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俺の日常を教えてやろう  作者: 櫻井 島弥
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第3話 俺の妹と俺の黒歴史を教えてやろう

6月30日、春澤家の朝は早い

我が家では両親共働きでほぼ毎日俺より早く家を出るため、いつも家には二人だけである、

二人、というのは俺ともう一人いるという事だが、

「お兄ちゃん、まだぁ〜早くしてよー」

可愛らしく高い声が透き通った朝の空気を伝わり耳に届く


そう、俺にはいちよ妹がいるのだ、

春澤彩葉(いろは)14歳、現在厨二じゃない中学二年生である。名前はいい、顔もいい、が、性格が良くない、いや別に悪くはない、でもさ違うんだよな、俺が知ってる妹ってのはもっとこうお兄ちゃんの癒しになる天使みたいな子なのね、

「言われんでも分かってるって、第1、俺だって家事できるんだから洗い物ぐらい自分でするわ」


「いやーそう言われてもなー全然信用度ないからなー、ヒキオタは朝と夜逆でしょ、だから朝は任せられないよー」

中学の制服を着た彩葉がリボンをつけながらリビングへ歩いてくる、150ちょっとの身長にショートの可愛らしい髪型が似合っている、白く細い腕に似合わない腕輪がはまっている。


「ヒキオタじゃねぇーよ、あと色々と偏見が強すぎる。それにその腕輪やめろよ似合わないぞ」


「はぁダメに決まってるでしょ、これは私の力を制御するマジックアイテムなの」


はい、只今聞いてはいけない言葉が聞こえましたね、隠してもすぐにバレるので、そうです私の妹は何が悲しくてか中二病なのです厨二病。

おかしいでしょ、なんで妹が中二病なの、確かに中二病なキャラはアニメには出てくるけども、違うでしょ、妹じゃないでしょ、何でだよ、おかしいでしょ。そこまで酷くはないのだが、しっかりと自分の設定は持ってしまっているのだ、家事全般は俺と同じでこなすのだが、ご飯の前には呪文を唱えるし、掃除中には技名を叫ぶし、今はめてる腕輪みたいなグッズをたくさん持ってらっしゃるようで部屋の中を見た時には壁に魔法陣が描いてあったのだからそれはそれは腰を抜かす。


「いいから、俺が洗っとくよ」

「わかったわかった信用するからーお兄ちゃんも一人前に人間だもんね」

「あ、なにそれ、俺は人間だよ、今までもこれからも」


家族での俺の立ち位置は奴隷かそれ以下のようで、まぁ親なんてどんなに仲が良くても大抵アニメには出てこないから意味は無いのだが



「じゃあお兄ちゃん、私先に行くねー、生きて帰ってきてよー」

いや、最後の一言いらないだろ

しばらくして妹は一足先に家を出た、俺の妹にしてはかなり可愛いのだが、あの中二病のせいで虐められていないかが心配だ、もし酷いことをしてくる男子がいたのならちょっと痛み目にあわせる必要がある、もし女子が相手ならとょっと身の危険を感じる体験をさせなければいけなくなる。

兄とは大変なものである、と、言わんそばから

「あ、あいつ忘れやがったな」

テーブルの上には二つの弁当箱が置いてある、と、いうことはだ、俺とあいつのと2人分あるってことで、俺が今から妹のために高校とは距離のはなれたの中学まで宅配をするということである。


俺とは対照的によく出来た頭をお持ちの妹は市内の東欄中を受験して見事合格しており、おかげで俺は今からわざわざいつもの駅を通り過ぎ中学の近くで降りてからバスに乗り換え他校生徒と共に山道を揺られながら登ることになる。それに東欄は中高一貫校で、高校から行った奴らが沢山いやがる、バスに乗ってる理由を説明するのがめんどいな。


気まずい雰囲気の中を我慢し続け、ようやく中学につくと待っていましたかと言わんばかりに彩葉が校門から現れた。


「待ってました〜さすがお兄ちゃん、私のお弁当運んできてくれてありがとね〜」


「軽いヤツだなぁ、こっちはとてつもない苦労をしたというのに」


「そんなこと言ってたら台無しだよー、ほら、早く行かないと遅れちゃうよ、学校」


可愛らしい茶髪に黒い髪留めが目立つ、いつの間にか腕には包帯が巻かれていて先日下ろしたばかりの夏服せいで丸見えである。


またバスにのり山を降っていつもの駅まで戻ってきた、我が日本国の中でも西に位置し端の端であるこの街にはJRというものが通って入るのだが終着駅で、市内の人間は電車といえば路面電車のことを言う。


