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俺の日常を教えてやろう  作者: 櫻井 島弥
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2話 俺の順位は教えてやらん

6月もあと少しで終わる、もうすぐ夏が来るのだと、すでに団扇で扇ぎながら空中を見つめている、そんなある日


「あれだな〜、日本人はすでに季節感を忘れてしまったんだなぁ~、だって俺ぇ〜未だに五月病だぜぇ〜


「何言ってんだよ太郎〜、それはさ〜、5月じゃなくて、6月病だろ〜、ただ単に暑いんだよぉ〜」


「いやまだそこまで暑くないでしょぉ〜まだ、6月だぜ〜」


「いやさ〜、すでに6月だろ〜、てか、もう6月終わるしねぇ〜」


「おいまてよ憂人、五月病の前に太郎は年中やる気ないだろ」


「そうっすねぇ〜」


「おい京太郎〜自分で言うなよ〜」


「まぁお前らの場合は変わる季節に影響されすぎなんだよ」


「お、良樹じゃん、ってえぇぇぇぇぇぇ」


マスターと俺と太郎の3人がとても気だるいダラダラとした五月六月病トークをしていると良樹が少し遅れて入ってきた。

が、入ってきたと同時にとてつもない違和感に襲われた。


入ってきた良樹はなぜかケモ耳だった


「どうした憂人うるさいぞ」


「どうしてもこうしたもあるか!お前なんだよそれ頭に何つけてんだよ、またもキャラ崩壊してるぞ」


「あーこれ、これたぬきの耳だよ」


「なんでたぬき耳なんだよ、理由を言えよ理由を」


「いやさ、一週間ほど前にテストの結果が帰ってきてたろ、順位を見てなかったんだが、昨日見てみたらさ見事、1位を奪還したのでこの格好で祝ってみた」


良樹は入試の結果は1位だった、しかし、前回行われた実力試験では2位に下がってしまった、そして今回見事に1位を奪還したわけだ。

聞けば2回勝ったので勝が2個でかちかち、カチカチ山ということでたぬきの格好をしてみたらしい、うん、謎


「よかったな良樹、てか見るの遅いな」


と、そんな時だった。


「良樹宏太ー良樹宏太ぁー良樹宏太はいるかぁー」


突然、そんな声がした、すると驚くまもなく我らが歴史同好会のドアを開ける者が現れたのだった。



「えっとーどなたでしょうか?」

そこにはかなりの美人がいた、よく似合っている紅い眼鏡はお決まりの秀才キャラと言ったところだ、サイドアップだかハーフアップだかの知らないが整えられた髪は下ろすと腰まであるかと思われる


「うるさい、黙れ、私が用があるのは良樹宏太だけだ、ん?なんだその耳は私を馬鹿にしているのか、許すまじ良樹宏太ぁぁ」


突然入ってきたその方はそれはそれはお怒りだった


「落ち着け、一体どこの誰だか知らないが、とりあえずいきなり入ってきて怒鳴り散らすのはやめろ」


「うるさいと言っているだろ、少しは黙っていろ」


なんでだよ、何でさっきから俺はみんなにうるさいって言われてるのまさか本当にうるさいのかな、いや、どう考えても周りが悪いよね。


「ところで憂人、このやばそうな女は誰だ?お前の知り合いか?」


「お前の知り合いじゃないのかよ、おかしいだろ、さっきからおまえの名前を豪語してるし、俺は何だか邪魔者扱いだし、ってかお前なんかやらかしたのか、相当お怒りのようだぞ」

と、話していると俺らの声が聞こえたのか目の前の女子はちょっと怒った表情をした。・・・ツンデレ?


「何!?なんで私のことがわからないのよ、まぁ仕方ないまだ名乗っていなかったからな、初めまして私の名前は一番ケ瀬(いちばんがせ)ゆみ、あなた達とはここが違うのここが。」


と、頭を人差し指でとんとんして頭いいですよアピールをしている。

名前を聞いても俺はぱっと来なかったので良樹に聞こうとそう思ったのだが


「で、誰だ?憂人分かるか?」


いやわかんないのかよぉぉぉぉ


「なんだとぉぉぉ私のことがわからないのか、あくまでもしらばっくれるというのか、貴様のせいで3度にわたり学年1位を逃した、この罪は重いぞ。」


やはり見た目通り勉強ができるらしい、学年2位か、ん!?


