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セインの思い

「さてさて、お仕事だね……セイン」

「あぁ……我らが主の姫を、迎えに行こう」


俺達は今、バイール王国にいる。

なぜいるのかというと、俺達の恩人である主の姫を迎えにきたのだ。


俺はセイン。

一緒にいる赤い髪とオレンジの瞳を持つ男はアラン。

俺達は“親に捨てられた子”で、教会で育てられた。



だが……そこの神父がひどいやつだった。

容姿のいい女の子供は自分のものにするか、貴族の家に売っていたのだ。男の容姿のいいやつも、売られていた。

教会で生活していた子供はいつ、自分が売られるか怯えながら生活していた。

そんなある日の夜、真夜中。神父が女の子供をいつものように襲っていたのだろう。女の抵抗する声が聞こえていて、俺とアランは、あぁ、またか……と思いながらも今、なに不自由なく出来ている生活を失いたく無くて、必死で聞こえていない振りをしていた。

しかし、襲われた女は神父から逃れ外にでて、運よく巡回していた騎士に助け出された。

それからはあっけなかった。神父は騎士に捕らえられ、罰せられた。

俺達、子供は引き取ってくれる人が現れるまで、騎士団のところに身を寄せることになった。

ケイ様と出会ったのは、そんなときだった。


「初めまして、君達も引き取ってくれる人を探してるの?」


声がした方を見ると、藍色の髪に紺の瞳を持つなかなか整った容姿の男の子供がいた。

そいつはケイ・ルーンと言い、ブレンディア王国でも有名な、魔術師を多く輩出する貴族の子供だった。

ケイ様は毎日毎日俺達のところに来て、一緒に遊んだり、剣の稽古をしたりした。そして、俺達はルーン家に引き取られ、毎日ケイ様と一緒に行動して、いつしか俺達はケイ様の護衛として成長し、剣も魔術もある程度強くなった。

それに知識も、ケイ様に恥をかかせてはいけない……だから、勉学も力を入れた。

ケイ様の役に立ちたくて、拾ってもらった恩を返したくて……。


そんな時だった……。

ミーナのことを知ったのは。ケイ様とバイール王国というへ行った時だった。


「大変なことになったね……」

「完全に迷子……だよね、これ」

「だから、引き返しましょうって言ったじゃないですか」


バイール王国には、ケイ様のお祖母様がいらっしゃる。

お祖母様は元々バイールの人間で、時々お祖母様に会いに行くのだ。

俺達は、町の中で遊んでいていざ帰ろうと思った時だった。

遊びに夢中すぎて、帰り道が分からなくなったのだ。

途方に暮れていた時だった。


「どうかしたの?」


漆黒の髪と瞳の、俺達と同じ年ぐらいの女がいた。


「……実は……迷子で……」


恥ずかしそうに、ケイ様が言った。

物凄く、顔が赤いが……どうかしたのか?


「そうだったの、だったら私も一緒に探してあげる。ここには観光か何か?」

「いや、父上の仕事で……」

「そうだったの、じゃあとりあえず名前教えて。私はミーナ、よろしくね」

「ケイ・ルーンだ。よろしく」

「ルーン家の人だったのね。じゃあ行きましょう」


屋敷へ帰る道中は、ミーナがバイールのことをよく話してくれた。

森には色々な動物や虫がいること、森にできている木の実や果物がとても美味しいこと等々。

ミーナは、よく表情の変わる女の子だった。


「あ、着いたわね。じゃ、またね」

「あ、ありがとう」


ケイ様が顔を真っ赤にしながら言うと……。


「どういたしまして、また会えたらいいわね」


笑顔でお礼を返していて、それを見てまたケイ様が顔を更に真っ赤にしていたのを今でも覚えている。

そして、月日は流れ結婚できる年になってもケイ様はミーナのことを忘れなかった。そして、ミーナが密かにブレンディア王国のアルマン王子の妃の候補に入っているのを知り、ミーナを手に入れる決心をした。


ケイ様のためなら、例え友人の妹でも利用しよう。

ケイ様のために手を汚そう……全ては我が主、ケイ・ルーン様のために……。




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