俺は終着駅から一個手前の駅で降りてからいつも高校に通っているのだが、今日はバス停で降りたためいつもよか歩く距離が増えたように感じる。

歩いていて気づいたのだがやけに人が少ない、時計を見ればすでに遅刻タイムに突入していた、あぁぁやらかしたな、これ、



「いやだからですね、妹が忘れたものを届けるために病む負えなく遅刻したんですよ。それとも先生は僕の可愛い可愛い妹に一日中何も食べずに過ごせと言うんですか?」


1時間目が終わると担任の田邊奈々未(たなべななみ)先生に呼び出された、が、しかし、何故か俺が、言い訳をしている相手は家庭科の担当、開田弥生(かいだやよい)先生だった。

どうやら物凄く優しい新米教師であるななみんでは怒る前に逃げられるとすでに行き渡ってしまったようで先生の中でも怖いと噂の開田先生が直々にお叱りに来たようだ、でも何でこんな怖い先生とななみんが仲がいいのか。


「言い訳はすんだか、君は自分が正しいことをしたと思ってるようだが、君の仕事は学生だ、仕事よりプライベートを優先するのは罪だぞ」


えーこわーまじかよ、俺、プライベートの方が絶対大切だと思ってたのに罪なのかよ、

流石は開田先生だ、噂では家庭科で赤点を取り続けた生徒にもう1度チャンスを与えるように優しい校長と理事長が説得にかかったのだが、この先生はそれに逆らったらしい、おかげで男の先生ですら怖がっているのだ。


ななみんと隣に並ぶと全てが真逆な用に思える、同い年でここまで違うものなのか、天然の少し入った可愛らしいななみんにたいして、絶対にモテそうにない、開田先生はまるで鬼である。

髪型もななみんの茶髪ショートに対し、開田先生はロングの黒髪で服装に関してもななみんはスカートで開田先生はジーンズである、しかし悔しいことに何故か開田先生の方が胸部分が大きい。


「聞いているのか、春澤!真剣な話をしているんだぞ、先程から上の空で聞いているのかどうかもわからない、」


ごめんなさい先生、うるさい那由他くんのせいで、話を聞き過ごす能力が高くなってしまったらしいです。まぁだから僕は悪くないですね。


その後休み時間が終わるまで説教を受けてからやっと開放されたあと、遅刻しないようにね、と優しくななみんが言ってくれたのでHPが回復した。


朝から遅刻したため、良樹から1時間目が何かを聞かれそびれていたが、2時間目が終わると良樹に話しかけられた、


「優人、次何?」


「体育だぞ」


答えは安定して、は?ふざけんなよ、と、不機嫌なものだった、一週間に二回しかないのだからそこまで言わなくてもいいだろうに、体育教員をアラスカ送りにするようにと不可能な命令をいただいた。




放課後、不覚にも八月一日の侵入を許してしまっていた我らが歴史同好会は謎の理由で一人増え6人で何もしない活動をしていた。


誰がいつの間に持ってきたかは知らないが置いてあったオセロで遊んでいた

俺の対戦成績

那由他 6勝

良樹 10敗

マスター 1勝1敗

太郎 不戦勝

と、とにかく弱い那由他に何度も挑まれ今もこうして戦っているのだがどうやらまた俺の勝ちのようだ、一方、良樹には何度挑んでも負ける、何こいつなんでこんな強いの、それはもう大人がソシャゲにガチで課金しまくったなみに強い。


