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62 ポポ、家事を手伝ったのち、買い物に出かける3

 スーパーという店内の中、一触即発の空気になる信と近藤。近藤の連れであるヤマンバギャルは何も言わず、ただ傍観しているだけだったが、信は何かそのヤマンバギャルに違和感を感じていた。


「信君! なにしてんの!」


 そこでカレンが割って入る。周りの客も引いて見ており、店員を呼ばれそうな雰囲気だ。近所のスーパーで出禁にでもされたらかなわない。


「ちょっと信君。スーパーの中で挑発してどうすんの。暴力沙汰にでもなったら警察呼ばれるよ? それにあの入れ墨のマーク。ギルドでも有名なクランの入れ墨だと思う。これからは争いは避けていかないと」


 入れ墨はギルドクランのマークだったのか。どこかのギャングにでもあったような気分だ。あれが社会的に保障されたギルドクランならば、ギルドも考えを改めなければならないな。


「へぇ。誰だその女。信の女か? ずいぶん胸がでかいな。顔もいいな」


 近藤はカレンを見ていやらしい笑みを浮かべる。連れの男が他の女を見てニヤニヤしているのに、後ろに立っているヤマンバギャルは無表情だ。


「そうですか。クランマークでしたか。危うくポポが瞬殺するところでした」


 ポポはエコバッグの中で魔力を隠しつつ、溜め込んでいる。主人が嫌いな奴なら、ポポも嫌いだ。目の前のコンドーム男を一撃で倒す準備ができている。


「あっぶな。どんな奴か知らないけど、やめておきなよ。今は問題を起こすべきじゃない」


 耳元でひそひそとカレンに言われ、信も冷静になる。確かに、積年の恨みがこもった相手でも、今は問題を起こすべきではない。ここは謝って消えるべきだ。


「おい信、黙ってないで何か言え。それとも謝る気になったのか?」


「いや、すみませんでした。近藤君なら覚えています。昔よく遊んだので、フランクな対応をとってしまいました。今日は予定があるので、帰ります。これで勘弁を」


 信は近藤に近づき、万札をいくらか握らせる。やりたくない手だったが、穏便に済ますにはこれしかない。


「あ? なんだ信。わかってるじゃねぇか。さすがだな。俺は最近地元に帰ってきてよ。また会うかもしれねぇから、その時はよろしくな。そこの牛女もな」


 カレンを見て、再度いやらしい笑みを浮かべる近藤。その笑みと言葉に、カレンもキレそうになる。


「そうですね。また会いましょう。近藤君」


 でも、次に会ったときは、お前の最後だけどな。


 信も信でそれなりにプライドはある。女性に対してのプライドはめちゃくちゃ低いが、男に対してのプライドは高い。今は昔のように弱くないし強い仲間もいる。いつまでも過去のトラウマに負けていられない。


 金を握りしめ、近藤はヤマンバギャルをつれてスーパーから出ていく。連れられていくヤマンバギャルが終始無表情だったのが、信には少し気がかりだった。彼女が、信の知り合いに似ていると思ったからだ。


「まぁいいか。会ったこともないし、俺には関係ない女性だ」


 結局、店長のような偉い人に注意されたが、出禁までには至らなかった。


★★


「はぁ。いやな奴に会いましたよ」


 自宅への帰り道、車の中でカレンにぼやく信。


「あんな奴が信君の知り合いにいたの?」


「まぁ、そうですね。昔のクラスメイトですが、友達ではないですよ。ずっと会っていなかった奴です」


「そうなの? あのマーク。ギルドでも悪名高いクランのマークだよ。確か、メビウスだったかな」


 メビウス? メビウスの輪か? いや、メインベルトの小惑星帯か? 


「昔から悪名高いクランだよ。全世界に手を広げてるね。日本ではここに大きな支部を持っているみたいだけど」


「そうなんですか。ギルドのことに関しては興味がなくて、知りませんでした。今度からは気を付けます」


 かなりあっさりしている信。やはりファクターのことが優先で、他人のことなど興味がないようだ。一応襲ってきた魔族は調べているが、いまだ手がかりはつかめていない。


「そうそう。気を付けてね。今回はお金で解決できたけど、次は無理だろうからさ」


「無理?」


「あたしが我慢できない。あいつは生理的に無理。信君に牛女って言われるなら許すけど、あいつは無理」


「牛女って、まさか! カレンさんにそんな暴言は吐きませんよ! 美の女神たるカレンさんに向かって、そんなことは言えません!」


「ちょっとまって。今、美の女神って言った?」


「ええ言いました。カレンさんは美の女神です」


 真顔で言う信。この男は頭が良いのか悪いのか、よくわからない発言をする。表情を変えないで言うから、始末に負えない。


「は? じょ、冗談でしょ? そんな風に思ってたの?」


「バネッサさんも綺麗ですが、俺はクールで冷たい感じがするんです。カレンさんの方が笑顔でやさしいし、すごく話しやすいです。美の女神は本当ですよ」


「ほ、本当なの? へ、へぇ。ありがと、信君」


 信はカレンのことを褒めまくる。カレンは面と向かってそんなことを言われたのは久しぶりなのか、顔を赤くする。そして、それを聞いているスライムたちは面白くなかった。クロマルにとっては、信に恋人を取られるかもしれない。逆にポポは嫉妬の炎が燃え上がる。


 ポポは後ろから信の頭をポカポカと叩きだした。クロマルはカレンの胸に張り付いた。


「うわ! 今は運転中だぞ! やめなさい!」


「あははは。相変わらずだねスライムたちは! ははは!」 


 車内では家に着くまでお祭り騒ぎだった。




金を握らせるとか、おおよそ主人公の取る行動ではありませんが、信は頭脳派ということなんです。そういうことにしておいてください。

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