無いよ!、、かと言ってそれ以外の技では逆に強すぎてタワーごと破壊してしまう、、!!」


JUKAI(3号)「グワッハッハ~!もう諦めろ~!、、我らの勝利だあ~~!!」


倒れていた残りのJUKAI たちもヨロヨロと立ち上がった。全員が勝利を確信し、ニヤニヤと笑う。

あと数十秒でJUKAI(5号)は頂上へ到着しようとしていた!!


そのとき、、、


なおたん「ねーねー!」



 5


なおたん「私、目からビーム撃てるよー♪」


シュプール「えーーーっ!?、、ビーム出せるの!?。。ギャ、ギャグじゃないよね、、!?」


毎回ギャグしか言ってないから、そりゃ心配するだろう。


かえピンク「だけど、なおたん!あんなに遠くに居るJUKAI だけを撃ちぬけるの!?、、もしも外してタワーに当ててしまったら。。!!」


なおたん「だいじょびじょびじょびー♪ かえピンクは心配性だねー!かえぽもいっつもだいじょぶ?だいじょぶー?って私に聞くんだよー♪ あー!そいえば、かえピンクとかえぽ、ソックスだねー♪」


めぐブルー「それ言うならソックリでしょ!、、でででも、ホントにだいじょぶー!?」


なおイエロー「みんな!なおたんを信じようよ!なおたんが最後の望みだよっ!!」


シュプール「よし!みんなのパワーをなおたんに集中するんだっ!!」


カエポリン「なおたんさん!私の最後のマジックパワーも使って!!」


シュプール、カエポリン、Negiranger はなおたんの肩に手を置いて意識を集中させた!


なおたん「うひょー♪ エネルギー充填120パーセントだよー!、、20パーセントお釣りが出たよー♪」


シュプール「よし!なおたん!、、今だーっ!!」


シュプール&Negiranger&カエポリン「撃てえええっっ!!」


なおたん「なおたん・びーーーーーーむっ!!」


 びびびびびびびびびびびびびびっ!!!


なおたんの目からJUKAI(5号)に向かって一直線に光が走る!!


JUKAI(5号)「ガッ!?、、グワアアアァァァァァ。。。。。」


なおたん・びーむがJUKAI(5号)の背中にヒットした!衝撃でJUKAI(5号)はタワーから落ちていった。。


シュプール「いやったあああ!!、、なおたんっ!最高!!」


なおたん「うひょー♪ はぴーたぁ~ぃんむ♡」


JUKAI(1~4号)「5号~~~!!」


JUKAI(1号)「く、、そ、、なんてことだ。。俺たちが負けるなんて。。くそっ!くそおおおっ!!、、うぅ、、」


JUKAI(3号)「泣くな、、1号。俺たちはやるだけのことはやった。後は消えて無くなるのを待つだけだな。。」


JUKAI(2号)「そうか。。消えちまうんだったな、、俺たち。。」


JUKAI(4号)「まさかあの森から出てこれる奴が居たなんてな。。正直、その時点で負けだと思ったよ。。あいつらのほうが強かったってことだ。。」


そして、タワーがある方角から、もう1体のウイルスが歩いてきた。


JUKAI(5号)「あたたたた。。。おー!お前らみんな生きてたかー!!」


JUKAI(1~4号)「5号!!」


JUKAI(3号)「お前こそ、、生きていたのか、、!?」


JUKAI(5号)「おいおい!勝手に殺すなよー!、、ちびっと身体が痺れたが、この通りなんともねえよ!!」


なおたん「わー!生きていて良かったー♪ あのねー、私のビームって誰かを傷付けるために作ったんじゃないんだよー!、、って、ぽんちゃが言ってたよー♪」


JUKAI(5号)「『生きていて良かった』?。。え?、、それ本気で言ってんのか?」


なおたん「JUKAI ちゃんたち、ここに住めばイイのにー!、、シュプちゃんとおんなじお仕事しながら仲良く暮らーし安心暮ら(ぴー♪)あん♪ すればきっと楽しいよー♪」


