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2-1 貸倉庫屋にて

 プルセアセの商業区の端にある小さな店に、アリスとシーラは来ていた。


 


 ドンッ




 店に入るや否や、アリスは本の山をカウンターに乗せた。


 「あぁ、お久しぶりです。2人とも」


 本の山の向こうから、店主である女性→リーリカが、二人に挨拶を投げる。


 「どうも、リーリカさん。元気してる?」


 シーラがカウンター脇から、椅子を2つ引っ張ってきてリーリカの顔が見える位置に座った。


 「元気ですよ~。ウチの人も元気でしょう?旦那が元気で、妻が元気なかったらだめ亭主ですよ」


 台帳をめくりながら、カラカラと笑うリーリカは《狼の塒》団長ゴゴットの妻でもある。


 「アリスちゃんの倉庫は…。っと、あら?」


 リーリカはカウンターに積まれた本の山を見て、困った顔をアリスに向けた。


 「アリスちゃん。これ、無理」


 「…………」


 「アリスちゃんの倉庫、冗談を抜きにして、あと本が3冊しか入らないの。扉を開けたら、目の前が本の壁よ?私、頑張ったんだから。崩れない様に積み上げるの」


 リーリカは積まれた本の山から、3冊だけ抜き取って、残りを数え始めた。


 「あー。どうする?アリス」


 「……宿代」


 「ん?更新料払ってるから、あと一ヶ月は大丈夫よ。予算考えて……。次の更新分を払っても大丈夫。最長で二ヶ月ってところね」


 「………馬車手配してくる。明日の朝には出る」


 アリスは椅子から降りると、倉庫に入らない分の本を抱えて店を出て行った。


 「今回はすぐに行くのね。前はお金ないからって、1週間ダンジョンにもぐってから行ったでしょ」


 リーリカは2人分のお茶を用意して、シーラの正面に座る。


 「最近ちょっと長めにもぐったからね。懐があったかいのよ。アリスも本を買いに行く前にここに来たから」


 「じゃあ、明日から一ヶ月は王都なのね」


 「馬車に本積んでのんびり行くから、片道で3日かな。向こうには2週間は最低でもいるから、何事も無ければ一ヶ月。他に何か用事ができたら、もう少し伸びるって感じになると思う」


 シーラが前回の王都行きの日程を思い出しながら、今回の大まかな日程の予想を告げる。


 「けど、アリスさんのお母様も考えたわよねぇ。本を入れる貸倉庫は一部屋まで。あふれたら実家の書庫に移しに戻る。この二つを約束させるだけで、アリスさんを定期的に帰省させてるんですもの」


 「先生はアリスのこと溺愛してるからね。できるだけ多く帰ってきてほしいのよ」


 親馬鹿よねー。と笑うシーラにリーリカも同意の笑みを返した。


 「さーて、親馬鹿に愛されまくってる本の虫が戻ってきたら本を運び出さないとね。手伝うわ」


 シーラはお茶を飲み干して立ち上がると、同じようにお茶を飲み干したリーリカに続いて、奥の倉庫向かった。




 (さーて、久しぶりの王都か。むこうの迷宮も久しぶりかな。楽しみね)


 シーラは明日からの旅に、自然と口がほころぶのだった

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