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episode2:RM(ランドマシン)-1

春の早朝。霧がかった東京RM学園女子寮のある一角、一人の少女がスヤスヤと可愛らしい寝息をたてている。

時計の秒針が十二時の位置へ戻る時

PPPPPPPPPP!!!!カチッ…

「……。

…zzz」

「起きんかい!」

バシン!!「へぶ!?」

ノリコの安眠はエリカの特製ハリセンによって目覚めた。

しかし、ただいまの時刻は七時半…登校時刻である。


episode2:RMランドマシン


「ええぇぇぇぇーーーーッ!?エリカちゃん技術科に行っちゃうの!」

昼休み、ノリコの絶叫が教室にこだました。

エリカはノリコのその大きく開けた口の中へカリカリの梅干しを放り込んだ。

カリ…

「酸っぱぁ!」

ノリコの箸からタコさんウィンナーがご飯の上に落ち、ノリコの口が勝手に絞られていく。

「ドアホ。ウチがどこ行こうが、ウチの勝手やろ」

「そ、そうだけど…」

梅干しの種を出したノリコはまだミッフィーみたいな顔をして涙目だ。

「そうネガティブに考えるからダメなんや!こうポジティブに考えてみぃ!」

「ポジティブ?」

「せや!実はな、ウチもRM部に入るんや」

「そうなの!あ…でもあたしはパイロット志望だし…」

「今度はレモンいっとくか?」

エリカが輪切りのレモンをちらつかせる。

「え、遠慮しときます…」

「たく、話は最後まで聞きぃや。そこでな、ノリコのRMをウチが受け持つねん!」

「ほえ?」

「つまりな、ノリコとはライバルっちゅうのじゃなくパートナーとして一緒に高みを目指せるんや!」

「本当に!エリカちゃんがあたしのパートナーになってくれるの!?」

「ああ!せやから、午後の実技、気張って行きぃや!」

エリカはニカっと一箇所犬歯に海苔の付いた歯を見せ、グッと親指を立てた。

「うん」

ノリコは弁当を食べ終えて、第1アリーナに向かう。五時間目の教科はRMの実技だった。



「……ん?」

ノリコはアリーナに向かう途中見知った顔を見かけた。

「お姉様」

「……あなたは、昨日の」

お姉様、桜崎カオリは中庭の木陰のベンチで読書をしていたらしい。その手に持っていた本を閉じ、ノリコの方へ顔を向けた。

「……お姉様?」

「あ!?すみません!」

「…どうして謝るの?」

「え、え~っと…何となく?」

クスッ「…あなた、面白い」

「ほえ!?」

片手で口元を隠し、静かに笑うカオリ。ノリコは照れ臭そうに頬を少し赤く染め、人差し指でその頬をかく。

「いつもここで本を読んでいるんですか?」

「うん、…ココ、お気に入りの場所だから」

「そうなんですかぁ。…あの!」

「?、何?」

「また…この場所に来てもいいですか?」

「?…構わないわ」

「やったぁぁぁああああーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

ノリコが喜んでいると、カオリは腕時計のディスプレイを見て、スクっと立ち上がった。

「…そろそろ、次の授業…」

「え?本当だ!?急がなきゃ!」

気が付くと、次の授業開始まで後三分をきっていた。

「じゃあお姉様!また!」

ノリコは超特急で更衣室へ走り去り、カオリはその後ろ姿を眺めながら、また、クスッと笑っていた。

「…また」

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