ミーナの決断~レオニール~
「全力で貴女の役に立ちます。ね~……いつの間に、そんなことを話してたの?兄さん」
「……別にいいだろ」
ただ……放って置けなかったんだ。
あの日、ミーナ様の妹姫であるレミール様が、この事件に関わっている……しかも、クリスタル漬けを命じているのがレミール様かもしれない、という精神的にダメージが大きいようだった。今にも壊れて、ミーナ様が居なくなってしまう……そう考えた時、俺の中をとてつもない恐怖が襲ったのだ。
「怖かった?ミーナ様が壊れそうで」
「……そうだな、俺は怖かったんだ……」
こいつは、本当に昔から俺のことをよく分かってる。
俺が考えていることを先に言われたり、“兄さんもそう考えてたでしょ?”と言われたり。
ほんとに、こいつには敵わない。
「ミーナ様、伊達に騎士団の団長やってないね……学院でも成績優秀だし、実技でも上位らしいからね……。メンタルもそれなりに強いんだろうけど、さすがに今回は実の妹が事件に絡んでる。
しかも、犯人として……。どんなにメンタルが強かろうと、身内が絡めば大なり小なり影響が出ていたはずだよ。ミーナ様は優しいからね……影響が大きかったんだろう」
そうなのだ、ミーナ様は優しすぎる。
それに、あまりにも欲が無さすぎる。あちらに居たときも、こっちに来てからも、ミーナ様が何かを俺達に頼ったりしたことがない。
多分、甘えることを知らないのだろう。幼い頃から離宮で生活していて、物心がついた時にはもう周りには甘えられる人も、頼れる人もおらずただ生きてきたのだ。
だからこそ、昨夜はミーナ様の話を聞かないといけない気がしたのだ。これは多分、俺も兄としてアルマンの面倒を見てきたからかもしれない。
「ま、兄さんが放って置けなかった理由もだいたい分かるけど、これを期にミーナ様がまた、成長して戻ってきてくれると嬉しいね」
「だけど、何故犯人はレミール様を仲間に入れてまで精霊の力を使ったんだ?」
「精霊を使えばあまり、跡が付かないから発見が遅れるからじゃないかな?」
「だが、それでは今回のはあまりにも隙がありすぎる気がする」
「何故?」
「こちらには、ミーナ様がいる。精霊の力を使えば、必ずミーナ様が分かるはずだ。……なんだか、この件をミーナ様に知らせるために利用されたような感じがするんだ」
「なるほど……精霊の術が関われば、必ずミーナ様まで話がいく。だから、エルトリーヌではなくこっちに話が来たわけか」
そうだ、そこからおかしかったんだ。
この事件のように、特殊な術が関わっている場合はエルトリーヌに先に情報が入るのが普通だ。
もし、本当に、犯人が最初からミーナ様にこの事件を解決させるように仕向けていたものなら、ミーナ様が危ない。
「おい、ミーナ様をバイールに帰すのは止めた方がいいんじゃないか?」
「いや、それは大丈夫だろう。この事件を知って、ミーナ様がどう動くのかまで把握はしてないだろうしね」
なるほど、そのとおりかもしれない。
「とりあえず、見守ろう。ミーナ様には、クラークとバイロンを一緒に同行させてもらおう」
「あぁ、そうしよう」
ミーナ様は、少し窮屈だろうが……。
狙いがミーナ様である限りは、油断はできない。俺は、誓ったんだ……ミーナ様の役に立つと。
ミーナ様が、この件の真実をつきとめるというなら、俺は全力でそれを補佐していこう。
ミーナ様が真実にたどり着くように。




