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episode:2-3

ドガァ!!

『きゃあ!?』


放課後の教室。ノリコは机の上でグッタリとダウンしていた。その向かい側に、エリカは五時間目の訓練の様子を見ていた。

今映っているのは、盛大にズッコケ、スライディングをしている、ノリコが乗るRMの姿だった。

「……なんでマニュアルでもあらへんのに、転けんねん」

「あははは…はぁ…」

顔をうつ伏せにしたままため息を一つ。

「いつまでそうしてるつもりや?ウチは先に部室に行くで」

「あうぅ…待ってよぉ」



ノリコ達が部室の更衣室に到着すると、ほとんどの生徒が一瞬、ノリコを見て着替えていた手を止めたが、すぐ着替えを再開しヒソヒソと何か話しているのが聞こえ始めた。


「ねぇ、アイツじゃない?五時間目にフェラスの乗って転げまくってたやつ」

「そうそう、なんかさぁ、勝手に突っ込んでいって、何もないところで、転けてたよ」

「ろくにRMも動かせないのに、なーんでこの学園に来たんだろ?」

「親のコネに決まってんでしょ。あの子なんかバカっぽそうだし、コネなしでココに来れるわけ無いじゃん」

「そうだよね~」


「……」

ノリコの顔に影が出来る。

ノリコは小学四年生の頃からいじめの対象になっていた。

何をしてもうまく行かず、落ちこぼれのレッテルを貼られ、いつもその事をバカにする輩が後を絶たなかった。

周りの人間は見て見ぬフリをし、外に出れば、ノリコの味方は誰もいなかった。

しかし、ある日ノリコはこの東ランに合格した。

自分の実力で。

自らが憧れたRMを動かす為にやった努力が報われたのだ。

ノリコはコレで少しは昔の自分と変われると思っていた。

しかし、現実は変わらなかった。

更衣室に入って直ぐ、自分の陰口を聞いた時、そんな直感をノリコは感じた。

突拍子もない憶測を立てられ、何も言い返せない自分が嫌になる。確かに、ノリコは勉強もRMも出来ない。だからといって、コネでこの学園に入ったわけでもない。

すべて、ノリコの実力だ。

ノリコは『それでも』と涙を拭って、自分のロッカーに向かおうとした。

その時。

「もう一遍言うてみい!!」

ノリコの隣にいたエリカが怒鳴っていた。

この場がシンと静まり返ると、ちらほらこちらに顔を向ける生徒が目立った。

ノリコ自身も、今の友人が怒っている事に驚いていた。

「何が馬鹿や!何がコネや!!自分らノリコの何知っとるんや!ふざけた事吐かすなや!!」

出会ってまだ間もないけれど、本気で怒っているエリカの姿を見たことがなかった。

更衣室は未だ沈黙を保っている。陰口を叩こうとすれば、エリカの一睨みで黙らせられる。

「行くで、ノリコ」

「う、うん」

正直、ノリコは嬉しかった。自分の隣には自分をかばってくれる友達の存在が。

「ありがとう、エリカちゃん…」

「気にせんでええ。親友がバカにされてるんが嫌やっただけや」

「し、親友!?」

エリカの中でノリコはイッキに『親友』へクラスアップした。

「ほな、行くで!」

「うん!」

エリカはつなぎに着替え格納庫に、ノリコはパイロットスーツに着替えアリーナへと向かって行った。

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