シュプール「なおたん!。。。うん、、そうだな。。なあ、JUKAI さんたち。良かったら、僕と一緒にこの世界を守る仕事をやらないか?、、破壊を繰り返し、大勢の人たちを苦しめるだけの生き方なんて悲しいだろ!」


JUKAI(3号)「シュプール。。フ、、フハハハハ!、、ハハ。。馬鹿か!、、大馬鹿だな。お前らは。。馬鹿だよ、、俺たちは敵同士だぞ。さっきまで殺し合っていたんだぞ。それなのに、一緒にやっていかないか、なんて。。」


JUKAI(1号)「、、わりいが、、その提案は受けることは出来ねえなー。」


シュプール「、、そうか。やっぱり、、ダメか。。」


JUKAI(2号)「いや、そういうことじゃ、ねーんだよ!。。俺たちはもうすぐ消えてしまうんだ。今回の破壊工作が成功しようが失敗しようがどちらにしても、任務が終了となった時点で消えてしまうのさ。。そうなるようにプログラムされている。」


なおたん「えー!JUKAI ちゃん、消えちゃうのー!?」


JUKAI(4号)「お前らとは、味方同士で出会いたかったな。。でも、この戦いもなかなか楽しかったぜ!」


JUKAI(5号)「シュプール。。お前はイイ奴に作ってもらったんだな。。俺もお前のようなプログラムにしてもらいたかったぜ。。」


JUKAI(3号)「さて、、そろそろ時間が来たようだ。。最期に楽しい時間をありがとうな!。。。さらばだっ!!」


JUKAI(2号)「なおたんちゃーん!じゃ~~な~~~!!」


なおたん「JUKAI ちゃーん!ばーいば~~い♪」


JUKAI の5体の姿がゆっくりと消えていった。JUKAI(2号)は、なおたんのファンになってから消えていったようだ。

そして、空を覆っていた黒い雲は無くなり、青空が広がっていった。


めぐブルー「あの人たち、、そんなに悪い人たちじゃなかった気がする。。」


シュプール「あいつらは、ただ『命令』に純粋に従っていたんだね。。ロボットのOSを破壊させるためだけに作られて、そのあとは簡単に消される。。なんでそんなプログラムを作るんだろう。残酷すぎるよ。。僕は、、僕は僕を作ってくれた人に感謝する!、、そして、こんな素晴らしい世界の管理を任せてくれた人に感謝するよ!!」


なおたん「私も私を作ってくれた、ぽんちゃに観覧車だよー!ぐーるぐるー♪」


シュプール「『私を作ってくれた』?。。そうか、、そういうことか。。君は『ぽんちゃ』って人が作った『ロボット』なんだね。。そして、、森で会ったときから、もしかして!、、と思ってはいたんだけど、、なおたん!、、君はこの世界のマスターなんだろ!?」


なおたん「マスター?、、私、喫茶店のご主人じゃないよー!、、あー!だけどネ◯カフェなら作れるよー!ダバダ~♪」


かえピンク「そういう意味じゃ無いのよ。」


シュプール「ここは、なおたんが作り出した世界だ。と言うより、この世界はなおたんそのものなんだ!、、だから、なおたんが想像した、なおたんを助ける人たちが現れたんだ!!」


なおイエロー「え?どゆこと?どゆこと!?」


かえピンク「なおたんのOSの中ってことかな?、、私たちも、なおたんが作り出したプログラムのひとつってことなんだと思う。たぶん。」


なおイエロー「うーん、、なんだかよくわからないけど、終わりよければスベスベお肌ってことで!!」


さらにわからないことを言う。


めぐブルー「さてと!、、いろいろ解決しちゃったことだし、私たちは帰るとしますかー!」


カエポリン「なおたんさん、シュプールさん、Negirangerさん、お会い出来て嬉しかったです~♡」


なおたん「私も楽しかったー♪ 私がだーいすきな ねぎれんじゃ とカエポリンに会えてお話し出来てとってもとってもハッピーでラッキーだったよー♪」


ぷっぷー♪


空から車のクラクションのような音が聴こえた。見上げると、4人乗り仕様の空飛ぶジュータンが浮いていた。魔法界の主婦に人気の使い勝手の良いコンパクトジュータンである。