「まて、そんなことよりだ、一番ケ瀬は前回のテストは何位だったんだ?」


「あ、なに、だから不覚をとってしまいそこの良樹憂人に負けてしまったのだ、2位だと、また、2位だとぉぉ」


「おいまてまて、前回のテストは良樹は誰かに負けて2位だったんだぞ、お前が勝ったんじゃないのか?」

この学校はわざわざテストの結果を張り出したりしない、だから良樹や俺達が一番ケ瀬を知らないように誰もがテストで誰に負けたかを知らない。もっとも俺のような人間は大抵の人間に負けているのだが、上位者争いは白熱したものなのだろう、なのにこの良樹と来たら適当なやつだな、自分のランキングをどうでもいいと思っているようで学年1位の事実をペラペラと言いふらすことをしない、おかげであまり知られていないのだろう。

彼女もここにたどり着くまで一週間かかったと思われる。


「なんだと、良樹は1位じゃ無かったのか、ということは私と同点2位!」


「えっとなんかよく知らんが、良かったな」


「うるさぁぁぁい、言い訳ないだろ、灘高にも受かったこの私がまだ1度も学年1位を取れていない、その上お前は私が倒す前に誰かに1位の座を譲り渡したのか!!ふざけるな」


勢いは収まらず怒り続ける。

えーまじかよ、それもまたキレるのかよどんだけだよ彼女を納得させられるとびきり情報はないのかよ。


「え、でもそれを俺たちに言われても困るぞ」

間違いなくそこまで言われるのは八つ当たりだろ。


「だからうるさいと言っているだろお前のような猿以下の頭脳ではそんな命令も聞けないのか」


現役女子高生とは思えない口調でまたも俺を罵倒する。

いやいやなんでまたそこまで言われなきゃなんだよ。

俺はマスターの方を向いてなんかいいかいしてやれという顔をした、するとマスターは何かを察したように


「おいコラこの痴女が犯すぞ!」


「ちげぇぇぇぇぇぇ、何言ってくれてんすかマスター、違うでしょなんで急にやばいセリフ出てくんだよおかしいだろ」


この場を鎮圧ができないかと太郎の方を見遣るが、俺に振るなと言わんばかりに目をそらす。

しばらく沈黙していた良樹が急に口を開いた。

いや、急にというかこれは元々こいつの話だし当然か


「どうでもいいんだけどさ、俺は勝ち負けなんかに興味はないぞ、ただ1位だったからふざけ半分でこんな格好してるだけだし。」


「あと、勝ちたいなら勝てばいいだろ、負けたのは自分のせいなんだから他人を攻める義理はないだろ、そんなんだからばかなんだよ。」


「・・・」

一瞬にして何となくその場の雰囲気が変わり静まり返った。

良樹の口調は変わっていないのだが心なしか最後のセリフは重く冷たい。


「まてよ良樹、お前はレベルが高すぎんだよ、お前以下が馬鹿ならみんなバカだろ」

ちょっと待って冷静に突っ込んでみたが、馬鹿は俺だった、いつもと何ら変わらない良樹の台詞なのに場が凍りついていたのはそこにいた一番ケ瀬のせいだった。


「うるさい!!、今は私と良樹くんが話してるの、そんなのも分からないのこの進化の遅れた猿が」


えぇぇー普通に元気じゃんか


「良樹宏太!!お前は次のテストではまたも1位を逃すことになるぞ、いや1位を取るのは今回で最後だ!!」

と、そう言った彼女の目が少しばかり潤んでいたように見えた。


「いやだから、別に何位とかどうでもいいし」

と、良樹は相手の渾身の宣戦布告をなんとも思わずまさに人の心がわからない化け物と言った感じでその場を去ろうとする彼女、一番ケ瀬ゆみを見つめていた。


一番ケ瀬が去ったあとでふと良樹が口を開けたので何を言うのかと思うと


「俺はメガネあんまり好きじゃないんだよな」


「は?何を急に言ってるの?」


「まぁあと髪はロングじゃないとダメだから」

いやだからさ、何を仰ってるんですかあなたは。

はぁー結局一番疲れたの俺じゃん。




次の日、歴史同好会の部室であるこの国数準備室には昨日はいなかっ那由他がいた、いやーいなくて良かったぜ、いっそ今日も来なくてよかったぜ。


ちまたで話題のオンラインゲームPLO2について皆は語り合っている。

プロツー確かに楽しいよなちなみに俺のキャラ名は何でかとても不人気で良樹からでも変えろと言われる。

なんでだろーな、カッコイイのに。


と、男子しかいないそんな部に一人女子の声がした、八月一日かと思ったらこれが違った。


「おい、良樹宏太、チェスで勝負だ!!」


と、そんな中世ヨーロッパの貴族のような知的な戦いを進めてきたのは昨日に引き続き登場の一番ケ瀬ゆみだった。

に、してもだ、昨日と明らかに違う点が二つある。


「おい、お前さ、髪型変えた?あと、メガネはどうした」


「うるさい、そんなに私の容姿を観察しているのか、気持ち悪いぞ」


いや、見てねぇーよ、てか気づかないやついないだろ。

って、こいつ、昨日の話聞いてたな。

というかなんで?まさか良樹のことが好きなの?

なんで?そんな要素無かったよな、いやまてよ、気があったから近寄ってきたとかそこら辺か?


が、しかし

「あのさ、お前にその格好をされると腹が立つ、やめろ」


「え!?」


はい、ご臨終。名無。



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