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53 信の実験記録1 昼の部

遅くなりました。明日か明後日に、また投稿します。

 この記録は、信がユージーンと出会う前の話である。


 アシッドスライムの魔物暴走から一か月ほど経過した時の話だ。


 信はオーギュストから一匹のスライムと、ネズミ型の魔物を手に入れた。信が以前、オーギュストに依頼していた品だ。


 スライムは、手のひらサイズの小さなスライム。真っ白で、お団子みたいなスライムである。もう一匹のネズミ型の魔物は、ハムスターそっくりの魔物である。ハムスターと少し違うのは、お腹のあたりに石が埋め込まれており、その石の力で魔法を使うようだ。


 信は、ファクターを使用し、それらの魔物と契約した。簡易的な契約であるが、主従契約なので、魔物たちは信を主と認める。


 ネズミ型の魔物は非常に頭が良い。訓練すれば、犬のようになつく。鳥系もそうだが、とにかく人間になつく。

 

 逆に懐かないのは猫系の魔物だ。彼らは自己中心的なため、契約魔法で縛っても命令を聞かないことが多々ある。


 とはいえ、愛情を持って接した魔物たちは、命を懸けて主を守ってくれることに変わりない。そこに種別は関係ない。


 信は、野生のスライムと、特殊なスライム「ポポ」との比較を知りたかった。


 ネズミ型の魔物は、スライムとの差異だ。動物型と、粘体型の魔物では、どう違うのか。思考回路の違いも知りたい。


 変態スライムのポポは別として、野生のスライムはどうなのか? どういった動きをするのか? 信は興味津々であった。


 現場は信の部屋に移る。ホームセンターで買ってきた大型のガラス水槽が、信の机の置いてある。その中には、件の白いスライムが入っていた。


 スライムのポポは届けられた真っ白いスライムを見ている。信と一緒に、白いスライムを観察している。


 白いスライムは、おがくずを敷いた、大きめのガラス水槽に入れられている。じっとしており、まったく動かない。


 ポポはタンポポを揺らしながら、水槽の周りをグルグル回って、同種のスライムを観察する。自分と同じスライムがそんなに珍しいのだろうか? ポポは触手で水槽を叩いたりして、子供みたいな反応をして見せる。クロマルの時はこんな反応は見せなかったが、どうしたのだろうか?


「ポポ。この子の名前はスノーだ。雪みたいに真っ白いからな」


 信は机の上に置いたスノーを見て言った。


 単純明快な名前である。信にはかっこいい名前を考える頭が無かった。ネーミングセンスがないのである。


 とはいえ、「スノー」という名前は悪くない。大福みたいな白いスライムには、ちょうど良い名前である。


「だけどこいつ、まったく動かないな。昼間は寝っぱなしだな。夜になると動き出すんだけど」


 どうやらこの種のスライムは「ホワイトスライム」と呼ばれており、見た目通り、治癒系の力を持っているらしい。彼らは夜行性で、魔力の高い水や食べ物を好む性質がある。


 スノーはホワイトスライムの種類に入るらしく、昼間はぐっすりと寝ている。ポポが触手で触っても、起きない。もちろん、激しく触れば起きるが、起きても動きが鈍い。


 完全に無害なスライムも珍しいらしく、信にとっては絶好の研究体。これからどんどんスノーと仲良くなりたいと思っている。


 逆にネズミ型のハムスターは「ハム」と名付けられ、ほとんど放置である。彼は一日中ケージの中で回し車を回している。土が大好きなようで、ケージの中には大量の土を入れている。後は勝手に巣を作って何かをしているようだ。


 ハムのエサは人工飼料だ。たまにひまわりの種を上げると、喜んで食べる。魔物というより、完全にハムスターの動きをしている。


 信はとりあえず、スライムの生態から調べていく。ハムに関しては、追々研究していく。


 机に置かれた水槽。その中に入っているスノー。おがくずの上でスヤスヤ眠るスノーを見ると、信はポポが出した「おしっこ」を用意した。


 ポポのおしっこはガラス瓶に溜められており、一か月熟成された天然ものだ。おしっこを見ると、すさまじい透明度で、おしっこが入っているのか分からない程だ。


 ポポのおしっこはとてつもない魔力が含まれている。そのまま飲んでも害はないくらい、純度の高いマナポーションだ。


 スノーの実験に使用する為、わざわざポポにおしっこを溜めてもらったのだ。透明のガラス瓶に。大きさは500ml程度入るガラス瓶で、ジャムを入れるものだ。100均製である。


「ふふふ。これはいいものだ」


 信はマ・〇ベ大佐の言葉よろしく、ポポのおしっこ入りガラス瓶を眺める。


 ポポは自分のおしっこを見ると激しく体をくねらせる。どうやら恥ずかしいようだ。特に信に見せるのが恥ずかしいらしい。


 基本的に排泄をしないスライムだが、ポポはいらない水分を排出することがある。人間の出す尿とはまったくの別物だが、とにかくポポは「尿」として排出するようだ。


 さて、この魔力純度の高い「尿」をスノーに与えるとどうなるか。


 信は小皿を用意すると、ポポの尿をなみなみと注ぐ。注いだら、飲み水としてスノーが入っている水槽の中に設置する。


 今、スノーはスヤスヤと寝ている。まんじゅうのようになって動かない。信はそーっと水槽の蓋を開けて、ポポの尿を水槽のすみっこに置く。すると、スノーは飛び上がって起きた。


「うわ! 起きた!」


 スノーは用意された尿入りの小皿に飛びついた。ごくごくと勢いよく飲み始める。純度の高い魔力に反応したらしい。


 ポポは勢いよくおしっこを飲むスノーの姿を見て、「イヤイヤ」と体をくねらせる。


 私のおしっこなんて飲まないでよ! この変態!

 

 などと思っているのかもしれない。ポポが恥ずかしそうにしている。


「うーむ。これほどポポのおしっこに魔力があるのか。これなら、非常用に取って置けばよかったな。アシッドスライムの戦いのときに役に立ったはずだからな。失敗したなぁ」


 信がそういうと、ポポが触手を伸ばして信を叩く。


 あんた変態なの!? 私のおしっこを非常用に取って置くなんて!


 そんな感じで信をポカポカ叩き、イヤイヤと体をくねらせる。


「うわ、いてて! どうしたんだよポポ! 今さら恥ずかしがることないだろ!?」


 もう何度もポポの排泄シーンを見ている。スライムの排泄シーンを。これと言って、信には恥ずかしい物だと思わない。可愛いスライムのすることであるし。


 これが美少女のおしっこであるなら、信も大興奮するところだが、出したのはスライムだ。饅頭みたいなスライムが出したものだ。別に恥ずかしい物ではない。


 愛菜の生まれ変わりと思われるポポであるが、やはり基本はスライムだ。恥ずかしいものという感覚が信にはない。


 信とポポがイチャイチャ? していると、スノーがおしっこを飲み終わったらしい。スノーもポポのように触手を伸ばすと、飲み終わった小皿を回収。信に手渡しで渡してくれた。


「うーむ。謎の生態だが、頭は悪くないようだ。飲み終わった食器を片づけるし。ちゃんと俺を主だと認識もしているし」


 スノーは水槽の中心に戻り、また寝始める。


 信は昼間の実験を切り上げると、今度は夜の生態を調べることにした。


 

 


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