63 オカメインコ(偽)のクッキー
クッキー(クロマルの飼っているオカメインコ)の性格ですが、少し変わってしまったかもしれません。一章から少しずつ修正しているので、いずれは設定などを修正していきます。
忘れているかもしれないが、植木家には猫二匹と鳥一匹がいる。
猫二匹は捨て猫で、とくに問題ない飼い猫だ。問題は、鳥の方である。
植木家で飼われている鳥は、魔物だ。それも高レベルの魔物である。
飼われている鳥は、オカメインコそっくりだ。とても魔物と思えないが、知る人ぞ知る、希少価値の高い魔鳥だ。名前はクッキーという。
クッキーは、クロマルの従魔だ。
クッキーの正体は巨大な怪鳥で、普段は謎の技術で体を小さくしている。本当は人を乗せて飛べるほど、大きい種類である。
このクッキーだが、最近は家の中にいない。いったい何をしているのかというと、空を飛んで見張りをしている。信たちの住む町に、危険なものがいないか、見て回っているのだ。実は、これはクロマルの命令で動いている。クッキーは、クロマルの命令で信たちを守る役目を担っていた。
そうして、クッキーは、今日も空を飛ぶ。気分よく、町の上空を高く飛ぶ。
あぁ、綺麗な空に心地よい風。私は空の王者だ。
風に乗って高く飛んでいると、さらに上空からトンビが現れた。どうやらオカメインコのクッキーを狙っているようだ。
クッキーは草食なので肉を食わない。トンビは猛禽類なので、肉を食べる。クッキーは餌として狙われたが、口から炎の玉を出して、トンビを丸焼きにした。
『ふん。ただの動物風情が、私に挑むからだ』
クッキーは炎を吐く鳥だった。人間から見れば、猛禽類より恐ろしかった。
『あぁそうだ。丸焼きにしたトンビは仲間たちのごはんにしよう』
仲間は、カラスたちだった。クッキーは、この町に住む鳥たちの、王者として君臨していた。
信たちが住む町で、制空権を支配したクッキー。彼は最強のオカメインコとして、野生の鳥たちにあがめられていた。
★★
空を飛んで、町の巡回警備が終了する。クッキーはカラスや鳩が集まっている電柱に降り立つと、号令をかけた。
『クエ! 皆の者! 聞け!』
クッキーは電線に止まっているカラスや鳩、スズメたちまで、号令をかけた。クッキーの号令に、ギャァギャァと、鳥たちが返事をする。見たところ、全部で100羽を超えている鳥たちが電線に集まる。
道路を歩いている人間たちは、鳥たちが集まっているので、怖くて近寄らない。電柱の下には、鳥たちの糞だらけで、かなり迷惑であった。
『よく聞け! わが主、クロマル様はエロ本をご所望だ! エロ本が捨てられている場所を探せ!』
クッキーはクロマルの為にエロ本を探していた。これはクロマルが命令したわけではない。クッキーが勝手に行った行動だ。
『王様! エロ本ならゴミの日に捨てられますぜ!』
ひときわ大きい、白いカラスが答えた。どうやらリーダーのようだ。
『ゴミの日はいつだ!』
『今日ですぜ!』
『クエ!? では、エロ本が回収されるではないか! 探しに行くぞ!』
クッキーは慌てて電柱から飛び立つ。その後ろを、編隊飛行でカラスや鳩たちが付いてくる。まるで空襲でも仕掛けるような編隊飛行だ。
『あへ! クエ! ダメだ! 漏れる!』
クッキーは飛び立って数秒後、突然うんこをしたくなった。なので、空からうんこをばらまいた。うんこは真っ逆さまに落ちて、とある男に直撃した。
信が嫌っている近藤という男だった。
クッキーのうんこ爆弾は見事に的中した。近藤の頭はうんこにまみれた。
「なんだこりゃあ!」
近藤は何やら騒いでいるが、クッキーは知らん顔。そのまま上空を飛び去った。
その後ゴミの収集箱からエロ本を見つける。大量のエロ本だ。
カラスと鳩たちで、見つけたエロ本を“秘密基地”へ運び込む。
『落とすなよ! うんこは落としても、エロ本は落とすな!』
クエーっと叫び、クッキーはカラスたちに命令している。
秘密基地は倒産したホームセンターの廃墟で、クッキーたちの隠れ家だ。普段、クッキーはここに来て、仲間たちから情報を集めている。この町の情報を逐一収集しているのだ。見返りとして、クッキーは彼らに餌を提供し、猛禽類からカラスや鳩たちを守っている。
ちなみに、クッキーはダンジョンのモンスターを狩って、カラスや鳩たちに分け与えている。餌の出所はダンジョンだ。
『戦利品を選別するぞ! クロマル様は大きな胸の女が好みだ! 胸の大きな女の本だけ残せ!』
『ポッポー! それは鳩胸の女ですか!』
一匹の鳩が翼を挙げて、クッキーに聞いた。
『違う! 鳩胸ではない! 巨乳の女だ!』
『くるっぽー?』
鳩はあまり理解していない。
魔物の肉や薬草などを食べて、カラスたちはレベルが上がっている。知能指数がかなり上がっているが、まだまだ馬鹿なようだ。
『よし! お前たち! 助かった!』
クッキーは10冊ほどのエロ本を選定した。新品に近いエロ本で、内容も過激なものばかり。クロマルが好きそうなエロ本だった。
『あとで飯を持って来よう! ではな!』
クッキーはクエーっと鳴いて、飛び立った。10冊のエロ本は、クッキーの手に入れた魔法鞄の中にある。魔法鞄は首にぶら下げており、いろいろなものが入れられる便利な道具だ。
『わが主もお喜びになる!』
クッキーは速度を上げて植木家に向かった。
★★
クッキーは家に帰り、クロマルにエロ本を差し出した。
『クエ! これは私からのささやかな貢物です!』
クッキーは魔法鞄からエロ本を取出し、クロマルの前に置いた。
『え? どういうことだ?』
クロマルは困惑する。そんな命令は出していない。しかも、クロマルがいたのはみんながいるリビングだ。当然カレンや香奈もいる。信とポポもいた。なぜこんな場所でエロ本を渡すのか。しかもエロ本はカラスたちについばまれて、かなりボロボロだ。
『どうぞ! クロマル様!』
クロマルはクッキーにエロ本を差し出され、冷や汗を流す。
『クッキーよ! なぜここで渡す!? ここはリビングだぞ! カレンが見ているだろう!』
『クエ?』
クッキーは理解していない。
クロマルとクッキーのやり取りを見ていたカレンたちは、ドン引きと怒りでいっぱいだった。優しい香奈だけはクロマルの味方だったが、カレンは修羅のように怒っていた。
カレンはクロマルを鷲掴みにすると、そのまま外へ行き、どこかへ消えた。クロマルはその日、帰ってくることはなかった。
『わが主。申し訳ありません。次はもっと良いものを持ってきます!』
クッキーはまだ理解していなかった。