運転席(?)からカエポリンに向かって手を振るご婦人の姿。


カエポリン「あきゃー、、かーちゃん、迎えはイイよって言ったのにー、、もー。。」


シュプール「お母さん!?」


なおイエロー「ほら!私たちにも迎えが来てるよー!、、ネギカーがあそこで待っている!!」


めぐブルー「ホントだ!クマさん、迎えに来てくれたんだ!!」


かえピンク「さっすがー!やっぱりクマさんだねー!!」


なおたん「カエポリーン!Negiranger~!ありがっちゅーべりべりーんだよー♪ また一緒に遊ぼうねー♪」


なおたんだけは”戦い”ではなく、 ”遊んでいた” と思っていたらしい。

カエポリンとNegiranger は なおたんとシュプールに別れを告げ、大きく手を振りながら、だんだんと姿が薄くなって最後は完全に消えてしまった。

最後に残った、なおたんとシュプール。


なおたん「シュプちゃんも、お家に帰らなくてイイのー?みんな待ってるよー!」


シュプール「お家?、、アハハハ!僕はここが家みたいなものなんだよ。この世界全部が。ここに住むことになったときから!!」


なおたん「うひょー!この世界がお家ー?ふーん。そうなのかー♪ よくわかんないけど、わーるどわいどでびっぐでぐれいてすなお家なんだねー!すっごいねー♪」


シュプール「なおたんこそ帰らなくてイイのかい?、、帰りを待っている人たちが居るんだろ?」


なおたん「私の帰りを待ってる人ー?」


シュプール「そう。なおたんに『おかえり』って言ってくれる人!」


なおたん「んーとねー、、私がポンキーの散歩から帰ってくると『おかえりー!』って言ってくれる人が居るよー!私が公園でブランコして遊んできた帰りにも『おかえりー!』って言ってくれ。。。


あれれ?


私、『行ってきまーす』は言ったけど『ただいまー』って言ってない!、、私、まだ帰ってない!、、ぽんちゃとかえぽに『ただいま』言ってない。。

私。。


帰らなきゃーーー!!」


この瞬間、、

なおたんの内部で長い期間閉じていたスイッチが入る。。!!


シュプール「なおたん。。お別れだね。また会えるとイイね。もっとも、僕はなおたんの一部でもあるからこれからも一緒なんだけどね!あはははは!」


なおたん「私の一部ー?、、シュプちゃん不思議なこと言うねー!不思議ーJr.だねー♪ アハハー!シュプちゃん、お達者でねー!また一緒に遊ぼうねー!じゃねじゃねー!ジャネーットじゃーくそん♪」


シュプールに見送られながら、なおたんは歩き出した。


シュプール「(なおたん。ありがとう。僕ももう大丈夫。この世界はどんなことがあっても守り抜くよ、、もう恐れはしない!)」


強い光が見える場所に向かって歩くなおたん。いつの間にか街を抜け霧につつまれた。


なおたん「コッチでイイのかなー?ポンキー。。あれー?そういえばー、総入歯ー、ポンキー居ないねえ?先に帰っちゃったのかなー?ポンキーいけずー♪」


しばらく歩くと目の前に扉が見えて来た。扉に近づくと、プレートが掲げてあり、そこには文字が書かれてあった。


 『ぽんはかせのけんきゆうじよ』


なおたん「『盆は風邪の元気遊女』?、、意味が稚内ねー!なんだろねー?」


おかしな変換をする なおたん も なおたん だが、プレートの文字を全部平仮名で書いてあるのも不親切だ。連絡したほうがイイ。 ← 誰に


なおたん「あ!そっかー!、、『ぽん博士の研究所』って読むんだねー!、、アハハー♪ でもこれ間違ってるよねー!『ぽんはかせ』じゃないよねー!『ぽんちゃ』だよねー♪」


そしてドアノブを回しドアを引っ張る。。開かない。


なおたん「あれー?押すのかなー?」


それでも開かない。

よく見るとドアノブの下に小さく右向きの矢印が書かれていた。

ドアを右にスライドさせるなおたん。


 ガラガラガラッ!!


