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episode:1-3

ズダダダダダダダダ!!!

ノリコはただ今廊下を疾走中である。通り過ぎるドアに『走るな危険』の張り紙が見えるが、そんなのは無視し、走り続けている。何故か?それはさっきの試合終了直後の何気ない会話の一端が原因だ。


「はぁ?!、あんさん、まだ入部届け出しておらんかったんか!?RM部の入部希望者半端なくて、先着百名しか入れへんのやで!」


と言うわけで、ノリコは今も廊下を走る。過ぎ去る生徒の耳にはF1のエンジン音が聞こえたとか。


そうこうしている内に、ノリコは職員室まで後10mをきった。そのドアを開ける為に手をかけようとする。が、

プシュー…

その手は空を切り、勝手にそのドアは開いた。いや、職員室から誰かがドアを開けて出てきたのだ。

「へ?うわぁ!?」

ガン!ズザアアアアアア…

ぶつかりはしなかったが、ノリコは自分で自分の足につっかかり、盛大に顔面から廊下の床へダイブした。

「つ~っ!?いてて…」

「…大丈夫?」

不意にかけられた声にノリコはその声が聞こえた方を向いた。

「あ!さ、桜崎先輩…?」

そこには先程、紅いRMに乗っていた金髪の少女、桜崎 カオリがいた。しかし、RMから降りた時とは違い、どこかほんわかした無表情で縁のないメガネをかけていた。それ故に、ノリコは最後の方を疑問形にしてしまったのだ。

そのカオリがジッとノリコの顔を見ていると。

「…貴方は?」

「あ!え、えっと!天動 ノリコです!!」

テンパり過ぎて裏声になってしまった。

(恥ずかし…)

ノリコは顔を真っ赤にして伏せた。

「そう。…もしかして、入部希望者?」

「はい!」

「じゃあ、早くした方がいい…貴方でちょうど100人だから」

「そうだったんですか!?」

「…頑張ってね」

そう言って、カオリはノリコの手を引いて立たせた後、その場を跡にした。立ち去る時、夕日に輝き流れる彼女の黄金の髪がノリコにとって深く印象に残った。

「桜崎 カオリ…お姉様」



入部届けを出しに行ったら、本当に後一人、希望枠があった。

ノリコはパソコン画面に写るその枠の中に自分の名前が打ち込まれるのを見送った後、職員室を跡にし昇降口へと向かった。

「ヨ!待っとったで!」

「エリカさん!」

そこで待っていたのは、さっき分かれたばかりのクラスメイトだった。

「なぁ、その『エリカさん』ちゅうの辞めてくれへんかなぁ。むずがゆいねん…。ウチもあんさんの事…ってあんさん、なんて言うんや?」

「ノリコ。天動 ノリコだよ、エリカちゃん」

ノリコは下駄箱からローファーを取り出し、上履きと履き替えた。

「ちゃん付け…まぁええわ。で?ノリコどやったんや?」

「ギリギリ。後一人で締め切ってた。あたしが最後の一人だったんだって」

「ほー!そらラッキーやったな!」

「うん!」

そして、ノリコとエリカは他愛にない会話をしながら、女子寮前の駅へモノレールで向かった。


駅のゲートをくぐると、二人目の前には、『寮』と言うより『ホテル』と言った方が正しいんじゃないか?と思う程の女子寮が建っていた。

「で…でかい」

「せやな…まあ、中に入ろっか?」

「う、うん」

とりあえず二人はその女子寮の入口へと向かう。


「お待ちしておりましたぁですぅ!!」


そこに待っていたのは、一昔前の割烹着姿にフリルの付いたカチューシャとメカニックな猫耳を付けた中学生くらいの少女が首に付けた大きな鈴をチリンと鳴らして出迎えてくれた。

「えっと…君は?」

「はい!私はあなた達のお世話をさせていただく、お手伝い型アンドロイド!パフィーですぅ!よろしくお願いしますなのですぅ!」

「アンドロイド!?」

「そうなのですぅ。この学園島には、いたるところに私と同じ顔をした子がいますので、困ったことがありましたら、気軽にお声をおかけください!ちなみに私は寮母を担当してるですぅ!」

「パ、パフィーちゃんと同じ顔の子が一杯いるの!?」

「名に考えてんねや…この学園」

「ではでは、早速中を案内するですぅ!」


女子寮のロビーは真ん中が筒抜けになっており、壁や床はシルバーを基調にピンクとホワイトのラインでデザインされ(ちなみに男子寮はブルーとホワイトのライン)他にも、掲示板や自動販売機など、外とはデザインが事なり、一年生のほとんどが、物珍しさにキョロキョロしている生徒が多々見られる。

ノリコとエリカは受付にいた。

「はい、これが貴方達の部屋の鍵ですぅ」

二人はそれぞれお互いのカードキーをパフィー(受付担当)から受け取る。

さっきここへ案内してもらったパフィー(寮母)の他にこの受付で担当しているパフィーが二人いた。

(本当に沢山いるんだ~)

そんなことを思いつつ、自分の部屋番号を確かめる。

「100123号室か…エリカちゃんはどこ?」

「フッフッフ…」

横を見ると、なにやらエリカが不敵な笑みを見せ『よくぞ聞いてくれた』と言わんばかりのドヤ顔を浮かべていた。

「ジャーン!見てみぃ!」

バーンっとエリカはその豊満な胸を張りながら、先程手渡されたカードキーの表面をノリコに見せた。

「ウソ!エリカちゃんも同じ部屋!?」

「ウソちゃう!正真正銘ノリコとルームメイトや!」

何度も目を凝らしても、ノリコと同じ『100123』の文字が印刷されている。あまりの嬉しさに心情高ぶる二人はヒシッ!と抱き合った。

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