24 ミノタウロスのカレン5 おまけ
カレンとの話もあらかた終わり、次回会った時は、ギルドでクラン登録することにした。
メールアドレスや電話番号の交換もして、今日は切り上げることになった。
信はカレンに礼を言って立ち上がろうとしたところで、信は気づいてしまった。
カレンはニット素材の、黒色ワンピースを着ていた。冬なので暖かそうな品だが、ボディラインが結構でいている服だ。
信は努めてカレンの体を見ないようにしていた。カレンの目や、顔を見るようにしていた。ジロジロと体を視姦するわけにはいかない。
話している最中もできる限り自然にしていた。
信とポポが帰るということになり、カレンは信から視線を外した。ポポに残ったお菓子を包んでくれるのだという。本当にやさしい人だと思った信。「少し待ってて」と言って、カレンがソファから立ち上がった瞬間、信の目がカレンの胸を捉えた。
今までカレンの胸を見ないようにしていた信。
信はカレンの胸を見たとき、驚愕のものを見てしまった。カレンが黒系の服を着ていたことで気づきにくかったこともあるが、信は見てしまった。
カレンの乳首付近が濡れていることに。
信の飲み込んだ唾が気管に入り、激しくむせる。
「ゲホッ! ゴホゴホゴホ!!」
「え? どうした急に。大丈夫?」
カレンは信を心配するが、信の視線はおっぱいに釘付け。
な、なぜ、そこが濡れているのだ。コーヒーをこぼした後には見えないぞ。
あ、あれは。まさか。
ぼ、ぼ、ぼ、ぼ。
「ん? 信君? いったいどこ見て? ん?」
カレンは信の視線の先をたどった。すると、信が胸を見ていることに気が付いた。カレンが自分の胸を見てみると、胸の先端が濡れていた。しかも乳首が勃ってしまっている。
「あ!? ヤバ!!」
カレンはすぐに胸を隠そうとするが、その前にポポが乱入。
信の目を触手で覆い隠す。
「カレンさん。本当にすみません。たまたま視界に入ってしまって。それで。すみません」
信は目を隠されたまま、平謝り。
「あははは。“遂に"やってしまったか。ごめんね。ちょっと待ってて。すぐ戻るからさ」
カレンはそういって奥の部屋に走り去る。
カレンがいなくなったのを見届けると、ポポは信から離れる。ぴょんぴょん跳ねて移動すると、カレンが入って行った部屋の扉前に陣取る。
触手を左右に広げ、絶対に入るなと、信にアピール。
「は、入らないよ。ていうか、入れないよ」
信は失礼なことをしてしまったと思った。カレンの母乳を見つけた瞬間に、謝るべきだった。凝視するべきではなかった。
しばらくすると、カレンが帰ってきた。ラフなシャツに着替え、信の前に来た。
信はすぐに謝ろうとするが、カレンが制止した。
「あ、謝らなくていいよ。これはあたしが悪いんだから」
「いや、それでも」
「普段は身体制御の魔法で抑えているんだけどさ、興奮したりすると出ちゃうんだよ」
こ、興奮?