「あーもう、ひまぁぁ〜」


「どうした、八月一日、ひまならお前もやるか?オセロ」


「やらないわよ、何が悲しくてそんな事しなくちゃいけないの?なんか無いの、もっと楽しそうなこと」


「残念だがな、そもそもあったら俺だってこんな完全試合を何度も繰り返してねぇーよ」


「あーもううるさいわね、いいから代わりなさい、私がやる」


那由他と八月一日が一試合終わる頃には鐘がなっていた。

この時期にはすでに日が落ちるのが遅いため忘れていたなもうそんな時間なのか。

と、良樹も思ったのか

「もうこんな時間か、まだこんなに明るいのにな」


「帰りますかぁ」

太郎がなかなかに疲れた顔をしていたので聞けば、読んでいたラノベがシリアス展開に入ったらしい、納得はできるがよくそこまで感情移入できるものだ。




校門を出ようとすると何故かそこには今朝俺をとても面倒な目に合わせた我が妹、春澤彩葉が立っていた。


「お疲れお兄ちゃん」

「え!なんでお前がここにいるんだよ」


「今日はいつもより早く終わったからさ、せっかくの満月なんだから、一緒に瞑想してから平行世界の探索に行こう」


いやさ、その可愛い声でそんなこと言われてもさ、お兄ちゃんどうすればいいんだよ、

左手にはめた腕輪と右手に巻いている包帯以外には特に何もつけていないのだが、といっても髪留めなどの装飾品は全てが黒でとても目立つ。


「その前に晩御飯食ってからな、あと、俺は行かねぇーぞ」


「えーなんで、最近お兄ちゃんどうしちゃったの?昔はよくいってたじゃん」

「やめろ、やめなさい」


やめろ、それはダメなやつだ、言ってはならん、確かに昔はよく言ってたし行ってた、確かに俺も中二病の端くれだったのだろう、でもだ、健全な日本人の少年少女ならば必ず中二病になるのだからその事は責められないだろ。ただ、妹が中二病ってのはどうなのよ、それは責めるし多分その原因である過去の俺も責める。第一に俺はもう闇の書を書いていないし見ていない、月間ワトソンと月間ミーはまだ読んでるがそんなもんだ。


それに最後のテニスの試合以来、中二病は完治してる。


まぁにしてもここに八月一日が居なくて助かったともあれマスターと良樹はいる、まずいな


「あぁ初めまして良樹さん兄からお話はお聞きしております、とっても頭いいらしいですね」

マスターは中学から一緒なので何度かあってるし、そもそもマスター自体がヤバいやつなのでとくに何も思っていないようだが良樹はやばい、どうすればいい。


「憂人、お前」


「お、おおう、どうした良樹」


どんな罵倒がとんで来るかと思ったらホームズでも予想外の言葉が俺の耳のインターフォンを押して来たのだから驚いた。


「お前、、なんで妹いること黙ってた、あと、なんでこんなに可愛いんだァァァァァァァァ」


「えぇぇぇぇぇぇぇぇ」

なんでそうなったァァもっと突っ込むとこあるだろ、確かに見てくれは悪くないのだろう、でもさ、お前キャラ崩壊してるぞぉぉぉ何をおっしゃってるのかなーーー?


「いや、でもさ良樹、中二病だぜ」


「そんなものはどうでもいい、誰にだってあるのだから、それよりもなんていい子なんだ」


何故そうなる、お前はシャカかよ、何故そんなにすっと流せるんだ



「可愛いだなんてぇよっしーありがとう」

「お前も何を喜んでるんだ!!それになんだよよっしーってもはや某有名ゲーム会社のキャラクターだぞ、良樹は卵産むのかよ」


「は?何言ってんだ憂人、俺は哺乳類だぞ」


「急にまともなこと言ってんじゃねぇよてかまともじゃねぇよそれもそれでお前のキャラじゃないだろ」


やばい、このままだと収集がつかない、よしマスターに助けを求めよう、と、そう思って振り返ろうとすると面倒なのが遅れてやってきた


「お、憂人まだいたのか、あれ!?それ誰だ」

ダメだぁぁこれ以上今は面倒なことには出来ないよっしゃくらえぇぇ暗黒蹴殺(ダークネスエンド)

とか適当に思いついてしまったB級中二病技を叫びながら飛蹴りをくらわすと那由他はぐはぁぁぁとか言いながら倒れた




夜、結局俺は何だかんだで妹に付き合っていた、妹の部屋で電気を消して真っ暗にしてから精神を研ぎ澄ませ瞑想の真っ最中なのだが俺は当然心の中で独り言をブツブツ言っていた。


まぁだが仕方もない、これだって数年前まで俺がやっていた事だ、あの時は彩葉が俺を冷たい目で見ていたように思えるが今となっては真逆の事態、結局、何事もうまくいかないのは自分のせいなのかもしれないな


よし、こうなりゃやけだ今夜は俺も久方ぶりに力を解放し戦いに行くか、いいさ別に理想とは違えどこれが俺の妹なのだそれに理想はいくらでも追いかけれる、そう伝えてくれるのが何よりも中二病なのだ、だから俺もまだまだ中二病でいい、病気なのなら医療が発達した今、いつか勝手に治るだろう


「すまん妹よ、俺は装備を整えてくる、引き続き瞑想をしていてくれ」


自分の部屋に戻りタンスの奥の封印していたコートとモデルガンを取り出した、それから木刀を装備し戦いに向かうのだった、ちなみに木刀は父親が剣道をやっていた当時のものだ、悪いのは父親ということになる



鏡を見てからなかなかにカッコイイと思えたのと同時にやはり少しだけ恥ずかしく思えた、多分だがもうあの時の自分とは違うのだろう、どんなに恥ずかしくてももう過去のものになってしまったのかもしれない、と、少し後悔を覚えたが、気にせず妹の元に向かっていくのだった










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