なおたん「引戸かーーーいっ!」


アロハダンスのようなポーズをとって叫ぶ。


なおたん「あははー♪ こーいうのをツッコミって言うんだよねー!私上手に出来たねー♪」


なんかよくわからないことに満足しながら、なおたんはドアの向こう側の光の中に吸い込まれていった。


光の中を泳ぐように流れていく、なおたん。


なおたん「♪ひーかるー、入湯税ー♪」


歌詞の意味は全くわからないが、それはともかく、なおたんは強い光に包まれた。


遠くに小さな穴が見えた。少しずつ穴に近づいていく。

穴の向こうにベッドが見えた。

穴はどんどん大きくなっていき、そして最後は穴の向こう側の世界に入った。。


ぽん博士の研究所。特別室。

ベッドで静かに眠っていたロボットの少女がゆっくりと瞼を開いた。


なおたん「(-_-)ムニャ。。あれー?あれれー?。。私ベッドの中だねー。いつのまにまにー?。。ここ研究所ー?ぽんちゃとかえぽどこかなー?ぽんぽんぽんちゃーぽんぽんぽーん!かえぽかえぽかえぽかえー、、」


研究所内。第3研究室。

ぽん博士とかえぽ助手は現在開発中のロボットの試験中だった。


ポンキー「ワン!」


ぽん博士「どした?ポンキー。急に吠えたりして。。散歩の時間はまだだぞ!」


かえぽ助手「ん?、、あれ?、、今なおたんの声がしたような、、はは。まさかね。。」


かえぽ助手の背後にある、自動ドアが開く、、


なおたん「、、ぽかえ前歯姉さんかえぽかえぽー、、ただいま~~~!!」


かえぽ助手「誰が前歯姉さんよっ!?、、って。。え!?、、、、」


自動ドアのほうへ振り向くかえぽ助手。


かえぽ助手「なお、たん!?。。あなた、、目を覚ました、、の。。!?」


ぽん博士「なおたんっ!?。。起きた、、のか!!」


ポンキー「ワンワンッ!!」


なおたん「あー!ぽんちゃも居たー!ただいまぽんちゃっちゃー!あれー?ポンキー、先帰ってたんだねー!私おいてけぼりんぼりーん♪ あははー♪ 」


かえぽ助手「なおたん、、!!」


なおたん「あれー?なんでかえぽ『きょとーん』って顔してるのー!?。。あー!そっかー!私間違えちゃったー!、、起きたときの挨拶は『ただいま』じゃなくて『おはよー』だったー!おかしーねー!なんで間違えちゃったのかなー?、、私いつもは正しいひょーずんごピラピラなんだけどなー♪」


かえぽ助手「ううん、、イイんだよ!なおたん。。イイんだよ、、『ただいま』で。。よく、、よく帰ってきてくれたね。。」


かえぽ助手の目に涙が溢れた。

あのクリスマスイブの日から約2年。。ずっとこのときを待っていた。


なおたん「えー?『おはよー』じゃないのー?」


ぽん博士「かえぽ君。だから言っただろ。なおたんは必ずここに帰ってくるって。。おかえり。なおたん!!」


なおたん「あー!ぽんちゃも間違ってるよー!起きたときの挨拶は『おはよー』なんだよー♪」


かえぽ助手「あはは!、、そうなんだけど今はそれでイイの。。なおたん。おかえりなさい!!」


なおたん「えー!『おはよー』じゃないのー?いつからそうなったのー?、、んー、、でも、ま、いっかー♪、、じゃあじゃあもういっぺーん!!、、」



「ただいまー!!!」



-END-

特別編 -TADAIMA- を読んでいただきましてありがとうございました。

なおたんが目を覚ましてしまったので、、

もしかすると、またいつか続編を書くかもしれません。。

 Nau

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