一段落
「存分に戦ってこい」
「はい!!」
精霊王に力を分けて貰い、私はまだ黒い物に包まれているレミールへ近付く。
「ミーナ様?なにを……」
「あまり近付くと危ないですよ!」
「ミーナ様!」
もう少し、レミールが悪に堕ちたのは私のせいだもん。姉として、レミールがこうなった原因を作った者として、レミールは絶対に助ける。
すると……。
「ミーナ様!」
私は、私の名を呼んだレオニール様に目を向ける。レオニール様は、何か言いたそうにしている。
「大丈夫です!危なくなったら呼びます!」
「……無理だけはしないでください……」
「はい!」
心配性だな、レオニール様も他の皆さんも……。
多少の無理は許してほしいな。
そして、私はまたレミールの方へ近付く。
「来るなーーーーーーー!」
レミールへ向かって歩いている私に、また切り傷が増える。これ、痕残ったらどうしよう?
そんなことを思いながら、私はレミールの元へ行く。
「来るなと言ってるだろ!」
「だったら、私の大事な妹……帰しなさいよ!」
「この娘は、お前を大事には思ってないんだぞ!」
「それはどうでもいいのよ!今は、レミールさえ帰ってきてくれたらねっ」
私は、いまだ黒い物に包まれているレミールに抱きついた。
「レミール……もう大丈夫。今、助けるからね……。我、精霊と契約せし者、悪に囚われた者から悪を払え」
「いやーーーーーーーーー!」
私は、精霊王に貰った力をレミールに与え、悪の精霊の力をレミールから追い出した。
「姉、様……」
「レミール……、私はね、あなたが羨ましかった」
「え?」
「父上や母上から愛されてたあなたが、羨ましかった。自由に城の外に出ることができるあなたが羨ましかった。」
「……私は、姉様が羨ましかった……」
「どうして?」
「……他人に制限されない生活をしてる姉様が、羨ましかった。自分が好きな時に寝たり、好きなことやってる姉様が、とても羨ましかった。その気持ちが、成長するにしたがってどんどん大きくなっていった……」
「そう、だったの……」
「でも、私は両親に愛されている……私はなんでも手に入れられる。これだけが救いだった……そんな時に、アルマン様との結婚の話が持ち上がって、とても嬉しかった……でも、それは姉様をブレンディア王国に連れていくためだったと言われて、物凄く悔しかった。そしたらもう、歯止めが効かなくなった……。そんな時に、ケイが来たの」
「そうだったの……」
「ケイは、最初から私を利用するだけして、あとは捨てる気だったんでしょうね」
「そうなの……でもレミール、勉強楽しいって言ってなかった?」
「そんなわけないじゃない!大っ嫌いよ!頭が痛くて大変なんだから」
「そうだったの!」
私たちが話をしていると、遠慮ぎみにジークが声をかけてきた。
「あの~姫様がた、それはあとでよろしいんじゃないですか?」
「あ!悪の精霊は!」
「ワシが捕まえとる」
見ると、精霊王が真っ黒いネコを持っていた。
「え、あれがこれ?」
「ワシがこやつの力を抑えとるからな」
「あ、そうなんだ……とりあえず、無事に終わって良かったー」
「よくありません!こんなに傷を作って」
「このぐらい大丈夫だって」
「ミーナ様、手当てをしましょう」
私の近くにいつの間にか、レオニール様が来ていた。
有無を言わせないような、オーラ?みたいなのが、見えそうだ。
「あの、でも、これからまたケイ・ルーンを探さないといけませんよね?」
「手当てが先です」
「うっ……」
「手当てをしなければ、なにもさせません」
「え……分かりました受けます……」
レオニール様は頑固だな……。
「とりあえず、別の部屋へ行きましょ」
「レミール様も、診察を受けて下さいね」
「私はいいですよ、悪の精霊に囚われていただけですし」
「受けますよね?」
「受けません」
あれ?アルマン様、笑顔……だよね?
あれはアルマン様の笑顔だよね、ちょっと寒い?
「受・け・ま・す・よ・ね?」
「……う、受けません……」
「ん?」
「う、受けます!受ければいいんでしょ!」
「はい、さ、行きましょう」
アルマン様が、笑顔でレミールを打ち負かした。
それから私達は、部屋を変わって手当てを受けたり、服を替えたりした。




