花束の差出人は?3
私とケイ・ルーンの祖母で、バイールでパン屋を営んでいるマイリー・ルーン……マーおばちゃんと、バルコニーへ出てきた。
「この度は、うちの孫がご迷惑をおかけして……本当に申し訳ありません……」
「そんな、気にしないで下さい」
「いーえ……本当に大変な事をしてしまって……。ケイは、まだ見つかってないと聞きます……。早く見つかるといいのですが……」
「でも、見つかったら……」
「罰は受けなければなりません。自分の欲望のためだけに、このような事件を起こしてしまって……さらには、ブレンディア王国の何の関係のない人まで巻き込んでしまって……」
確かに、それだけの被害を出しておいて軽い罰では済まないだろう。
私が拐われた時の手掛かりも、罰を覚悟でバイールの城に、私を訪ねて直談判に来たのだ。
ブレンディア王国の前王妃と仲が良かったこともあり、マーおばちゃん自身もとても芯の強い女性で、自身の孫が……まさか、こんな事件を起こすとは、考えもしなかっただろう。
「ミーナ様……罪を犯せば身分などは関係なく、きちんと罪を償わなければいけません。それが、罪を犯した者の義務です。そこに身内であるからと……身分が高いからと、償わなくていい理由にはなりません。もし……それを放棄すれば、争いが起きましょう。実際……レミール様も離宮で幽閉のようになっているとか……、それなのに、ケイが罰を受けないのは、おかしいでしょう」
「……そう、ですね」
マーおばちゃんは、穏やかに……それでいて怒りを含んだ瞳で私に語りかけていた。
一番苦しいのは、身内だ。
身内を裁くのは本当に苦しい……。
「さぁ、そろそろ戻りましょうか」
「そうですね……」
私達が戻ろうとした時、周囲の様子がおかしいことに気づいた。
こんなに、暗かったかな?
辺りが何も見えないほど暗かった。
確か、ちゃんと会場から見える位置にいたはずなのに……まさか!
「マーおばちゃん、動かないで!」
「え?」
その時、何がマーおばちゃんに近付いていくのが分かった。
私はとっさに、マーおばちゃんの元に走って突き飛ばした。
「ミーナ様!?」
「くっ!」
私は真っ黒な何かに体を縛られて動けなくなった。
「やっとお会い出来ました。お久しぶりです、ミーナ様……それに、お祖母様も」
「ケイ!」
声のした方には、ケイ・ルーンとアラン、セインがいた。
「ミーナ様、花束は喜んで頂けましたか?」
「あ、れは……あなた、が……」
「そうです、一番最初に貴女に気づいてほしかったので、ドアをノックしました。」
やっぱり、あれはケイ・ルーンが……。
それに、この黒いのは……。
「あなた……闇の、魔術を……」
「えぇ、私は貴女を手に入れるために悪の精霊と本格的に契約をしました。そして、強大な力を手にいれた」
「そんな!……ケイ……」
闇の精霊と契約したことで、闇の力を使うことが出来る。
でもそれは、代償も払わなければいけない。
契約者が死んだ際、その者の魂を闇の精霊に捧げる。
魂を闇の精霊に喰われる、ということだ。
死してなお、安らかに眠ることが出来なくなるらしい。
「ケイ……あなた、なんてこと……」
「お祖母様には、眠っていて頂きましょう」
「マーおばちゃん!」
黒い煙に包まれたマーおばちゃんは、煙がなくなった時には、床に倒れていた。
「マーおばちゃんに、何をしたの」
「お祖母様のことは思い出したんですね。俺のことも思い出して頂けましたか?」
「思い出したよ、バイールの町で迷子になっていたあなたを、私が案内したんでしょ……」
「思い出して頂けたようで、なによりです」
「アランと、セインにも……会ってたんだね」
「本当に思い出したんだね、ミーナ」
「本当に良かった」
「ですが……貴女には、俺と一緒に闇に堕ちて頂きます」
闇に堕ちる。
それは、闇の精霊と契約した者と共に死ぬこと……。そして、闇に囚われること。
でも……。
「残念だけど、私はあなたと一緒に死にたくなんてない!」
私が言うと、辺りが光に包まれる。
「なんだ!」
「ミーナ様、まさか!」
そう、私はあらかじめこのバルコニーに光の魔術を施していた。
マーおばちゃんに気づかれないように、そしてそれを精霊に頼み、レオニール様たちにも伝えてもらっていた。
私は会場に入った時から、闇の精霊の力を感じたからだ。
二日間、投稿出来ずに申し訳ありませんでした。
今日からまた、頑張ります。
読んで下さっている方、ブクマしてくださっている方、本当にありがとうございます。




