零の月-秘密-
神の庭の楽園
とある女神は聡明であり愚かであった。
美しく醜い。
優しく残酷。
強固でありながら脆い。
真実であり嘘である。
罪人であり断罪者であった。
全てを知りながら全てを知らない。
それは赤子のように無知で
老人のように博識だった。
その女神の名はクラウン。
道化師であり女王。
図書館に住まう最古の神。
また、
楽園の鍵を握る者。
罪の概念のない唯一の女神は
他の神々が罪を禁忌の箱に隠すとき
断罪を行った。
神々は気付かず己の手で断罪を自らに施した。
後に女神は唄う
禁忌の箱に入れしもの
望んでやまぬ楽園の
鍵と知りてももう遅い
罪深き憐れな神は立ち入れぬ
箱を開いて見るがいい
罪に喰われて去ぬのは愉快
二度と見えぬ癒しの園よ
無垢なる眠りにつくがよい