作戦
「全く……無茶もほどほどにして下さい。ミーナ様」
「レオニール様!」
「心配する身にもなって下さい」
私を縛っていた黒いモノは、光に当てられいつの間にか、無くなっていた。
「でも、これが一番被害が少なかったんですよ」
「もっと他にもあったでしょうに……」
「ほんとですよ、ミーナ様!いきなりこの作戦を知らされて、驚きましたよ……。寿命が縮むかと思いましたよ、ミーナ様とマイリー様の姿が黒いモノで見えなくなった時は……」
「ごめん、メアリ。急だったし、早くしなきゃいけなかったから」
「……ミーナ様は、全て分かっていたんですね……。今夜、俺が来ることが……」
「確信したのは、会場に入ってからです。それまでは、あなたかどうかまでは分かりませんでした」
本当に、一種の賭けだった。
あの花束の差出人が、ケイ・ルーンであるかどうかも、この会場に来るのかも……。
だから、とりあえず私はレオニール様にこの作戦を提案……というには、ちょっとだけ強引にこの提案を許可してもらった。
それからの、レオニール様と私の行動は早かった。
レオニール様は、わざと私を一人にしたのだ。
まずは、私が一人にならなければケイ達も動かないだろうと考えてだ。
私と離れたレオニール様は、この作戦をメアリに伝えた。
そして、遠くから私を見ていたのだ。
それから私が、マーおばちゃんと一緒にバルコニーへ行く際、精霊に頼みバルコニーに光の魔術をかけていること、もし……私とマーおばちゃんの姿が見えなくなった時は、バルコニーの近くにいる人達を避難させて欲しいことを、レオニール様に伝えるようにしたのだ。
「ふ、ははは……あははははっ、はー……やっぱり、ミーナ様は凄いですね」
「それは、ありがとうございます?」
「あーやっぱり、欲しいなー……やっぱり俺は貴女が欲しいです……ですので……少し強引な方法をとらせて頂きます」
すると、みるみるうちにケイは黒いモノで包まれていった。
すると、ケイの姿が変わっていった……。
これは……まずいことになった。
「レオニール様!今、この会場にいる人達を外に避難させて下さい!ケイが契約している悪の精霊は、元は精霊王だった精霊です!」
「!!!」
精霊王は一人ではない。
各地に、その地を長年見守り他の精霊を統一している精霊が、その地で精霊王となり……また、その地に済む人々を守っているのだ。
レオニール様は、さっきの私の言葉だけで状況を察したらしく、すぐに近くにいた騎士にも伝え会場にいる人達を避難させ始めていた。
「バイロン様!いらっしゃいますか!」
「ここに、いる……」
「魔術師の皆さんで結界を張って下さい。もちろん、避難した人達を結界の外え出して」
「分かった……」
ケイ・ルーンの姿はみるみるうちに変わった。
髪は藍色から真っ黒へ、瞳は紺から金色に変わっていった。
手の爪はのび、背中からは羽が生えて……もはや人間ではなくなっていた。
「ミーナ様を……必ず、我が物に……」
ケイが私に目掛けて、飛んできた!
「ミーナ様!」
「っ!!」
ギリギリ避けられたものの、ケイの爪が私の右肩を掠めた。