「信君かっこいいだろ? 写真に写ってる旦那も、信君と同じような顔立ちだし。それでちょっとドキドキしちゃったんだよ。あはははは」
確かに、飾ってある写真の旦那さんは、童顔だ。アイドルみたいな綺麗な顔をしている。
「いや、俺はそんなにかっこよくないですよ?」
「は? 何言ってんの? すごいかっこいいじゃん」
確かに、幸太郎の遺伝子が入っている信は、見た目は悪くない。
「実をいうと、そのさ。信君、結構あたしの好みなんだよね」
カレンは爆弾発言を投下する。
ポポはその言葉に、信とカレンの間に割って入る。
「ポポ?」
スペシ〇ム光線を出す真似をするポポ。
信は意味が分からなかったが、カレンは何となく察した。
「ポポちゃんは信君が好きなの? 別にとったりしないから大丈夫だよ」
ポポは安心できないのか、現在の状態を維持する。
「大丈夫だよ。あたしは信君に相手にされないから。あたし、こう見えて30歳だから」
「え?」
「30歳だよ、あたし。こんなオバサンが、信君に声をかけるなんておかしいだろ? なに夢見てんだよって思われたかもしれないけどさ。こう、なんだか、信君にビビッと来たんだよ」
カレンはとても三十路には見えない。信よりは年上だろうが、25歳くらいに見える。
信は思い出す。
確か、亜人は若い時が長いことを。死ぬまで20歳の若さという亜人もいるらしい。人間より長寿の亜人も多いし、ミノタウロスもきっとそうなんだろう。
「いえ、すごい綺麗ですし、若いですよ」
信は正直に言うが、カレンは苦笑い。
「信君さ、あたしのおっぱい見てたろ? やっぱ好き?」
「え。そ、それは」
非常に答えにくい。大好きです! と言ってやりたいが、引かれたら困る。
「男の子は好きな人が多くてさ。見られるのは慣れてるんだ。でも、漏らしたところを見られるのは恥ずかしいんだよね。あはは」
カレンは赤くなる。
「信君あたしの母乳飲んだ? どう? 美味しかった?」
これも信には答えづらい。
人様の母乳で、おいしいですとは、何か言いづらい。というか、言えない。
『びゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛』と、某国民アニメのネタを言ってやりたいが、相手は年上女性。出会って間もないし、ジョークが通じなかったら大変だ。
「えっと、その、すごく甘くて、おいしかったです」
信はいたって普通に、まじめな顔で答えた。いやらしく感じさせないように。
「本当!? よかったぁ。渡した甲斐があったよ。あれって市場で評判だからさぁ。男の子がもらったら喜ぶかと思ったんだよね!」
市場。カレンはどこかに母乳を売っているらしい。
「実はさ。今日の搾りたてがあるから、持っていかない?」
「え?」
「あ、信君は搾りたてより、あたしから飲みたい派?」
「はい?」
何を言い出すんだ、この人は。そんな派閥は聞いたことがない。結婚してすらいないのに、女性から母乳を直飲みは、ありえんだろ。
「あははは。冗談冗談。でもさ、余ってる母乳があるんだよ。それは持っていかない? 今日は市場はないし、捨てちゃうことになるからさ」
信はその言葉に、「はい! 下さい!」と言ってやりたかった。
できる限り、変態的に見られないように、信は下手に出て言った。
「えっと、その。もらえるんですか? 実は妹もすごく欲しがっていて。いただけるなら、すごくうれしいです」
妹をダシに使う信。自分だけが欲しいとアピールしない。変態性を緩和させる策だ。
「本当!? それじゃいっぱいあるから持って行って!」
カレンはキッチンに走ると、2リットルのペットボトルを二本持ってきた。合計4リットルだ。
「一日で出ちゃってさ。今日は量が多くて困ってたんだ」
いったいどれだけ出るんだこの人は。
「これだけでると、生活の方は大丈夫ですか?」
話題をそらす信。これによって、変態性はさらに減る。
「ああ。大丈夫。薬もあるし、体も健康。生活には支障はないよ。ただね、あたしも男の前に立ったり、信君みたいなかっこいい子が近くにいると、興奮しちゃって、出やすくなるかな」
カレンは顔を赤らめる。
ポポはそれに反応し、信の前でプルプル震える。最大限の威嚇だ。
「えっと、本当にいいんですか? こんなにもらって」
「いいよ。もらってくれると助かるよ」
信は心の中でガッツポーズをして、リュックにペットボトルをしまう。
「あははは。信君に恥ずかしいところばかり見られたな。今日のことは忘れちゃって。馬鹿なオバちゃんがやったことだと思ってさ」
「ははは。大丈夫ですよ。俺は気にしていません」
信はにこやかに笑って、ごまかす。
信も美人にかっこいいと言われてまんざらではない。ポポはなんだか怒っているが、信は気にしないことにした。
今日は大量のミルクをゲットしたし、最高の一日だ。
信は心の中で吠えた。
びゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛!!




